表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
登校途中に繋がった異世界からやんごとなき方として戻ってきてしまった話  作者: kaioosima
第一章 パイが増えても中身がメリットだけとは限らない
6/50

006 情報開示は早ければ良いとは限らないのに…

今回もまた新キャラが登場して急な展開の描写になります。

 ○2023年4月7日昼 日本国 鹿児島県南部 海士臣島(あまとみしま) 海士臣市 ループ橋付近集落 幻田宅○


「…全く…貴方と言う方はいつもご軽率が過ぎます。重要ではないとはいえ異界の方々にそこまで我が国を始めとした各国の情報を軽々と…」


 ミカエルの鼻っ面に宗一から急須を投げつけられて数分後、彼の自宅の居間でミカエルはハイディナに説教されていた。


「…あのーハイディナさん、重要ではないとの事だが…息子の発言と矛盾するようですけど私達はどうなるのでしょうか?」


 ミカエルのこの世界の父であるダニエルが問い掛けるが、ハイディナはやや疲れを見せつつも穏やかな微笑みを彼に向ける。


「御心配には及びません。こちらの方があなた達にお話しされた内容のほとんどはわが国では世間で認知されている情報です。今回の事態でこの星と我々の世界は今後も公に接点を持つことになってそれらの情報も流れてきますからご安心を。この方が後でしばし叱られ…諫められるだけです」

「…それはいいですけど、ミカエルが向こうではお偉いさんだということを知ったのは?」


 次に宗一が少し不安の残る問いを向ける。


「安心してください。世間でこの子が言ってもほとんどは中二病患者だとみなすだけです」

「あ、はい…(異世界と日本語が通じるのもあれだけど、中二病なんて単語もあったのか…)」


 その問いによる不安もハイディナからの空虚な笑みを添えた言葉で、微妙な安心感にもみ消された。


「…それで聞きたいんだけど…、今回の事態で僕らがここへ来る前にいたカルタゴ連邦との共同統治のアトラス星系…特にその星系にあるジブラルタル学院とそこの皆はどうなったんだ?」


 ディスられて微妙さを増していく表情だがミカエルは向こう側の現状について問い掛けた。


「今現在は向こう側の円門(サークル)は安定している模様です。学生達も士官候補生含めて接近及び進入禁止にされています」

「…アーー、良かった…()()…じゃなくてあの人に来られることは無さそうだ…」

「…先生、わからなくはないけどその言い方は失礼ですよ…」

「いや、その言い方さ光代も内心ではそう思ってるってことでしょ」

「そ、そういうわけでは…」


 ハイディナからの答えにミカエルは表情からドッと疲れが抜けたような顔を浮かべ、その言い方に戻ってきていた光代から注意されるが、彼に本音が出ている部分を指摘されると微妙な表情になって視線を逸らした。


「…ん? 何だミカエル? その…あの人と言うのは…?」

「あ、いやーーー…あの人はーーー…僕が向こう側で通っている学園の生徒会長で良い人なんだけど…あんまりにも()()と言うか…!?」


 それにダニエルが怪訝な反応を覚えてミカエルに問うたその直後、窓から円門(サークル)出現と同等の閃光と轟音が差し込んできた。


「キャア!?な、何…!?」


 その閃光で居間の隣りにある台所を借りていたマリアが驚いて窓を開けると、彼女は再び巨大スライムを目にした時のような驚愕に襲われる。


「…ってうわーーー!? 空をスペースシャトルとクリッパー船が合体したようなガラの悪そうな船が飛行してるーーー!!


