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影踏みのルミナス  作者: antild


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52/67

アクトが残した“異物”

 そのとき。


 凪が急に険しい顔になり、周囲の空気を探るように目を閉じた。


「……透。陽斗。

 まだ終わっていないわ」


「え?」


 凪は地面――透と陽斗の影を指さした。


「アクトの影の残滓ざんさいが……まだ微量に残ってる」


「なっ……!」


「影を辿れば……“アクトの本体がいた場所”まで行ける。

 でも、それは“危険”の証でもある」


 凪の声が低く響く。


「アクトは、ただの野良能力者じゃなかった。

 あなたたちを試すような動きだった。

 つまり――」


「つまり……?」


 凪は息をつき、はっきりと口にした。


「アクトは《コーラス》の“尖兵”。

 組織の本命は別にいる」


 透と陽斗の背筋に冷たいものが走る。


(アクトは……ただの先兵……?

 じゃあ本物の敵は……)


 凪は空を見上げた。


「コーラスは“感情操作系”の能力者を集めている。

 透、あなたと同じタイプの能力者を、ね」


 透の胸が大きく揺れた。


「……俺を……?」


「あなたは特別なの。

 “感情を読むだけでなく、共鳴し、相手を変える力”を持つ能力者なんて稀少すぎる」


「で、でも俺は……支配なんて――」


「透、謙遜じゃない。本気で言ってる」


 凪の目は真剣だった。


「だからこそ、あなたは狙われている。

 陽斗だけじゃない。

 次はあなた自身が――組織の標的になる」


 陽斗が透の前に立つ。


「透は俺が守る」


「陽斗……!」


「透がどれだけ特別だろうと、能力がどうだろうと……

 俺は透を信じる。

 透の隣に立つのは俺だ」


 陽斗の言葉に、透の胸が熱くなる。


(陽斗……

 お前はもう……その闇を恐れなくなったんだな)


 凪が小さく笑う。


「……二人とも、本当に強くなったわね」


 その笑みに安堵が混じった瞬間――


 空気が“裂ける音”がした。


 屋上の空間に、黒い“線”のような亀裂が走る。


「!!」


「透、陽斗……下がって!」


 凪が二人の前に立つ。


 亀裂の奥から、聞き覚えのある声が響いた。


「――なるほど。

 二人で共鳴すると、これほどの力になるのか」


 凍りつくような声。


「嫌いじゃないよ、その絆」


 その声の主は――


 黒フード(第二の能力者)


 アクトを動かした“裏の指揮役”。

 組織コーラスの中心人物。


 亀裂から黒フードの姿が現れ、

彼の影からは複数の“眼”がこちらを覗いた。


「さあ透。

 いよいよ君を迎えに行こうか」


 透は本能的に陽斗の手を握った。


「……来たな」


「ふふ……ここからが本番だよ」

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