心が暴れる音
陽斗の精神世界の空は完全に割れ、
光と闇の破片が無重力のように漂っている。
足元は黒い影と白い光が交互に渦を巻き、
歩くだけで心が震えるような異様な空間。
(ここが……陽斗の心の最深部……
アクトが奪おうとしている“核”……)
透は陽斗と肩を並べた。
陽斗もまた、震えながらも立っている。
その瞳には、迷いも弱さも、すべて抱えたままの“光”があった。
「透……行こう」
「うん。陽斗……ずっと隣にいる」
陽斗が透の手を握る瞬間――
――空が裂けた。
巨大な影が形を取り、人型となったアクトが姿を現す。
だがその姿は先ほどより巨大で、冷たく、獣のような曲線を帯びていた。
「陽斗の“闇の核”……
僕はそれを手に入れれば次の段階へ行ける」
アクトの声は、嗤うでも怒るでもない。
ただ淡々と、冷たい欲望だけが滲んでいた。
「人の感情は美しい。
だから僕は“集める”。
特に君たち二人の感情は……希少で、価値がある」
透は陽斗を背にかばい、言い放った。
「陽斗の心は……陽斗のものだ。
お前のためにあるんじゃない!」
「では証明してみせろ。
二人の感情だけで、この世界を守れるかどうか」
影が一斉に地を這い、空を覆い、
アクトの全身から勢いよく伸びてきた。




