第1話 ① 入学試験
「はあ、、、上司にどう報告しよう、、、」
「あれ~?デンビゲンなんでここいんの~?」と後ろから肩を叩かれた
「アノテロテタ中将!お疲れ様です。」
「そんなかしこまらないでよ~僕ら同期じゃん~。っで何で君はここにいるの~?天界に行ったんじゃないんだっけ、、、?」
「あ、それが、、、移転局の手違いで違う人が天界行っちゃったらしくて、、、その人が計画を代わりにって、、、っで!その人があのマスティフだったんすよ!!」
「え、、、?」アノテロテタ中将の瞳孔が開く。
「いや~、中将と競い合ってたマスティフだなんてとんだ奇跡ですよね!!!僕、悪魔学校で二人とスポディオス見て心躍らせていましたもん。マスティフ軍辞めてからは、、、っふぐ」と口をふさがれた。どうした、まずいこと言ったか?
「面白いことなってんじゃーん、じゃあ僕忙しいから、じゃ~ね~~」
「はい。お疲れ様です。」
マースが天界にか。これも運命の悪戯かな~。
まあ、仕事ゲットしてたみたいだしいっか~。
「編入試験受験の方~。受験番号が~、、、、」
はあ、来ちゃった。ここがオリュンポスか、、、。昨日ティオスさんから聞いた話だと、オリュンポスが求めているのは何でもできる人。オリュンポスは1日目に筆記試験、2日目に実技試験、そしてその後の面接。ハードだな。一日目の試験を合格しないと2日目の試験は進めないし、最終試験の面接も2日目を合格しないといけない。
えーっと受験番号666は、、、ここか。よし、、、気合いれてがんばるぞ!
つ、つかれた~~。久しぶりに頭をめっちゃ使ってもうへとへとだー。流石にそこら辺の受験生より3つも年上だし、数学とか理科とか魔界と同じ教科ならできた自信があるけど、聖力基礎学やら天界歴史学やらティオスさんから基礎は聞いたけど手ごたえがミリもない、、、これは受かったか微妙だな、、、
「おー、おつかれ。」とティオスさんがオリュンポスの校門前でむかえにきてくれた。
「どうだった?試験」
「微妙っすかね~やっぱ天界に関するのは難しいっす。」
「まあ、これに落ちてもまだ他に選択肢もあるし大丈夫だ。」
「そうなんですか。」先に言ってくれよな――
「さあ、最終調整するぞ、これをかけてから一回魔術出してみろ」
「はい。、、、フィロカ」と一番得意な炎を手からだす。
「どうっすか?」
「おう、大丈夫だ。ちゃんと神術にみえてる。よし。明日は暴れてこい!」と背中をドンっと叩く。魔術が天界の魔術である神術に見えるようにティオスさんが小細工してくれたらしい。
「はい!」
「は~い。受験生の皆さん~、ここに合格者の番号が書いています。合格者は運動着を受け取って校庭に集合してください」
と掲示板にみんなが集り、歓声や悲鳴があがる。お願い。あってくれ。666、、、666、、、
あった!!よかった、、、。これで実技試験にコマを進められる。俺はやっぱり机でカリカリ勉強するより実地で体動かすほうが好きだしここで点数稼がないと!
「編入試験2日目ですか、今年の受験生はどんな感じですかね?オケアノス先生」
「う~ん。どうだろう。筆記試験の採点をしてらっしゃったクレイオス先生が言ってたんですけど、一人全教科ほぼ満点らしいですよ。珍しいですよね。まあ、どんな子が来てもオリュンポスが楽しくなってくれればいいな~~」
「考えが甘いですね。」
「辛辣~~。あ、ヒュペリオン先生がいらっしゃいましたね。」
受験生の皆が校庭に集まる。結構減ったな、、、200人位か?今日は実技試験。ここで点数稼がねえと。
「受験生の皆。おはよう!!俺は試験の総指揮をとるヒュペリオンだ!」褐色の肌に白髪。きらきらしている若い男の人が現れた。うわ~~悪魔としてはこれは浄化されそうな笑顔だ、、、。
「今日の実技試験は2人一組でチームを組み尻尾取りをしてもらう!」
尻尾取り?小さい頃は遊んだ気もするけど、、、
「しっぽ取りだからと侮ることなかれ!この試験で君たちの聖力の扱い、神術の技術力など実技能力だけでなく一緒に組む相手との協調性、リーダーシップなども見せてもらう!二人とも紐を取られた時点で失格。もし自分が取られても相手が取られなかったらOK。もし紐を取られてしまってもそれまでの動きも見ている!よし。それでは、皆手を挙げてくれ」みな右手を掲げる
「パチン!」と指パッチンをすると皆の右手に色とりどりの紐が現れた、俺は黄色か同じ黄色の紐の人は、、、?
