黒フードの“目的”
黒フードは手を広げ、陽斗の精神世界を歪ませる。
光がねじれ、闇が広がる。
「さて――
本題に入ろうか、神代透」
その声には、不気味な優しさが混ざっていた。
「お前の力を“目覚めさせる”ためには、
陽斗の感情が邪魔だったんだよ」
「……邪魔?」
「そう。
お前と陽斗の絆は強すぎる。
お前が恐れる“暴走”を抑えつづけるほどにね。
お前は陽斗に触れると、必ず“優しさ”を持つ。
支配の力が芽吹く前に、必ず止まってしまう」
黒フードの声が低くなる。
「だから、陽斗から“お前への感情”を奪った」
透は叫ぶ。
「ふざけるな!!
陽斗の気持ちは……陽斗のものだ!!
お前なんかが奪っていいわけない!!」
陽斗が震えながら言う。
「透……それ、言われても……
俺は……感情が思い出せないんだ」
透は陽斗の手を握ろうとするが、
陽斗は一歩、無意識に後ずさった。
その距離が、透の胸をえぐる。
(……俺が……陽斗を……傷つけてる?)
透の指先が震える。
黒フードが囁く。
「透。
お前の力は、誰よりも美しい。
だが“怖れ”が邪魔をして、半端な力しか使えていない」
「俺は……支配なんて……!」
「違うだろ?」
黒フードが陽斗の肩に手をかける。
「お前は――“守りたい”んじゃない。
“救いたい相手を、自分の手で正しい方向へ導きたい”。
その願いこそが、支配の根源だ」
透の息が詰まる。
(そんなつもりじゃ……ない……)
でも。
守りたいと思ったとき、相手の感情を変えたことがある。
それが優しさなのか、利己なのか――透にはもう判断がつかない。




