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登校途中に繋がった異世界からやんごとなき方として戻ってきてしまった話  作者: kaioosima
第二章 新天地が新鮮な感動だけとは限らない
22/50

022 報道は自由であるべきだけど…

再び申し上げますが、あくまでも本作はフィクションなので現実にある団体や、思想などとは関係はありませんし、特定のそれらに対する偏見や贔屓を助長させる意図はございません。

あくまでもギャグの一環として楽しんでもらえれば幸いです。

 ○2023年4月9日夕刻 日本国 鹿児島県南部 海士臣(あまとみ)島付近 某海上○


「…はッ!? 私はいったい何を…!?」


 海士臣島の海の玄関口の一つで政治家として致命的な場面を取られてから数分後、その対象である生能登がようやく立ったままからの気絶から意識を取り戻し、遠ざかりつつある海士臣市の光景に困惑を見せた。


「はぁ!? 何を言うんですか!? さっきに海坊主みたいな化物が海面から出てきて他の船が皆沈められちゃったでしょ!? 今はあんな危ない島から逃げてる最中でしょ!!」

「なぁ!? 何を言うんですか!? 一刻も早く島民の皆さんからお話を直に聞かなくちゃいけないこの状況でー…!?」


 その理由を船長から聞かされて生能登は慌てて詰め寄るが、そこで上空が妙に光り出して身が熱くなり出した。


「…え、な、何だ…あ!?」


 船長と生能登がそれに釣られて上を見上げると、そこには先ほどの海坊主出現に勝るとも劣らない存在が姿を現していた。


「ピー! ピーーーーー!」


 その甲高く大きな鳴き声を発しながら大空に現れたのは、赤い文様が浮かび上がっている青い羽毛に包まれた全長千メートルはありそうな巨大な翼をはばたかせ、嘴は白く、足は一本だけの鶴に似た巨大怪鳥であった。


「あ、あれって私の先祖がいた明の鶴型妖怪の一種である畢方(ピーファン)じゃない」


 見捨てられたように見える新世紀奇兵隊の人々を、海流や風を操って海岸へ運良く漂着したように見せて助けている光輝がそれに気付いた瞬間、その畢方の羽ばたきで最後の一隻は燃やされながら吹き飛び、船長と生能登は再び現実離れした状況と凄まじい威圧感で気絶したその身を海へ投げ飛ばされた。


「…あー会長、とりあえずあの人達も助けましょうか…」


 それを巨竜化中の光輝の背から見ていたミカエルの苦い表情を添えた要請で、彼ら二人もまた一応この場では助けられるのであった。






 ○2023年4月9日夜日本国 鹿児島県南部 海士臣(あまとみ)島 海士臣市 ループ橋付近集落 幻田宅 帝国側地球派遣部隊戦闘指揮所○


「…では、わかったことを報告したまえ…」


 港でのそのようなやり取りから数時間後、友人の家にある亜空間を用いたその無数の情報が飛び交う戦闘指揮所にて、ミカエルは肉体を失った最愛の妻と再び出会うために全人類がオレンジ色の液体になってしまう計画を推し進めている眼鏡の男みたいな感じでそう口を開いていた。


「俺の家で何を逃げちゃ駄目だの親父の真似なんかしてんだ?」


 その真横から宗一が突っ込んできたりしているが、周囲はそれに構うことなく動き続けている。


「現在、ここ日本国ですが先の妖怪出現を受けて野党に対して非難の声が強まっている模様です」

「特に先ほど畢方に襲われた現地政治家の一人ですが、その時の映像も流されてネット界隈では色々と呼び名を付けられて非難が今も上昇中の模様…」

「その動きも受けまして現在の日本国政府中枢も動きを加速させている模様で…これがそちらの現在を移した映像です…」


 ミカエル達が囲む中心に大きな映像が現れるが、そこには今現在この島国の政権を担っている者達の姿が映し出されていた。


『…いやー、先ほど見せてもらいましたが、久々に野党の皆さんには気の毒な事態になりましたなー』

『マスコミも押して旋風などと報道していた彼らが、その後押しをしていた情報発信で人々からの手痛い意見に晒されているのだからねぇ』


 そこに映しだされている今のこの国の指導者達は言葉こそは同情を示していたが、声音には嘲りの色が見られていて、失笑を見せあっていた。


『それでー向こうの異世界側から来たという生物に襲われた時はどんな感じかね?』

『あー、海坊主や鶴に似た巨大怪鳥に襲われた時の映像ですか? 海士臣島よりももっと南のあの島でやっている我が国の工事作業員に抗議している時とは真逆でしたよ』


 指導者達が卓上に付けられたパソコンの画面を通して見ているのは、数時間前に海士臣島のホテル屋上から盗み見ていた野次馬によって撮られていた、現れた海坊主や畢方に襲われて、船が沈められて海に投げ出されて溺れるか、それを見捨てて逃げ出していっている人々の光景だった。


『マスコミの方はいつも通り報道しても切り張りか、“報道しない自由”を行使して今回のを封じたがっているようですが…、いつのどこでも真実を伝えたいとする人々がいるのはどの分野でも同じなので、今ではWeTuboを始めとした各動画サイトでこれは見れますよ…』

『そうか、ならば政府支持系メディアを動かしてこっち側のマスコミには野党各要人へ集中的報道行為を促すのだ。そうして連中が動きづらくなっている間に異世界側との交渉を進める…』


 その映像を通して、普段は自分達が苦虫を噛まされた表情をしばしばさせられている攻撃で、今度は普段それを良く用いてくる相手が四苦八苦しているという状況に、与党の要人達はほくそ笑みながら今後について話も進めていっていた。


『今回の件で異世界側からくるのが災厄もまた多いのは国民にも広まってきている。そうした自然災害への対策に必要な財源という名目で、消費税を始めとした各種税率を更に引き上げ…!?』


 そこで中心になっている眼鏡をかけた男性がそれをクイっと指で上げ乍ら今後の政策について話し合うが、何処からともなく飛んできた一切れの紙がその眼鏡を切り裂き、彼の背後の壁に深々と突き刺さって破片を周囲に生じさせた。


『のわぁ!? 私の眼鏡がぁ!?』

『な、何だ!? 壁が割れたぞ!?』

『テロかぁ!?』


 当然、今この国で最も警備が固いであろうその地を襲った突然の異常事態に中心人物たちは驚き、部屋の中に次々と警備員や警官が現れてきて室内は混乱状態に陥っていく。


「…おい、ミカエルよ…今度は…何をした…??」


 その光景を画面越しに見て宗一大きく引き攣った顔を共に向けると、それと関係していると思わしい人物の手には何枚かの書類が掴まれていた。


「…何って…、今の総理がまたあの悪名を更に増そうとしていたからさー、庶民がどんだけ今の増税に苦しんでるか…その一端を示したこちらの君の家から風で流れてきた書類を魔力で趙強化して…、向こうまで繋げた無生物転移魔法で送りつけて教えてあげようと思ってー…」

「って人さまの家の確定申告書で何をテロみたいな真似してんだお前はぁアアアアアアアァアア!!??」


 この国の最高行政責任者達のいる部屋の壁に突き刺さっている“幻田”と書かれた書類を目にしてその理由を知った次の瞬間、宗一の突っ込みが異世界側最高権力の一人でその怪異現象の張本人たるミカエルに叩きつけられた。

今回は短めですけど、ここらへんでキリが良いと思いましてこの辺りにしました。

次回は、異世界との接触を受けての各国の様子がまた描かれる予定です。

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