影の真実を照らす者
そのとき――
屋上のドアが開いた。
「透! 陽斗!!」
凪が駆け込んでくる。
息を切らしながらも、目だけは強く透を見ていた。
「透。
あなたは勘違いしてるわ」
「……え?」
凪は一歩踏み出し、透と陽斗の間に立った。
「透の能力は、確かに“危険”よ。
でも――
透は一度たりとも“陽斗の心を操作していない”」
透は目を見開く。
「俺は……触れてしまったはずだ。
陽斗の不安を薄めようとした……!」
「それは“強制”ではない。
透はただ、自分の感情で“寄り添おうとしただけ”。
相手の心の形を“変えよう”としたことは一度もない」
凪は強い声で言う。
「それを“支配”と呼ぶのは、陽斗の心を侮辱しているわ」
陽斗が息を呑んだ。
「……俺の心を……侮辱……?」
「そうよ。
あなたの透への気持ちが全部“透のせい”だというなら――
あなたの心には、自分の意思がないと言っているのと同じ」
透の心に火が灯る。
陽斗は凪を見つめ、震える声で言った。
「じゃあ……俺が透を信じたいと思ってるのは……
俺の心……なのか?」
「そうよ。
あなたの心はあなたのもの。
透が力を持っていても――
あなたを縛れはしない」
凪は陽斗の影を指さした。
「縛っていたのは透じゃない。
“アクト”よ」
アクトの影が揺れ、低く笑う。
「……いらぬお節介を」




