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静けさの裏側
透と陽斗が精神世界から戻った翌日。
学校はいつもと同じように騒がしく、廊下には部活勧誘のポスターが並び、
放課後のチャイムはいつも通り軽い音を響かせた。
だが透には、昨日までの世界とは違うように感じられた。
(黒フード……
“俺と同じ能力者”……
本当にあれは何者なんだ?)
陽斗を救えた安心感の裏で、
透の胸には深い不安が渦巻いていた。
陽斗は昨日よりも元気そうだ。
だがまだ完全ではない。
笑っている背中の奥に、ごく薄い“違和感”が残っている。
(陽斗の心は戻った……
でも、黒フードの干渉が完全に消えたわけじゃない)
透は無意識のうちに陽斗の背中を追ってしまう。
「なに見てんだ、透。俺の背中にホコリでもついてる?」
「べ、別に……」
「はは、なんだよその不自然な返し」
陽斗の笑顔は明るい。
けれどその笑みの裏にある“微かな痛み”は、透だけが感じ取れてしまう。
透は思った。
(陽斗……今度こそ、絶対に守る)




