影の支配、心の侵食
黒い触手が透へ飛びかかる。
「透!!」
陽斗が叫ぶ。
透は腕を前に突き出し、感情の流れを掴む。
(押し返す……!)
透の胸から光の波が広がるが――
「弱い」
アクトの影が光を裂き、そのまま透に叩きつけた。
「ぐっ……!」
透は壁もない空間を吹き飛ばされ、
光と影の渦に後ろから叩きつけられる。
「透!!」
陽斗が駆け寄る。
「大丈夫か!?」
「……っ、平気……」
(全然平気じゃない……
アクトの力は“奪う力”。
影が触れるだけで、心が削られる……!)
アクトが低く笑う。
「透。
君は“陽斗を支配できない”。
優しすぎるし、自分を恐れすぎている。
力の本質を受け入れないまま、どう戦うつもりだ?」
透の胸が痛む。
(たしかに……
俺の力は、相手の感情に“触れる”力。
けど俺は怖がって……
本気で誰かの感情に踏み込んだことがない)
陽斗の声が、透を支えるように響いた。
「透……
俺、お前の力が怖い時もあった。
でも……それ以上に、透を信じたい気持ちも強いんだ」
「陽斗……」
「お前が俺に触れるのが怖いなら、
俺のほうから触れにいく」
陽斗は透の頬に手を当てた。
「透。
俺の心に……お前の力で触れていい。
全部見ていい。
俺の闇も弱さも、壊れた部分も――全部」
透の呼吸が止まる。
(陽斗……
お前、それを……)
陽斗は震える声で続ける。
「全部見ても……
俺の隣にいてくれるなら……
それでいい……」
透の目から熱がこぼれそうになる。
(陽斗……
こんなにも……俺を……)




