陽斗の心へ
透は、黒フードに向き直った。
「……俺は支配なんかしない」
「なら陽斗は消えるぞ?」
「消させない」
透は陽斗の手を強く握りしめた。
「陽斗。
お前の心は、お前のものだ。
俺は……手伝うだけだよ」
陽斗の瞳が揺れた。
「透……」
「思い出さなくてもいい。
“感じて”くれればそれでいい」
透は自分の胸に手を当てた。
「俺はお前を信じてる」
その瞬間――
透の感情が、陽斗の精神へ“波紋”のように広がった。
暖かく、柔らかく、光の粒が陽斗の心を包む。
「……なんだこれ……あたたかい……」
「俺の想いだ。
お前に“押しつける”んじゃない。
ただ、届けたいだけだ」
陽斗の瞳に、初めて“色”が戻った。
黒フードが焦ったように声を荒げる。
「馬鹿な……!
そんな中途半端な感情で……陽斗を取り戻せるはずが――!」
透は叫ぶ。
「陽斗!!
お前は……俺の、“親友”だ!!」
陽斗の瞳が大きく開いた。
「透……!!」
光が陽斗の全身に満ち、
黒く塗りつぶされていた“透への想い”の記憶部分にひびが入り――
ひびは、徐々に光へと変わっていく。
陽斗の胸に、強烈な“感情”が蘇った。
「俺……透といると……すげぇ安心するの……
それ、全部本物だったんだ……!」
「そうだよ!」
黒フードが激しく叫ぶ。
「やめろ!!!
感情の支配を拒否して……どうやって人を救う!
そんな弱々しい力で……!」
「弱くなんかない!」
透が叫ぶと、陽斗が透の腕を掴んだ。
「透……!
俺はお前を信じる!!」
黄金の光が爆発し、精神世界が白く染まった。
黒フードの身体が吹き飛ぶ。
「まだだ……!
まだ終わってない!!
お前は必ず“支配”に堕ちる……!」
黒フードは闇に飲まれ、姿を消した。




