崩壊する世界からの帰還
精神世界が急激に崩れ始めた。
「透! 行くぞ!」
「うん……!」
二人は光に包まれ、現実へと跳ぶ。
視界が白く染まり――
透が目を開けると、
そこは部室の床だった。
凪が透と陽斗に駆け寄る。
「……二人とも、本当に戻ってきた……!」
陽斗は身体を起こし、透の腕を掴んだ。
「透……!
ありがとう……本当に……!」
陽斗の瞳には、確かに“光”が戻っていた。
透は小さく息をつき、陽斗の手を握り返す。
「戻ってきてくれて……よかった」
陽斗は笑った。
それは紛れもなく陽斗の笑みだった。
凪が言う。
「……透。あんた、本当に“支配”じゃない形で陽斗を救ったのね」
「うん……俺は……陽斗の心を、尊重しただけだよ」
凪は目を丸くした。
「普通の能力者にはできないことよ。
あなたの力は……“慰撫”の能力なのかもね。
支配じゃなく、共鳴……。
他人の感情の痛みを一番理解できる、特別な能力」
透は静かに息を吐いた。
陽斗が笑顔で言う。
「透……これからも俺の横で頼むな。
お前がいないと……なんか落ち着かないんだよ」
透の心が温かく満たされた。
「……陽斗こそ。
俺の親友だから」
二人の手が強く結ばれた。
だが――
その直後、凪が小さくつぶやいた。
「でも……黒フードはまだ消えてない。
あれは別の能力者。
透……あんたはもう狙われる側よ」
透は陽斗と見つめ合う。
(……黒フード。
“俺と同じ力”を持つと言ったあいつ……
いったい何者だ……?)
黒フードとの戦いは、まだ始まったばかりだった。




