037 決断と行動は早さを求められるのが多いけど…
今回は思いついていたネタを纏めるのに時間がかかってしまって投稿が遅れて申し訳ありませんでした。
他にも身内が肺で重い病気で入院していた所からようやく退院かと思ったら、今度は家の中で別の身内が倒れているのを発見してそれで救急車を呼んだりと、本当に色々あって大変な日が続いていました。
○2023年4月18日正午 日本国 鹿児島県南部 海士臣島 海士臣市 異空間混在化地帯 日本・異世界仮共同管理区域内 ジブラルタル学院 実習地一角 異常化サトウキビ畑 超巨大異常化サトウキビ頂上部○
「…ごくごくごく! ぷは―! 何というかとろみがあって独特な飲み心地だけど慣れれば結構美味いなー!」
コクトーの奇行で異常巨大化サトウキビの根元であるひと騒ぎが起きてから十数分後、それとは反対側に位置する頂上部分では覗き失敗組の男子達が、その騒ぎを起こしたコクトーの成分が混じっているとは知らないミキを勢いよく飲み込んでいた。
「あの光代さんが飲んでいたのと同じのだからなー。カズサもたまには粋な計らいをするぜー。もう一本!」
「はいはい、待っててねー…ほれ、受け取れー…!?」
だが、そうして彼らが飲み干しているミキ入り牛乳瓶の一本が別の男子の手に投げ渡されようとしていたころ、それは何処からともなく伸びてきた大きな蔓で巻き取られた。
「…は? 何だこりゃあ?」
「おい、蔓系植物の樹人なんてこの場の面子にいたか?」
「いや、いないはずだけど…!?」
それに頂上部分で作業中の探検科男子達は怪訝に思うが、その彼らにも巨大な無数の蔓が次々と襲い掛かった。
「のわー!?」
「何だー!?」
覗き失敗組男子達はそれに驚いて悲鳴を上げるが、抵抗が形になる前に彼らの身は次々と拘束されていった。
「…ん? 何か揺れてない?」
同じ頃、異常巨大化サトウキビの根元にて、解析を担当している生徒達も異変を感じ始めた。
「…何かこれ、あれに似ていませんか…? そう…以前に行った小人化魔術で異常環境化していた雑草地帯の内部に調査に出た時、事情を知らない他のクラスの子たちが近くの雑草を土ごと引っこ抜いた時に巻き添えを受けた時の…」
「…あー、たしかそんなこともあったなー…!?」
光代がその異変に懐かしさも覚えたその時、彼女と一緒に解析用テントの中で作業していたミハイルの前で、頂上部分で作業していた男子達を襲ってきた蔓とよく似た土まみれの巨大な根が無数の大蛇のように高速で蠢いてテントを破壊し、彼女の身を縛り上げて搔っ攫った。
「…ってあああ!?」
「光代ーーー!?」
悲鳴と共にその身も根に吊り上げられていく光代を追ってミハイルがテントの外に出ると、外には同様に巨大化した蔓や根が人々を襲う光景が生じて広がりつつあった。
「うわー!? 今度はこっちのサトウキビが怪物化したー!?」
「火炎系魔術が得意な子を呼んでー!」
「魔物系も対象にした急速除草剤もすぐに噴射機に入れてー!」
周囲の警備兵や探検科生徒達も直ちに対処へ動いていたが、如何せん数の多さとサイズの大きさに素早さから苦戦を余儀なくされている。
「アアアア!?」
「おい! それ以上こっちの弟子に無体な真似をするな…!?」
そうして拘束された人々に混じって吊り上げられていく光代だけでも助けようとミハイルが背中から翼を生やして飛び立ったその瞬間、彼の身は突如として空から降り注いできた無数ある金色の大きな火炎弾に飲み込まれた。
「キャア!?」
「うわあ!?」
「しめた!」
「キャッチィ!」
同様の火炎弾の雨は蔓や根の群れにも襲い掛かるが、器用に人々は躱してその身を縛るもののみを撃ち落として解放していき、それを見た他の警備兵や生徒達は魔術を駆使して救助して軟着陸させていく。
「これは何が起きているの!?」
燃えながら重量に引かれていく根や蔓に混じって着地した光輝の叫び声で問いかける。
「ああ!? 光輝生徒会長! 何故こんなところに!?」
「生徒会室で皆と一緒に学校行事準備の机仕事をしていたら窓越しにこの光景を見てきたのよ! 近くの他の生徒達には避難指示を出してからね! それと光代ちゃん! こういう場につきものだけど何だかんだ頼りになる彼は!?」
