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登校途中に繋がった異世界からやんごとなき方として戻ってきてしまった話  作者: kaioosima
第一章 パイが増えても中身がメリットだけとは限らない
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011 責任は責任者が取るべきことなのに…

嘗てここまで、空気が締まっているのか締まっていないのかよくわからないデスゲーム(?)があっただろうか…と我ながら思っています…。

それと遅れましたけど、アクセス件数千件突破ありがとうございます。

 ○2023年4月7日昼 日本国 鹿児島県南部 海士臣島(あまとみしま) 海士臣市 ループ橋付近集落上空 某宇宙海賊船船内○


「…それでは、ルール説明が終わったのでゲームスタートとなります」


 完全に裏社会に空気に包まれた宇宙海賊の宇宙船の一室で、海賊達とそれに誘拐された島民たちが囲んでいるテーブルに意識を向けていた。


「…むっふっふっふっふうう…❤ なかなかどうして面白い子は来たわねん❤」


 デスゲームで誘拐された島民の第一陣としてミカエルが対峙している相手は、ピンクのタンクトップに同色のGパンで巨躯を固めた、巨大な猿人の姿をしたオカマ口調の海賊であった。


「ヒヒヒヒ! ミカエルとかいったな坊主ぅ! 中々の度胸を持っているようだがこのピグミーチンパンジー系獣人族から生まれた博徒ボノ郎さんが相手じゃあ終わりだぜぇ!」


 すでに勝ち誇った笑みを浮かべている海賊の一員の言葉からして、その相手であるボノ郎とはこうした催し物では相当名が売れているようだ。


「んもう! ボノ郎だなんて品のない名で呼ぶのは止めてちょうだい! 今の私はピギュミーン♪よん!」

「ヒィ!? す、すみません!」

「ん? あなた~この前も言い間違えていた子だわね~? あとでディープヒヤリングの刑ねん❤」

「う、うわぁ…」

「あいつ…明日の朝には良くて死んでるかもなぁ…」


 だが、その見た目に反して非常に甲高い声でボノ郎改めピギュミーンはプリプリと怒り出し、他の船員達は怒りを向けられて青ざめた仲間に同乗の視線を送る。


「…え、えーーっと…とりあえずピギュミーンさん…そっちの視聴者さん達もじれったくなっているようですし…」

「…あの坊主…明日は真っ白な屍になってる可能性がほぼっすね…」

「ま、まー…その手のプレイが好きなのには高く売れそうだから良いだろ…」


 その船員に同情でもしたのかミカエルはデスゲームの催促をしてきて、それに他の海賊達は彼の方に哀れむような眼差しを送った。


「…んもう♪ 最近の若い子ってのはせっかちなのが多いんだからぁ❤ でもぉ…それを上手く遊んであげるのもまた乙女の嗜み…❤ さぁ…やろうじゃないの!!」


 だが、ピギュミーンはそのミカエルの微妙そうな苦笑いの瞳に隠れた冷たくも鋭い意志を感じさせる眼光を見抜くと、声を途中から急に見た目同様の重厚且つ唸るようなものに変えて向き直った。


「…ああ、行こうか…」


 それにミカエルは先ほどまでの微妙そうな雰囲気とは打って変わって、静穏とした湖面のように深い瞳を浮かべて向き直った。


「…それでは…()()開始」


 それから十数秒後、審判役のその声と同時に先方をハンデとして譲られたミカエルが積み木に手を伸ばした。

 まず、最下層の段の片方の隅より積み木の一つを取るが、それには体の各部位の一つの他にもうひとつの単語が記載されていた。


「あらやだ❣ 初手から“一夜の熱い愛”のパーツを取っちゃうなんて…君とは初対面なのに例の赤い糸で結ばれてるかもしれないわねぇ❤」


 そのパーツを見てピギュミーンは頬を赤く染め、その巨躯をくねくねと揺らしだした。


「…うぉ! あの野郎…しょっぱな早々から“ジャッジ・パーツ”を抜いちまいやがった!」

「…度胸はあるが運はねえようだなぁ…」

「うちのあれはピギュミーンさんの趣味が全開だからなぁ…」

「まあ、見た目は女みてえだからな。映像自体は高く売れんじゃね?」


 それに周囲の海賊達は同情的だったり、他人事みたいに儲け話をしたりなど反応は様残だったが、ピギュミーンに対して通常なら味方に向けるものではないレベルで畏怖と忌避が混ざり合った顔を向けているのは共通していた。

