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登校途中に繋がった異世界からやんごとなき方として戻ってきてしまった話  作者: kaioosima
第二章 新天地が新鮮な感動だけとは限らない
27/50

027 頭に良い効き目のある食品はあるけど…

何度も言っておりますけど、拙作は現実における如何なる国家や組織、思想などとは一切関係はございません。

但し、作中の海士臣島のモデルである作者の地元の島にある大○村という村には、西部劇みたいなデザインをしたコンテナハウスで営業されているカフェが実際にあって、そこのカレーは美味しいです。

 ○2023年4月10日夜 アメリカ合衆国 首都ワシントンD.C ホワイトハウス○


『ご覧になられてますか!? 嘗ては自然豊かな平和な島だった海士臣島が異世界と広範囲に融合して幻想的な光景に…!』

『山の上部分と融合したりその上に浮遊しているのは異世界側の学園都市であるらしく…』

『学園都市と見られる各所には、我々が各種ファンタジー作品で見るような存在の他にも…』


 ミカエル達が海士臣島を襲った怪獣による災害から何とか人々を守ってからら2日後、時差の都合で夜になっている地球圏での覇権国であったその国の中枢は、その次に同島を襲ってきた異常現象をニュース画面で確認してしかめっ面になっていた。


「…全く、東欧方面が未だに収まらない状況で今度は地球全体を巻き込んでいる異世界事変が…」

「よりによって同盟国とは言え他国の領内でより悪化するなど…」

「民間人同士の接触が増えている以上はいつどのようにして不本意的な衝突に発展しても可笑しくないぞ!」

「…昔よりかはマシとはいえ、あの国は戦前へのアレルギーが未だに強いおかげで防諜などは遅れていますからなぁ…」

「特にあの隠れ甘党のくせして自分に似てるあのクマのグッズは嫌いな主席がいるあの隣の国がもう裏で色々動いているようですしねぇ…」

「今回の事態を口実に安保理でより大きく取り上げてクリスマス島を国連管轄下として自国の影響力を及ぼそうとしているようですぞ」


 彼らが交わしている言葉の内容は重さばかりが増している一方で、喜色は少なくなっていっていた。

 つい数日前までは過去と比べて他国の成長などで相対的に落ちてきていたとはいえ、未だに地球圏で並ぶもののない影響力を誇っていた母国の地位が、いきなり異世界よりやってきた銀河系規模の大国等という存在で落ち込みつつあるのだから無理はない。


「…170年前に我が国が派遣したペリー提督に開国を迫られた当時の日本の指導者達もこのような気分だったのだろうか…!?」


 閣僚の一人が歴史に絡んで自嘲気味にそう呟いた直後、会議室の扉が気勢よく開かれた。


「…恐れと警戒こそすれど立ち止まる必要はない…。嘗ての独立を果たした時の先人たちにように…我々の代でアメリカ人は再び世界へ一個の挑戦者として立ち向かうべき時…アメリカン・スピリットの原点へ戻っただけだ!!」

「「「「「大統領!!??」」」」」


 その開かれた扉にはTV画面で度々ボケを指摘されている姿からは想像できない、ヒーロー好きなアメリカ人好みの映画などの主人公陣営で出てくるそれのような明晰さを覚えさせる現アメリカ合衆国大統領の姿であった。


「…我が国がこの小さな星での覇権を失うかどうかなどはもはやこの際では問題ではない…」

「「「「「………………」」」」」

「…我々を通してアメリカ国民とその意思がこれから訪れる広大な世界で死したも同然と化せずにするか…その道を我々の理念と国益…何よりアメリカ国民の安全保障と未来から違わぬものに出来るかどうかだ…」


 その明晰と威厳を覚えさせる己に息を飲む側近達を前に、大統領はそれを実現させる重みを更に増させて言葉を続けた。


「…では、この状況で我が国が取り残されて老死する道を迎えずに済む道は…国を閉ざすか開くか、そして…未熟な力を持って自殺へ進むか…恥辱に耐えてでも彼らと我らの理性で整合できる部分を一刻も早く見出していくべきか、その為に…一国でも味方を確保すべきか否か…!?」