「…あ、なんかこういうのを呼び寄せる疫病神体質みたいなのあるんじゃないかってあの先生なら今さっきに会長が放った―――」
「黄金の炎で今現在文字通り炎上中ですけど!?」
「―――あ…」
光代はその光輝と割と酷い要素も混じる問いかけを行い合うが、その二人の間を金色の炎に包まれた状態で少年が悲鳴を上げながら飛び込んできた。
「あーもうこの状況でやかましい! それ!」
「つめたあっづううう!?」
それを見て光輝が近くにあったまだ巨釜で煮込まれている最中の大量のサトウキビ汁をぶっかけて消火すると、代わりに火傷と煤だらけになったミハイルが姿を現した。
「ちょっとぉ!? そんな煮えてる状態のサトウキビ汁を人にぶっかけるなんてあんたの一族は食育や躾けどうなってるわけ!?」
「火だるまになってたのを助けてあげたんだから感謝しなさい!」
「そもそも火だるまになったのもあんたの味方誤射のせいだよね!? しかもなんで僕だけ!?」
「そもそもヴァンパイアで且つその中でも最大五人くらいしかいないマジモンの不死身なんだからごちゃごちゃ言わない!」
「ちょっとぉ!? ヴァンパイアでも痛いしそもそもそれって今では差別発言なんですけど――――!?」
「ゴラアアアァアアアアァ!! ひと様…ではなくて我を無視して何を自分らだけで騒いでおるか貴様らーーー!!??」
そのミハイルと光輝の間で口喧嘩が勃発しそうになるが、そこで頭上から雷の如き大音量で怒りを宿した咆哮が降り注いできた。
「―――あってみ、耳が痛い…だ、誰だぁ…って異常巨大化サトウキビィ!?」
ミハイルが鼓膜に少しに痛みを覚えながら見上げると、そこにはススキに似たサトウキビの花が凝縮されて唇みたいになった頭部が生じて喋っている異常巨大化サトウキビの姿があった。
「ちょっとぉ!? なんか今度は東〇に出てきたバイオ怪獣みたいなのが出てきてるんだけどおおおおおおおおおおおおおお!!??」
その姿を見たひとりにして、今朝にミハイルの地球側の保護者として彼やこの学院の学院長であるアマゾウと共に三者面談をした後、学院内の案内を他の教員にしてもらっていたダニエルの咆哮が異常巨大化サトウキビの根元から周囲を震わせてきた。
「…あーうん、〇細胞なんてのはないけど…G〇胞みたいな作用をする菌やウィリスは神訂暦世界にはちらほら発見されるしー…、そういうのに寄生されてあの異常巨大化サトウキビは半動物化及び知力強化したけど凶暴化までしたということか…。これは…ビ○ランテみたいだけどー…バラじゃなくてサトウキビだから―…キビランテってところかな?」
「そんなのんきに危ない命名しとる場合じゃないだろー!!」
それを近くから聞いて、急速に皮膚が再生中で皮膚が真新しくなっている様子のミハイルが〇映ファンあたりから抗議の来そうなネーミングセンスを見せてダニエルに突っ込まれた。
「…キビランテ…ふ、受信して読みとった愚かな人間どもの映像作品に登場していた…〇オランテのように人間どもの身勝手な都合で生み出され、それに対するもてあそばれた生命からの怒りの鉄槌として誕生した我にはふさわしい名だ…」
「って向こうも何か悪くなさそうな感じで受け入れてるー!? というか平成VSシリーズのあれってもっと悲話というか難しい内容の感じでしたけどー!?」
但し、その異常巨大化を通り越して怪獣化まで果たした巨大サトウキビは、そのミハイルがパロディ感覚で付けた名を割と気に入ったようで、ダニエルはそれにも突っ込んだ。
「特に魔術師や魔術戦士でも無さそうなのにあれだけの怪物を相手にあそこまで言えるなんて…ミハイルは身内もあれな意味ですごいのが多いな―――」
「ひええええええええ! 光輝会長にカズサ風紀委員長ー! 助けてー!」
「―――あ…」
親子の間の感覚のずれからくるやり取りに周囲の訳知り顔な人々は微妙にすごいものを見るまなざしをダニエルに向けるが、そこでキビランテの触手化蔓によって捕縛された覗き失敗組男子達の助けを求める悲鳴が飛び込んできた。
「…くくくく…どうだ愚かな人間ども…今まで搾取してきた作物らに縛り上げられて養分を吸われていく感覚は…?」
「…ぐ、ぐるじいい…」
