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本当の“優しさ”とは
凪の声がどこかで響いた。
『透……聞こえる……?』
(凪!?)
『精神世界の入り口まで来た。でも深入りはできない……
ただ、一つだけ言わせて』
凪の声は、珍しく震えていた。
『透はずっと“人の心を傷つけないように”生きてきた。
でもね――
本当の優しさは、“触れないこと”じゃない』
透の胸が揺れる。
『触れるのが怖いからって、相手に背を向けるのは……
それ、優しさじゃないよ。
“逃げ”だよ』
透は息を呑んだ。
自分が陽斗から距離を置こうとした理由。
陽斗の影に触れようとしなかった理由。
全部を凪に見透かされていた。
(俺は……逃げてたのか?
陽斗の心に触れることから……)
凪の声は続く。
『透。
本当に大切な人には――
傷つくのを覚悟してでも、触れなきゃいけない時がある』
透は目を閉じた。
(……そうだ)
陽斗の孤独に触れるのが怖かった。
陽斗を支配してしまうんじゃないかと怯えていた。
でも――
“触れなければ”陽斗は完全に壊れてしまう。




