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影踏みのルミナス  作者: antild


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陽斗の“透への特別”の正体

 アクトが横から囁くように言う。


「そうだよ透。

 陽斗の“本当の感情”は――

 安心でも友情でもない」


 透が顔を上げる。


「陽斗が感じていたのはね……

 “救われたい”という渇望だ」


「……渇望……?」


 アクトは影の指先で陽斗の心を示す。


「陽斗は君に対して、

 無意識に“すがりつきたい”と思っていた。

 君がいなければ立っていられないほどに」


 陽斗が苦しそうに目を伏せる。


「透……俺は……お前を……

 “必要としすぎて”たんだ……」


 透は陽斗へ手を伸ばした。


「それでいい。

 必要としてくれるなら……それでいい」


「違うんだ……それが怖かったんだよ……!

 透に依存したら……俺はまた壊れるって……

 透がいなくなったら……俺……」


 陽斗の涙が透の胸を刺す。


 透は陽斗の両肩を掴む。


「陽斗。

 依存したっていい。

 支えを求めたっていい。

 お前はずっと一人で抱えすぎたんだ」


 陽斗が透を見つめる。


「透……俺は……お前を……」


 陽斗が言葉を続けようとしたその瞬間――


「まだある」


 アクトの影が陽斗の心に深く入り込む。


「陽斗がまだ言えていない“本当の本音”がね」


「やめろ!!」


 透が遮ろうとするが――

影が陽斗の胸を包み込み、

アクトの声がその心の奥底から響いた。


「陽斗。

 君は“透を必要としていた”だけじゃない」


 陽斗の表情が硬直する。


「君は……透に対して、

 “裏切られたら憎むほどの感情”も持っている」


「な……!」


 透の心臓が痛いほど跳ねた。


 陽斗が震えながら透を見る。


「ち、違う……俺は……そんなつもりで……!」


「陽斗は“透が特別すぎる”からこそ、

 透を失う事を極端に恐れ、

 “透に裏切られる悪夢”を何度も見てきた」


 陽斗の顔色が真っ青になる。


「あ……あれは……

 ただの夢、だと思って……」


「陽斗。

 本当は透の心を深く信じてしまうのが怖かった。

 だから夢の中で、透が離れていくように自分を仕向けていた。

 “傷つく前に、自分で傷つけておこう”としていたんだよ」


 陽斗は崩れ落ちるように膝をついた。


「やめてくれ……!

 透に……そんなこと知られたくない……!」


 透は陽斗に駆け寄り、抱きしめる。


「陽斗……!

 なぜ言わなかった!」


「言えるわけねぇだろ……!

 お前は優しすぎる……

 俺がそんな弱いこと言ったら……

 透は絶対に自分を責める……!」


「陽斗……!」


「透に嫌われたくなくて……

 でも信じきれない自分が嫌で……

 俺……俺は……!」


 陽斗の心の奥から“本当の闇”がこぼれ落ちていく。


 透はぐっと陽斗を抱きしめ、

陽斗の頭に手を置いた。


「陽斗。

 お前が何を感じていても――

 俺は絶対に離れない」


「……透……?」


「信じられないなら……

 俺を疑ってもいい。

 怒ってもいい。

 憎んだっていい」


 透は陽斗の耳元で囁く。


「その全部を抱えて――

 俺はお前の隣にいるよ」


 陽斗の涙が溢れ、

透の胸に顔を埋めた。


「透……

 俺……俺……

 お前が……欲しかったんだ……」


 透の胸が熱く痛む。


(陽斗……

 それが……お前の本心……)

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