 宗一が外に飛び出ると、その口から出た叫びの内容まんまな船が空中を航行し、更に船体から生え出ている砲塔から巨大な炎や稲妻を発して大気を震わせていた。


「…ってあれ…向こう側の世界の宇宙海賊だ…」

「お前がいた向こう側の世界って魔法があるファンタジー世界じゃなかったのかー!? 私達は何時から星々の海を巡るスタ○ーみたいなSFファンタジー世界に来たんだーーー…ってのわーー!?」


 遅れて外に出たミカエルが口にした船の正体に、ダニエルが再び状況に追い付けなくなったが故の叫びをあげるが、その途端に彼の付近の地面にその海賊船からの砲撃の一発が着弾して彼をアスファルトの瓦礫諸とも宙へ吹き飛ばした。


「あっぶな!」

「のわぁ!?」


 ミカエルは即座にヴァンパイアの象徴と言うべき翼を生やして飛び立って父を助ける。


「…あ、ありがとうミカエル…って、だ、大丈夫なのか昼間でそんな姿になって…!?」

「あー大丈夫ー、今は技術の進歩でこの腕時計に内蔵している魔法結界展開機能で太陽光の僕らに有害な部分は遮断できるようになってるから。まー夜よりかは体が重くなるのは変わらないけどね…?」


 ミカエルが父を安心させようとしていると、頭上に浮かぶ宇宙海賊の船から広範囲にわたって放送が発され始める。


『よく聞けーーー原住民共ー! この地は我々“バルダラ海賊団”が制圧したーーー! 火傷したくないなら武器を捨てて大人しく家から手を上げて出て来い…!?』


 だが、その海賊が民間人に対して発したテンプレ的な放送の途中で、円門(サークル)周辺に生じている大きな波紋の一つが再び弾け、そこから細長いが甲高い音を添えた光線が発せられた。


『『『『『…ってギャアアアアアアアアアア!!??』』』』』


 その光線は海賊船の胴体に小さな穴をあけると、数秒後に海賊船を巨大な爆炎に包み込んで悲鳴混じりの轟音を周囲に撒き散らした。


「「「「「わぁアアアァアアアアアアアアァアア!!??」」」」」


 再びの異変を受けて再び外に出てきていた住民達はまたしても恐慌に襲われた。


「…先生…今さっきの…“光線”って…」

「ああ、間違いなく…あの人だ…」


 それとは対照的に冷静で、だが非常に微妙そうな表情に変わった光代とミカエルが円門(サークル)に目を向けていると、その周辺に大きな波紋が発生し、そこは大きく発光しだしていた。

 そして、その波紋がイルカに内から飛び出られた海面のようにはじけ飛ぶと、そこから飛び出た何者かが高速で飛んできて、それは幻田宅の前に派手な轟音と粉塵を撒きながら着地した。


「アーっハッハッハッハ! 病院から復帰して早々にこんな異世界まで飛んでいって活躍なんてやるねーミハイル君!!」


 その粉塵が収まると、小さな一軒家は丸々入りそうなクレーターが道路上に出来上がっており、その中心にミカエルと同年代と思わしいやけに元気のある声を発する少女が立っていた。

 少女は赤紫色を帯びた足首まで達する縮れ毛一本ない長髪を一本の三つ編みに纏め上げ、肌の艶は瑞々しい十代半ばだがそれとは相反する凹凸感が既に目立っている四肢の長い長躯のモデル体型を晒し、黄金色を基調とした虹色の大きな瞳を中心に明瞭で大人びながらも妖精の童らしさが同居した美貌を笑顔で固め、明瞭な覇気のある美貌をしていた。


「…えッとーーーー…西太后さん…?」


 但し、爆発の音に釣られて外に出てきたマリアがそう口にした通り、その彼女の格好は清朝末期の中国を描いた映画にでも出てきそうな、通説の中国三大悪女の時系列的意味での最後を飾った女性のような華麗すぎる満州服の格好で、周囲の状況と相まってその美貌と雰囲気は台無しになっていた。


「…会長…褒めるのなら早く退いてください…」


 そして、その彼女の登場による巻き添えで後頭部を踏み付けられた状態で、顔面からアスファルトに出来たクレーターの中心に埋まっているミカエルの存在もそれを加速させていた。


