アインの“もう一つの真実”
しばらく沈黙が続いたあと、
アインがゆっくり手を叩いた。
「見事だよ。
本当に……美しい“共鳴”だ。」
凪が透と陽斗を庇い、睨みつける。
「アイン……どこまで知ってるの」
アインは空を見上げ、静かに言った。
「透の家族が“処分された”のは事実だ。
だが――それはコーラス全体の意志ではない。」
「……どういう意味だ」
「コーラスは大規模な組織。
内部は派閥争いだらけだ。
透の家族を消すよう命じたのは……
“旧上層部”だけだ。」
「旧……?」
「僕たち《新生コーラス》には関係ない。
むしろ反対していた。
だから旧上層部は――もう粛清したよ」
透は息を飲む。
「つまり……
家族を奪った本当の黒幕は、お前じゃない……?」
「違う。
僕は透を守りたかった側だ。」
アインの瞳が、深い深い闇の底で光る。
「そして今、旧組織は消えた。
残るのは僕が率いる“新生コーラス”だけ。」
「つまり……どうしたい」
「透。
君を歓迎したい。
“仲間”として。」
陽斗が透の前に立つ。
「透は渡さねぇぞ!!」
アインはため息をつく。
「透。
君の力は必ず世界に影響を与える。
陽斗や凪だけでは守りきれない。」
そして静かに告げた。
「次の“暴走者”が、街に現れ始めている。」
透と陽斗と凪は凍りついた。
(ロスト……?
俺たちのような能力者……?
新たな敵……?)
アインは薄く微笑む。
「透。
世界は“感情崩壊”の時代に入る。
君はどちら側に立つ?」
透は陽斗の手を握りしめ――
「俺は……」
言葉を飲み込む。
選ぶべき未来は、一つではない。
でも今、隣にいるこの二人を守ると決めた。
(俺は……間違わない)
透は深く息を吸った。




