凪の告白と、透の動揺
「凪……どういうことなんだ」
透の声は震えていた。
凪は、まっすぐ透を見つめる。
「透には言えなかった。
でも……私は“もともとコーラス側”だったの」
陽斗が凪をにらむ。
「どういうことだよ……!透を裏切ってたってのか!?」
「違う!!」
凪は強い声で陽斗を止める。
「私は……“透が危ない”と思ったから近づいたの。
コーラスは透を“実験体”として扱おうとしていた」
「実験体……?」
「透の能力は特異すぎる。
“感情の根”に触れられる者なんて……数代に一人。
だからコーラスは透を囲い込みたかった」
透の心に、冷たい空気が入り込む。
(俺は……最初から狙われていた……?
凪はその一員で……
でも……)
凪は拳を握りしめた。
「でも私は耐えられなかった。
透が苦しむのを見るのが……
透が“実験”にされる未来が……」
「凪……」
「だから私は抜けた。
裏切った。
コーラスに追われても……その方がいいと思えた」
凪は小さく笑う。
「透と陽斗が……あんなふうに“互いを救う”のを見て……
この選択は間違ってなかったって、今は思える」
陽斗は唇を噛む。
「……凪……お前……」
透は胸を押さえた。
怒りでも悲しみでもない。
ただ、胸の奥が温かく痛む。
(凪……
本当に俺のために……)




