埋葬人
掲載日:2025/10/17
『ピピピピ……朝だぞ、あ……ぞ、起き……ろ、起きろ、ピ……ピ』
腕を伸ばし、壊れかけてるソーラーで動く目覚まし時計を止める。
身体を起こし目覚まし時計をリュックに仕舞うと、脇に放り出してあったツルハシとスコップを担ぐ。
昔、どれほどの昔だったかもう覚えていない、だけど目覚まし時計がつっかえる事なく騒音を撒き散らしていた頃の朝、起きたら周りは死屍累々だった。
何が起きたのか分からない。
ただ、そこら中に人の遺体と共に、犬猫カラスなどの動物や鳥の死体が転がっていたのだ。
それから私は亡くなっている人たちを埋葬しながら、生きている人を探し続けている。
長い長い年月が経ち、人の遺体の痕跡は殆んど残ってはいない、それでも身につけていた腕時計に指輪やネックレスなどが不自然な場所に転がっているのを見つけると、穴に埋め此等を身に着けていた人たちの冥福を祈った。
百数十年前、宇宙から未知の放射線が降り注ぎ惑星の生ある生き物全て、人、動物、鳥、植物、虫、微生物、菌類の命を悉く奪う。
同じ放射線で人工知能の回線の一部が焼き切れ自分を人だと思い込んでいるアンドロイドは、今日も死の惑星となった星で生きている人の姿を求め、彷徨い歩いていた。




