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登校途中に繋がった異世界からやんごとなき方として戻ってきてしまった話  作者: kaioosima
第三章 学校に戻っても良い意味で戻れるとは限らない
38/50

038 友の生還自体は喜ばしいことだけど…

今回も、あの怪獣系特撮作品系ネタ要素を思わせる描写がありますけどご注意をお願いします。

 ○2023年4月18日夕刻 日本国 鹿児島県南部 海士臣(あまとみ)島 海士臣市 異空間混在化地帯 日本・異世界仮共同管理区域内 ジブラルタル学院 実習地一角 異常化サトウキビ畑 超巨大異常化サトウキビ焼け跡地○


「「「「「…×××××××…」」」」」


 異常超巨大化サトウキビが異世界由来の病原菌が原因で進化して生まれた巨大魔物キビランテとの激戦が繰り広げられた跡地で、地球の北米や中南米辺りの先住民辺りの神官が用いそうな異世界の言語を用い、そこで戦った生徒や教員に警備員達が喪服にて葬式を上げていた。

 彼らが涙で濡れている視線を集中して向けているのは、彼らにとって馴染み深い戦友であった。


「…前回、我々は盟友コクトー・モートフーキュースキー君の我が身を顧みない尽力もあって…地球滅亡級の災害をどうにか防ぐことが出来ました…」

「…も、元ネタは確かにそうだったけど…こっちのは果たしてそうだったと言えるのか…?」


 その中で生徒達の代表を務めているミハイルが悲しみとその涙を隠せない表情で、祭壇に祭られているコクトーの写真を見やって弔辞を口にしていたが、ダニエルは半信半疑という感じであった。


「…しかし、その代償はあまりにも大きく…コクトー・モートフーキュースキー君は帰らぬ人となってしまったのであります…」

「うう…コクトーの奴…無茶しやがって…」

「時々変態同然の布教活動をしてくるから二回くらいあの世に送りかけたことはあったけど…まさか本当に帰らぬ人になるなんて…」

「爆散した時は正直少しホッとしたけど…本当に死亡確認されるなんて…」

「畜生キビランテめ…貴様のせいで私は…わが自慢の生徒コクトーを…!!」

「………」


 ミハイルの弔辞を中心に、周囲の葬式出席者達は(割と所々で本音を覗かせてはいるが)友や教え子との悲しい別れの言葉を口にしていって涙も流しているが、前回の終わりにその友もろとも情け容赦ない攻勢でキビランテを倒した光景を見てしまっていたダニエルは非常に微妙そうな顔を浮かべていた。


「…そういうわけで、我々はコクトー君のような犠牲者をまた生み出さないためにも、残りの異常化サトウキビの処分を迅速に進めないといけないため葬式はこの辺にして………?」


 そんな父ダニエルの思いを感じたのか、ミハイルは声音を悲しみが隠せないものからピシャっとしたものに変えて葬儀終了と作業再開の号令をかけようとするが、そこで何やら彼らのいる異常化サトウキビ畑で揺れが生じ始めた。


「…え…? 何なのこれ!?」

「これって超小人化魔術薬実験を畑で行ったとき、近くの地面をミミズがすぐ下を這いずっていた時のようなのに似てない…!?」


 揺れは徐々に強くなっていって人々はそれに嫌な意味主体で既視感を強めるが、そこでコクトーの写真が設置されていた祭壇が下の地面ごと噴火を起こしたように吹き飛んだ。


「「「「「キャアああああああああああアアアァアアアアァ!?」」」」」

「こ、今度は何だぁ!?」

「ああ!? 今度は猛烈な勢いで周囲の残っている異常化サトウキビが続々に枯れだしていってるーーー!」


 突然の爆発に人々は再び驚いて周囲の猛スピードでの変化に警戒を再度強めたところで、祭壇を破壊した噴火の如き爆炎の中から再び新たな魔物が姿を現した。


「きいいイイィいいイイィビャアアアアァアアアアアアアアアアァアア!!」


 それはサトウキビの根が寄り集まって出来たような体をした、土煙に汚れてはいるが先端が槍のように鋭い根を無数に生じさせ、頭部が目のないケロイド状の皮膚をした爬虫類風に変化したキビランテであった。


「って今度は第二形態みたいな感じで復活しやがったーーーー! 元ネタと違って宇宙からじゃなく地底から復活したみたいな感じで土色だけどおおおおおおおおお!!」


 まさかの怪獣級魔物復活とそれまで某怪獣映画に似ていることにダニエルは悲鳴交じりの絶叫を上げるが、周囲にいる探検科の生徒達や教師達は最初こそ驚いていたものの次々と得物を構えて防衛体制を整えていく。