 だが、大統領が祖国の向かうべき道を指し示そうとしたところで、彼は何かが慌ただしく近づいて来ていることに気づいて視線をそこへ向けたところで扉が勢い良く開いた。


「大統領! 日本側から緊急重大連絡です! 異世界側における覇権国と目される帝国から今後の空間接続点の管理において我が国に話があると…!!」

「!!」

「「「「「!!!???」」」」」


 扉を開いて現れたその閣僚の一人の報告を受けて、大統領の双眸が勢い良く開き、それと同時に放たれた威圧感で閣僚達が再びビクッと背筋を伸ばした。






 ○2023年4月11日朝 日本国 鹿児島県南部 海士臣(あまとみ)島 某海岸○


 アメリカでその会議が新たな転換点を迎えていた頃、時差の都合で朝となっている現地のとある海岸に存在するそのコンテナハウスに、二つの世界の鍵を握る存在がいた。


「…こうしてアメリカ合衆国現大統領ボー・トシデンは数年の介護必須任期と、数度の覚醒で史に名を刻むことになる…」

「何を○ジ○ュー版○イ○ンズ登場及び覚醒の時のナレーションみたいなこと言ってるんだ?」


 そのコンテナハウスの中で、空間に映し出した映像を見て機械的音声でそう口にするミカエルに、ダニエルが乾いた表情で静かにツッコミを入れていた。


「お客さーん、世間話を楽しむのは良いけどカレーの方もしっかり楽しんでくれよー」

「すみませ~ん、けれどもねーこの店の中でアメリカのニュースについて喋りしながら食べるカレーって美味しいんですよねー」


 そこでこのコンテナハウスで飲食店をしている店長が話しかけるが、その恰好はアメリカの西部劇ドラマで出てくるカウボーイやガンマンのまんまだった。

 そして、ミカエル達が朝食を取っているこの場所は、海士臣島の南側の海岸某所に面した道路沿いに隠れスポット的に営業されているカフェで、店内の装飾などで西部劇時代のアメリカ風のデザインをしていた。


「そもそも何でアメリカのこんな外部には聞かせられない話を聞くためにこの店に来て聞きながら朝食にカレーを食う事になっているんだ?」

「だってさー時間帯の都合で僕がいた世界とこの星の今後の付き合いで重要なポジに付くアメリカでの会議は今現在されているところだし、あそこと仲良くするためにも向こうの文化を少しでも知るのは大切だと思って…」

「だったら何でバーガーではなくてカレーなんだ?」

「いや、そりゃーこの店の元になった作者の地元の島にある元ネタの店でもそうだった―――」

「色々メタいから止めてください」

「―――あぅ…」


 そのカフェの中でダニエルが息子に微妙そうな声で突っ込みに加わったり、光代が物理的にその口を塞いで来たりした。

 ちなみに、彼らの会話はステルス魔法の影響で店長を含めた周囲にはアメリカ系のよくあるニュースをネタにした談笑にしか認識されていなかった。


『…おいおい、またロシアがウクライナに侵攻した前夜の時みたいに大統領からボケ要素が無くなってるぞ…』

『この人からボケが無くなるとその次はめっちゃ大変なことが起きるから正直来てほしくないんだけどなー…』

『今度はどんなことが起きる? ○ンデペンデンス○イみたいなのがリアルで起きるなんて嫌だぞ』


 その為、ミカエル達の間の流されているアメリカ中枢での閣僚達の音声化された本音の内容も周囲には聞かれなかった。


「そもそも何で今のアメリカ大統領がまた急にハイスぺムーヴかましているんだ?」

「あーそれ、今回の会議の情報を向こうでまだ朝の時間帯だった頃に聞いた時、認知症にも効果があるコーヒーのここ海士臣島の北の正利(まさり)町で取取れているのを、魔法でめっちゃその辺の効能を強化した状態で向こうで飲まれてるコーヒーに非生物用転移魔法で潜り込ませて飲ませたから…」

「本当に魔法とか向こうの技術って便利だよな」


 それを見ながらミカエルがさらりと言ってのけたとんでもない内容にダニエルは何度目になるかわからないその感想を口にした


「確かにアメリカは昔からコーヒー党の国だが…」

「地図や宙域図上は似た位置にある帝国の方はあの人達の多数派の先祖の親戚みたいな人達にあれこれされたトラウマで緑茶党ですけどね」

「何か今はそういう下手な歴史系ネタされても最近の流れからして後でとんでもない事態に繋がるフラグになりそうな気がするから止めてくれ…!?」


 国柄系のネタでダニエルが呟いたり、それに続けて光代が異世界にある自国系ネタを出そうとするもこれまでの展開から嫌な予感を覚えたダニエルに止めさせられようとしたその時、画面越しにそれは起きた。


『ぐふ!?』

『だ、大統領ー!?』


 画面越しにアメリカの大統領が急に呻きながら机上へ突っ伏したのだ。


「おイイいいイイ!? 向こうのお偉いさんが明らかに怪しい倒れ方をしたぞー!?」

「…え!? 何か思った以上にガタが来てたのかなこの人…?」


 それにダニエルが驚いて目を見開かせてミカエルが少しまずそうな表情を浮かべた直後、止めが刺されることになる。


「…先生…このさっきあの人が飲んでいたコーヒーに掛けられていた頭脳系強化の魔法式…先月に確か一部の相性が悪い人は早めに反動が来て効果が解けたり、元から老化が酷い人はそれが来た後は反動でボケが更に酷くなったりするのが分かったりした術式じゃ…」

「あ、そうだった。確かこっちへ戻る前にそれを発見したのって前の世界での学院のクラスメートが発見したのだったけど今回の円門(サークル)開通を起こしたあの戦いで色々あったから忘れてた―――」

「忘れてたじゃないだろぉぉぉぉぉぉぉぉ!!」

「―――あぶべぇ!?」

「お客さーん!?」


 光代が少し気まずそうな表情で言い放ったその内容でミカエルが浮かべたしまったという顔は、ダニエルの物理込み突っ込みでまだ残っているカレーへと叩き込まれ、親子喧嘩が始まったとしか見えない店長の悲鳴が辺りに木霊した。

ちなみに作中の主な舞台のモデルにしている作者の地元の島ではコーヒーが栽培されています(もちろん、作中に出ているような悪い意味でのファンタジーっぽい要素みたいなのはありませんのでお気を付けください)。

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