表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
影踏みのルミナス  作者: antild


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

32/67

夜の電話

 その夜。

 透のスマホが鳴った。


 画面には 凪 の名前。


「……霧坂?」


《透。今、話せる?》


「うん」


 電話越しの凪の声は、いつになく緊張していた。


《黒フードの残留気配……調べた。

 どうやら、あいつは“組織”の人間だった》


「組織……?」


《この街には、異能の研究をしている集団が存在する。

 正式名称は不明だけど、裏では“コーラス”って呼ばれてる》


「コーラス……?」


《異能者を観察し、記録し、ときには“誘導”する。

 あなたや喰感者の修也も、彼らの監視対象だった可能性が高い》


 透の背中を冷たい汗が流れる。


(俺たちは……最初から監視されていた?)


「黒フードも……そのコーラスの一員?」


《可能性が高い。

 でも問題は黒フードじゃない。》


 凪は深く息を吸いこんだ。


《透。

 “第三の能力者”が……陽斗の周りに現れた》


「……それ、俺も気づいてた」


《どういうこと?》


「陽斗の影が……微笑んだんだ」


 電話越しに、凪が言葉を失った気配がした。


《透……それ、本格的に危険よ》


「影に……意思があるように見えた」


《第三の能力者の力は“感情の奪取”。

 影へ潜んで“感情の抜け殻”を作り出すことができる》


「つまり……陽斗の心がまた狙われてる?」


《そう。

 おそらく陽斗の“心の復元”を完了させないうちに、

 第三の能力者は“次の奪取”を始めてる》


「そんな……!」


 透は拳を握り締めた。


《透。あなたの力じゃないと、陽斗を守れない。

 でもあなたの力は、陽斗を傷つける可能性もある》


 凪の言葉は正しい。

 しかし透にはもう迷う余裕はなかった。


「俺は――陽斗を守るよ」


《透……》


「たとえ嫌われてもいい。

 俺は……陽斗を失うほうが、ずっと怖い」


 凪はしばらく黙った後、小さく呟いた。


《……あなた、本当に強いわね。

 でも、ひとつ言っておく》


「?」


《“守る”って言いながら、

 あなたの心が陽斗に向いているその強さは……

 共鳴者としては、最も危険な形よ》


 透の心臓が大きく跳ねた。


《だから――気をつけて。

 陽斗にとって“一番の危険”になるのは……

 あなた自身かもしれない》


 透は唇を噛んだ。


「…………俺は傷つけない」


《決めるのはあなたじゃない。

 陽斗よ》


 電話が切れる。


 静寂だけが残った。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