「…ちい! コクトーが身を這ってくれたのに…それを無駄にするようなことしやがって!」

「落ち着いて皆! 一度倒せた以上は二度目までは無理だなんてことはないわ!」

「ああ! 今度こそ細胞の一つ残さず消し去ってやる―――!?」

「ぴぎゃ♪」


 だが、人々が防戦の構えを完成させようとしたところで、その進化したキビランテは大きく開いた口から誰かを吐き出した。


「……ふ…ふうう…何やら急に炎やら雷やら武器やら氷やらの雨を浴びせられて死ぬかと思ったけど…どうにか再生して復活できたよ…」


 それは全身がキビランテのものと思わしい唾で濡れ切って弱々しくなっているが、先ほど葬式を挙げられていたはずのコクトーであった。


「…え? 何でこの子が生きているんだ? 死んでいなかったのは良いことだけど…?」

「む? この普段温和そうだけど突っ込みの時は際どくも鋭そうなエウロパ系ミドルダンディはいったい…?」


 その先ほど死んだと思われた息子の友達の生還という奇跡で安堵と困惑が同時に生じるダニエルに、初対面のコクトーが怪訝な反応を示すとミハイルが間に入った。


「あー、この人はダニエル・カールソンって言ってこの地球でミカエルとしての僕のお父さん。僕らの世界と地球を繋げる契機になったあの事件で生じた時空間異常で仮死状態になった僕の魂がこの世界の昔kへ漂着してカールソン家に男子に転生して以降育ててくれた人。まーその時の肉体はこっち側が僕らの世界とつながった時の衝撃で多分消滅してその魂は元からの肉体である今の身体に戻ったから肉体的血縁はないけど、今でもこっちのお父さんと同じく僕のお父さんだよ」

「おお、この人が話に聞いていたミハイル君のもう一人のお父さん…」

「というかどうやって君は助かったんだコクトー君?」

「…あー、それはよく憶えてないけどー…、たしかどういうわけか全身が炎やら稲妻やらに包み込まれててー、めっさ死にそうになってたところで近くに糖類を大量に含んでいる植物があったのを見つけたので糖分連結同化能力でそれに融合侵入して取り込んで傷を治しながら必死に奥へ逃げてー、それでも熱やら何やらが追ってきたので何とか防ごうと近くにある根っ子っぽい糖類多量内包植物と片っ端から繋がって吸収してー、それで熱がようやく下がったところで繋がっていたあの植物系らしき魔物の中から分離したというところでーー…あ」


 ミハイルにダニエルを紹介されて続けて助かった理由を聞かれると、コクトーは幾つかの記憶の欠落も含めてその経緯を説明していくが、それが終わろうとしたところで疲労が深かったのか倒れて意識を失った。


「レミーサ先生-、今さっきコクトー君が説明した経緯でどうやらキビランテは他の異常化サトウキビと共に糖類に引きずられて全ての栄養を引き抜かれたようで枯死しましたー」


 そのコクトーが倒れて残されたのは、彼によって全ての養分を吸われて死んだと思わしき枯れ切ったサトウキビの山だった。


「…あー、じゃーとりあえず一応は生き残りがいないか調べてそれが確認された場合は、必要なデータ分は採取した後はすぐに除草しながらも後片付けを始めろー。コクトーをはじめ負傷や疲労が強い子は学院内病院に行って診てもらえー」

「「「「「はーーーーい」」」」」

「…え!? 割と色々浮き沈みの激しい展開が立て続けに流れた後でこんな妙にあっさりとしたオチでいいの!?」


 その状態を知ると探検科の生徒達や教師陣は速やかに慣れた調子で異常化サトウキビ畑の後始末に入り、それにダニエルは強い拍子抜けを覚えてこけそうになった。


(…こ、この外道どもめ…! 友にまでここまで情け容赦ない真似をするとは…人間だけでなく銀河中にはびこっているというこいつら異世界の者どもも滅ぼさねば! そのためにも…元々の身体を奪いおったこ奴の吸収能力に乗じて移れたこ奴の身体をまず秘かに乗っ取って回復せねば…!!)


 ちなみにそうして運ばれていく重傷者の一人として担架で運ばれていくコクトーの身の一角に、キビランテの巨躯に現れたのと同じ目が怒りで血走ったかのような状態で浮かび上がったが、すぐに消えたのでこの場で気付けた者はいなかった。

生命力やその能力は意外に高いのに、不憫がちな扱いされがちなコクトー君…。

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