「こ、このままじゃあ…ミイラになっちまうゥウゥ…」
「…あ、でもなんかこの吸われる感覚…何処か悪くないかも…♡」
それを自身の眼前にまで吊り上げて凶暴な笑みを浮かべるキビランテの前で、鋭くなった蔓の先端を身に突き立てられて養分を吸われていく覗き失敗組男子の姿があり、何名か別な意味で心配になっているのも含めて事態を深刻化させていく。
「…まずいわね、あんな子達でもうちの生徒達だから迂闊に攻撃すると巻き添えにしてしまうから…。人質の目的もあるからすぐには吸い尽くされて殺されはしないでしょうけど…」
「え? この際だからあのキビランテもろともあいつらも始末しない? この状況とあんたの実家の権力なら難しくないでしょ」
「カズサさん、あんな人たちでもそれはあまりにも酷薄すぎます…ジャイナさんもそう思うでしょう?」
「え…あ、いやー…光代さん…正直ー…私にも判断は難しいというか…あ」
それを見て根元でそれぞれの得物を構えつつ、女性としては納得の本音も交えながらも救出の手段を一応は考える光代たちだが、その最中にジャイナが蔓に巻き上げられている人々のうちにある人物を見つけて光明を感じた表情になる。
「…くくくくく、あれだけ我が同胞達を搾取してきたくせして…身内を取られると何も出来んか…。所詮人間など醜く弱い存在よの…!?」
一方のキビランテは先ほどから攻撃が止んできた周囲の様子をほくそ笑むが、そこで彼は自身の視界に写る無巣の蔓が急速に薄黄色から黒砂糖のような褐色化をしていき、やがて蔓が腐り落ちて次々と人質が解放されていく光景を目にしてしまう。
「やったぁ! 逃げられるぅ!」
「ば、馬鹿な!? 何が起きてぇ―――!?」
「それはこの僕だぁ!!」
「―――え…お、お前は何奴だぁ!?」
それで猛烈な勢いで葉や茎を駆け下りたり、飛行魔術で逃げていく覗き失敗組男子達を見てキビランテは動揺を見せるが、そこで変色しつつもまだ腐り落ちてはいない蔓に絡まれたまま咆哮を上げるコクトーの存在に気付く。
「あ! そうか! たしかコクトー君はその出自から糖類やそれを多く含むものには同化して操る固有魔術が使える! それを利用すれば力を手に入れたばかりで慣れていないあのキビランテに気配を糖類成分から同調して気付かれずに近寄ってあの蔓に繋がれたのを逆利用して体内糖類を介してあのキビランテを体内から支配するのは難しくないんだ!!」
「え!? 前回の話で何処かの体毛バトル系ギャグマンガに出てきた海藻由来食品擬人化キャラみたいな感じをしていたあの子にそんな割とチートな設定が!?」
それを見てミハイルがその理由を察して間近からそれを聞いたダニエルが意外そうな顔を浮かべるが、そこでコクトーが根元の人々に叫び声で語りかける。
「皆ー! この僕がこいつを体内から操作して身動きできなくしている間にこいつを早く倒すんだー! これだけ巨大だと十秒くらいしか持たないから早くー!!」
「そんな…うちの息子に…その友である君が…いくら前の話であんな…あの体毛バトル系ギャグマンガみたいな不条理変態系登場をかましたからって…友達にそんな友もろとも巻き添えにしかねない攻撃をしろなんて―――!?」
コクトーの我が身を顧みない咆哮にダニエルが真っ当な葛藤に襲われるが、その彼の周囲で強烈な閃光が生じたり、多くの生徒が得物を構えて高速で動き出した。
「久々によくぞやったコクトー!!」
「あとは俺達に任せろー!」
「破城刀ーーー!!」
「超特大火炎砲ーーーー!!」
「うおらーーーーー!!」
「てめえもこのついでにあの世へ逝きやがれーーーー!!」
「―――ぇってこの子たち仲間がいるのに全く容赦ナッシングーーーーーーーーーーーーーー!!!!????」
周囲にいた生徒や警備員達が各々の得意とする攻撃魔術や武器で攻撃し始め、瞬く間に情け容赦ない業火や稲妻に爆炎などがキビランテの巨体を包み込んでいき、それらの轟音に劣らない声量で異世界側の教育の健全さに対する疑念全開の突っ込みがダニエルの口から噴火した。
色々なネタやパロディからお気づきだと思いますけど、作者はあの黄色い巨大球体髪型をして眼鏡をかけたあの人が主役のあの作品のファンです。




