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影踏みのルミナス  作者: antild


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23/67

陽斗の“本当の秘密”

 陽斗が声を震わせる。


「透……。

 俺ずっと……お前といると安心してた。

 でも、それって――

 お前の力のせいなのか……?」


 透は言葉を失う。


 陽斗は胸を押さえ、苦しげに続けた。


「……俺、気づいてたんだ。

 小さい頃から俺は他人の“気配”に敏感だった。

 怖いくらいに、相手の心の揺れに気づけた。


 だから、透と出会ったときに……思ったんだ。


 “こいつは普通じゃない”って」


 透の肩が震える。


 陽斗は微笑む――

 寂しさを含んだ、本当の陽斗の笑顔で。


「それでも……

 お前のそばにいると、胸の奥があったかくなる感じがして……

 怖くても……離れたくなかった」


 胸が締めつけられる。


「それって……俺の力のせい……なのか……?」


 陽斗の質問は、透を刺す刃だった。


 透は必死に首を振る。


「違う!

 俺は……陽斗を支配したりなんて……!」


「でも今の俺には……それがわからない」


 陽斗は痛みに耐えるように目を閉じた。


「俺の“透への気持ち”は……本物だったのか?

 それとも……透の能力が作った偽物なのか?」


 透は返せなかった。


 たとえ偽物じゃないと感じていても、

それを“証明”できる言葉を透は持っていない。


 黒フードが笑う。


「ほら見ろ。

 陽斗はもう、“感情の空白”に沈んでいる。


 ここを埋める方法は、ひとつだけだ」


 透が顔を上げる。


「……ひとつ?」


「お前の能力が完全に開花したとき――

 お前は陽斗の心を“塗り直す”ことができる。


 愛でも友情でも恐怖でも、

 お前が望む形に、陽斗を染め上げることができる」


 透の顔が青ざめた。


「……そんなこと……できるわけ……」


「できるよ。

 神代透。

 お前の力は“支配”だ。

 その真価を解放するだけだ」


 陽斗の精神世界が大きく揺らぎ始めた。

 黒い亀裂が彼の足元から広がっていく。


「透……

 俺……怖いんだ」


 陽斗が泣きそうに呟く。


「お前を信じたいのに……

 信じるための“感情”がなくて……

 どうすればいいかわからない……」


 透は陽斗の肩を掴む。


「全部取り戻す!

 陽斗の心も、感情も、記憶も……俺が取り戻す!」


 陽斗の瞳に光が宿る。


「透……本当に……?」


 透は涙をこらえて頷いた。


「支配なんてしない。

 お前の心は……お前のものだ。

 俺はただ……“本物の陽斗”を取り戻したい」


 黒フードが低く笑う。


「じゃあ――証明してみろ。


 支配せずに、陽斗の心を救ってみろよ。

 それがお前にできるなら……の話だがな」


 陽斗の心の世界が崩壊を始める中、

透は初めて――

自分の能力と真正面から向き合った。

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