「あーごめんごめん、テロリスト連中の起こしたヤバい実験の後始末が続いてて学校も更に大変になってさー。それでもこんな異世界の星に不躾な格好を見せるのは失礼だしー、ご先祖様からのこの礼服に着替えるのに時間を取られてさー」

「そうですかい…」


 それに気付いたその会長なる人物が退くと、ミカエルはクレーターの中心部からやるせなさそうに慣れた顔をぼこッと引っこ抜くが、ヴァンパイアのおかげか土や砂の汚れがついている以外は傷が見当たらなかった。


「ちょっと生徒会長! あなたまでどうしてこのような干渉禁止対象発展途上惑星に区分されるだろう異世界に来ているのですか!?」


 対照的に光代は非難の色を帯びた表情で駆け寄ってきた。


「…えーーっとハイディナさん…あの新しく現れた子ー…誰ですか?」

「はい、彼女はミカエル君がミハイル様として通われているジブラルタル学院上位学校部に同じく所属して、そこの生徒会長を務められている完顔覚羅(かんがんかぐら)光輝(こうき)生徒会長です」

「すみません、それってジンギスカンの元ネタの国に滅ぼされた方とチャイナドレスの元ネタがあった国のどっちと関係しているのですか…!?」


 再び激変していく状況にダニエルが質問をぶつけていると、再び空が巨石を投じられた水面のように急変しだした。


「…いやー光代ちゃん、何って言われてもねーーー…。そんなのこっちが知りたい感じなんだけどねー。あそこに私達の学校が周辺の町ごと異世界転移しようとしてるのも含めてー」

「…は!?」


 その結果、そこから今度は中世や産業革命期の欧州を基本として、そこに和風や東洋風に意匠も濃い建物も幾つか混じっている大きな学園と、それを囲む都市が存在する大きな島が逆さまになった状態で、波紋から浮上するように出現した。


『こんな所で色々金目のものがありそうな辺境惑星を見つけるたー!』

『あそこに未だタイヤ式の古い乗り物があるぞ!』

『他所より一台でも多く分捕れ! マニアに高く売れるぞ!』

『おい! あそこに島ごと空間転移してきているのは万星連盟直轄学校だ!』

『しかも連盟公認中立地の一つであるジブラルタル学院だ!』

『ジブラルタル学院の連中も一人でも多く捕まえろ! 高い身代金を分捕れるぞ!』


 そして、別の大きな波紋から今度は先ほど光輝が撃ち落としたのとは別の海賊船が大量に飛び出てきて、海士臣島を見ると欲望丸出しの咆哮を次々と上げ出した。


『…って! 何で今度は赤い戦闘型飛行艇に乗る渋いオークのおじさんに駆られまくってそうな海賊が大勢出るような悪夢(ゆめ)になってんのよオオオオオオオ!!??』


 その光景が織りなす轟音に再び家で叩き起こされて外に出た美優紀の悲鳴じみた絶叫が加わった。


『ぶギイィ!?』


 ちなみに美優紀の家には、先ほど光輝の攻撃が原因で宇宙船を破壊されて、死にはしていないが焼き豚のような状態で不時着して目を回している、昔ながらのゴーグルと飛行士帽子を付けて典型的髭面のオークのような風貌をした宇宙海賊の男達が転がり落ちており、それに気付かず家から飛び出てきた美優紀に一人が踏まれて豚のような悲鳴を上げさせられた。


「…あーうん、とりあえず…ラノベ投稿初心者が…初めから急に情報詰め過ぎの垂れ流し過ぎだと…担当からボツを貰いそうな展開に現実がなっているのは解った…」

「………………」


 こうした光景に対してラノベ作家としての苦い経験を添えた父ダニエルの苦い言葉に、息子であるミカエルは返せる言葉が無かった。

本当に、今回の話の終わりで主人公の父が言っている様な展開になりましたね…。

次回から今回の騒ぎは一応の終息のパートに入る予定です(…多分)。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