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透の「暴走」の兆候
透の影が、光と闇を混じらせながら揺れ始めた。
凪が息を呑む。
「……透、“境界”が揺らいでる……!」
「境界……?」
「あなたの“感情の核”が崩れかけてるの……!
このままだと、透の能力が――
暴走する!!」
透の足元に亀裂のように黒い影が広がり、
周囲の空気が圧縮されるように重くなる。
陽斗は透を抱きしめた。
「透!!俺がいる!!
ここにいる!!
お前の隣は俺だ!!」
透の震えが止まらない。
「陽斗……
俺……どうしたら……
家族が……そんなことで……
俺だけ……生かされて……」
「透……」
「俺なんて……
生きてちゃいけなかったのに……!」
その言葉が出た瞬間――
透の影が爆発した。
黒い音、白い光。
精神世界で見せた“共鳴の光”が、暴走した形で溢れ出した。
凪が絶叫する。
「透!!感情を手放さないで!!
“黒側”に落ちたら、戻れない!!」
アインが小さく笑った。
「そう。
それが“境界喪失”。
透、君は僕と同じ場所へ堕ちる。」
「黙れぇぇぇぇッ!!!!」
透の叫びとともに、光が走る。