「あの~同じ黄色ですよね?」と小さい女の子が声をかけてきた。ボブ位の金髪に花のいい匂いする、可愛い子だな。
「君が同じチームか、よろしく。俺はマスティフだ」
「私はセポラです。宜しくお願いします。」
「それでは試験を開始するぞ!それでは、ディモロジア!」とヒュペリオンさんが右手を振る。ちょっと、作戦を練る時間を、、、と校庭が広くなって、木がニョキニョキ生えてきて、水が流れ始て川が出来た。新緑の匂いを風が運ぶ。気持ちいい、、、でもすごい。これがオリュンポス教師、、、俺の母校の教師よりレベルが高い気がする。
「わあ、、、すごい、、、」って見とれてる場合じゃない。周りから人が沢山いる。敵が周りにいるんだ。気を抜かないで、紐を取らないと。ま、とりあえず
「フィロカ」と、俺らの周りに炎が取り囲む。幸運なことに神術も魔術も呪文は一緒らしい
「うわ!炎!マスティフさん攻撃されてる!」
「大丈夫。俺の炎のま、、、神術だから。」
「す、すごいですね、、、」
「とりあえずは大丈夫だ。作戦を決めよう。君の得意神術はなんだ?」
「えっと、、、花を咲かせられます、、、。」
「花か、、、」多分神術での扱いも大切なんだなこれ。守りだけじゃいけないな、、
「ごめんなさい!力が弱くて、私筆記試験しかできなくて、本当今回足をすごい引っ張ってしまうと思います、、、。」
「例え弱くても扱い次第。僕の友達も似たような力を持っているけどすごい強いんだ。ちなみに花を咲かすっていうのはどこまで花?木とかはできる?」
「できます!」
「なるほど、、、よし。セポラ、作戦は、、、」
「わかりました!」
「いやー結構取れたな!」と歩く少年の手には色とりどりのしっぽが握られている。
「俺等結構強くね?!このまま実技試験もらくしょ、、、なんか来るな」
「ああ」
体が強張る。俺等の体に影が重なる。
「上だ!」
どーーん、上から降りて大きな音と砂埃が舞った。
「?!」砂埃を裂くように手が出てきた
「あっぶな、、、。」顔のギリギリをかすめる
「おい、後ろがガラ空きだぜ」と俺の相棒がこいつの尻尾に手を伸ばす
「そんな大声あげなくてもわかってるぞ」とその男が指をふる
「うわ、アッチ!」こいつの後ろに炎が上がる。
こいつ強い、、、「でもそっちのほうがテンション上がるじゃねえか!ティキリウス!」
「ティキリウス!一人だなんて無防備だな!」確かこいつの相手はセポラ。令嬢だしきっとビビって逃げたんだろう俺等は二人。数の暴力でゴリ押すぜ!
「セポラ!今だ!」
「フィト!」後ろの方から声が聞こえた。
「?!」周りの地面がゴロゴロ揺れる。
「何だ?、、、わ!」いきなり体が動けない、、、これは木?
「じゃあ、お、右手にいいもん持ってんじゃん。もーらい。」
「セポラーー、いっぱいゲットできた。」
「さすがです!私の神術がこんなにも役立つなんてびっくりです!こちらこそありがとうございます!マスティフさん」
「マスティフでいいよ。」
「じゃあ、マスティフ、ありがとうございます!」
「いや~あの受験生いいね」と目をキラキラ輝かせるのは、オリュンポスの実技学のティア
「ティア先生。でも、マスティフ君はちょっといきなり前に出てきすぎじゃないかな?2対1で一瞬追い込まれてたし」
「逆ですよ、校長。いきなり前に出て敵を彼自身に集中させセポラから気をそらして、ペルセポネが攻撃する。作戦は簡単だけどマスティフがある程度強くないとできない。いやー彼いいっすね。いや、でもあの二人とはあんま相性よくないけどどうなるんだろう、そういえばあの二人の作戦も素晴らしくて、、、聴いてます?校長?」
「聞いてるよ、、、あの力、、、」
「まーた校長がティア先生に絡まれてるーー」とケラケラ笑うのはオリュンポス教師総監のオケアノス。
「校長は神術開発畑の人ですから、あんまり戦略はわかんないでしょうね。」とオケアノスの隣に座るのはオリュンポス戦闘学担当のコイオス
「コイオス先生はどう思いますか?マスティフ君とセポラさん」
「セポラは分かんないけどマスティフは指導のし甲斐がありそうですね」
「わあ、笑ってる、、、マスティフ君ご愁傷様だね」