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現実世界へ
透が目を開くと、倒れ込んだ修也の体を凪が支えていた。
「透……やったのね」
凪の目に、かすかな驚きと安堵が混ざっている。
修也はゆっくりと目を開いた。
「……俺……どうして……」
「もう大丈夫。
お前は間違ってたけど、救われるべき人間だよ」
修也の瞳に涙が溢れた。
「ごめ……ごめん……」
透は頷いた。
(陽斗……無事だろうか)
透はふらつく身体で立ち上がった。
凪が支えながら言う。
「透……あれだけの“共鳴”を使ったのは危険よ。
あなたの心も削れてる」
「陽斗のところに……行かないと……」
「行くわよ。一緒に」
透と凪は急いで部室棟へ向かう。
しかし――
途中で、凪が突然立ち止まった。
「……透。
陽斗の“感情の気配”、完全に……変質してる」
凪の顔が蒼白になる。
「誰かが……陽斗に触れた。
透とは違う誰かが」
透の胸が冷たくなる。
(喰感者は倒した……なら……誰が……?)
答えはまだ見えない。
だが、陽斗の孤独の色は――
もう元には戻らないほど揺らいでいた。




