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影踏みのルミナス  作者: antild


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33/67

陽斗の変化

 翌日。

 陽斗はいつも通り教室に現れ、明るい声で透を呼んだ。


「おい透! 今日帰りにゲーセン寄っていこうぜ!」


「あ、ああ……」


 昨日の影のことなど感じさせないほど、陽斗は元気そうだ。

 しかし――透にはわかる。


(陽斗……お前、まだ“抜け落ちてる”だろ)


 陽斗が透の肩に手を置いた瞬間――

 またしても陽斗の影が、床でふわりと揺れた。


(まただ……!)


 透は背筋を伸ばし、息を呑む。


 影が“笑った”――気がした。


(誰かが陽斗に入ってる……

 ゆっくり、静かに……

 心を乗っ取る準備をしてる……!)


 透の心が焦りで満たされる。


「透? どうした、具合悪いのか?」


「陽斗……お前、最近変なこと……ないか?」


「変なこと?」


「胸が痛むとか……

 自分の気持ちがわからなくなるとか……」


 陽斗の表情が少し曇る。


「……昨日よりはマシだよ。

 でも……たまに変なんだよな」


「変って?」


「誰かに見られてる気がする。

 背後に誰かいるような……気配だけ残ってて……」


(やっぱり……!)


 透は強く息を吸い込む。


「陽斗。今日、帰り――俺と二人で話したい」


「えっ……急にどうした?」


「いいから……

 陽斗、お前の心のことだ」


 陽斗は驚いたように目を瞬かせ、

すぐに柔らかく笑った。


「わかった。透がそう言うなら」


 透は胸の奥が熱くなる。


(陽斗……

 そんなふうに笑うなよ……

 守りたくて……怖くなるだろ)


 と、その時――


 教室の後ろの窓に映る陽斗の影が、くっきりと“手を振った”。


(!!)


 透は息を止めた。


(あれは……まぎれもなく……意思を持ってる)


 第三の能力者は、もう陽斗のすぐそばにいる。


 透は決意する。


(陽斗と向き合う。

 逃げずに、怖れずに。

 俺はこいつを守る)


 夕刻。

 二人は学校の屋上へ向かった。


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