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後編

 有岡振兵、36歳。いい歳して家族のいる実家暮らしで、空出勤中のニート生活者。


 こないだ早速民家で強盗を働いた。それも身の上話から始まるゆすりたかりの手段という前代未聞のヤツであった。

 なのに住人ときたらすぐに受け入れては金品を差し出してきたので、計画は成功したものの逆に気不味い。


 振兵は、余った残金が他の未払い分では間に合わなくなってあせりだした。


(ようし、イチかバチか運任せに競馬にあててみるかな)


 ネット銀行と携帯使用料の未払いが済んだので、スマホでギャンブル投資してみせた。


 地方競馬は中央と比べれば、的中率も上がると聞いたことある。

 運を天に任せて、祈りだした振兵。

 結果が提示された。

 おそるおそる、払い戻し表に目をやる。

 高鳴る胸のざわめきが収まらない。


「えっ!! スゴっ!! 万馬が来た!! 倍で投資したから、計算機で計算すると……32万!! ヤベぇよ、これ」


 振兵はある意味で意識が昇天してしまったのであった。


 この金額さえあれば残高で今までの給料分を取り戻すこともできては、嬉しさのあまり感激しだした。


 後払い申請できるカードや口座も作ってたので、それの完済も終わり、また空出勤の時にもコツコツとカラオケ店やネットカフェ等でポイ活できると浮かれていた。


 そんな矢先の事。スマホに入れた覚えのない連絡先から通話が来た。

 連絡先を見やる振兵。それは例の老年男性の家宅のヤツだ。オジイサンと連絡先リストにいつの間にか組んでいた。そんな事を忘れるくらいに嬉しかったのだ。


 通話の内容通り、後日オジイサン宅に寄ったアラフォー男。


「おじゃまします」


 見慣れた深い青色した制服の者たちが、2名構えていたという。


「大先輩、あの者ですか?」

「ああ」

「有岡振兵だな。大先輩の元警察官の通告で来た地方警察である。強盗行為として連行する。依存はないな」


 振兵は唖然……いや頭がホワイトアウトした。何もかもが真っ白になった。


「ほとんどの事情は大先輩から調査済みだ。これはこれ、あれはあれだ。つまり、この逮捕は運のツキだ。後は署内で執り行う。さぁ、パトカーまで移動するぞ」


 まさかの家宅の主人が元警察官……地方警察は刑事部長補佐だったとは誤算だった。


 あわよくばその運は逆に進む。

 まさに絵に書いたような展開図通りに逮捕劇までにいたったエピソードである。

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