 “ジャック・オン・ザ・ジェンガ”にはいくつかのルールが存在する。

 それは、身体の各部位の名称が刻まれたパーツには、それとは別に何かしらの罰が掛かれたものが幾つかるのだが、それを一段完成させたものは、その段に記載されている体の各部位の一つを差し出すか、もしくは記載されている罰を受けなくてはいけないというものだった。

 そして、今回のゲームに使われているそのパーツの罰は、ピギュミーンの趣味が全開だったのである。


「あらやだん❣ 私も罰のパーツを引き当てちゃったわ! うぅ…怖いけどこれもルールだから…❤」


 続けてピギュミーンが中段の一角から抜いて最上段に置いたのも罰のパーツで、“お仕置きディープヒヤリング”と記述されていた。


「(…この魔力の感じ…やっぱりイカサマしてるなあ…。この○の惑星の悪化版みたいなおじさんの目には魔法機械式コンタクトレンズの魔力波が感じられる。様子見にまずそうなパーツの一つを抜いて見たけど…、こうなったら早々に向こうのメンタルにくぎでも刺しておくか…)で、では僕も行きますよぉぉおおーーーーーーーー…って…ぁ…アアアアアアアアアアァアア??」


 ミカエルは海賊達の様子から向こう側のズルを見抜いていたが、内心で何か決めると上段の一角からパーツを抜き、続けてザワッ”と言う音が聞こえてきそうな絶望の表情に変わった。


「…えーーっと、ミカエル氏の抜いたパーツは罰のそれの一つ…“ある穴の貫通検診”となりました。これにより、ミカエル氏かもしくは彼の指名した誰かが、三種の罰“一夜の熱い愛、お仕置きディープヒヤリング、“ある穴の貫通検診”のいずれかを受けてもらうか、もしくは“片耳、歯の一本、片方の手の小指の生爪”のいずれかを支払ってもらいます」

「「「「「!!!!!!??????」」」」」


 そして、完成した最上段の記述を見て審判がそう声を発すると、誘拐された人々が恐怖で再びどよめき出した。


「な、何よあなた! かっこつけて出て来たくせに直ぐ負けるなんて!?」

「み、耳を支払わないといけないならテメエ自身でちゃんと差し出せや!」

「ど、どうかウチの子には手を出さないでぇ!」

「ま、全くこれだから海外の人ってのは! 普段は難民にも優しい人権国家を気取ってるくせに! 軍隊も徴兵制もある国なんてのは結局血を好む連中ばかりなんだから!」

「お、おい! 止めろ!」

「お前らだったら上手くやれたってのか!?」

「だったらテメエがあの変態猿に股を開くか歯を一本折るとかできるのかよ!?」

「そ、それは…」


 見る見るうちに人々からミカエルに対する非難の声が上がり、一部は庇おうとする声もあるものの数の差で押し流されていった。


『うっひょおおおお! 内ゲバタイム来たー!』

『いっそあいつらに武器を渡してかっこつけて出たあのガキの耳を削がせるくらいしたら?』

『美少年が血を流す姿…あら、いやだ❤』

『いや、決定権はあの小僧が持ってるからなー』

『儂はあの泣き叫んでいる赤ん坊とかが身の一部を削ぎ落されて泣き叫ぶ姿が見てみたいのう…』


 その光景に、海賊達は自分達の視界に映し出されている魔法ダークウェブ動画サイトのコメントが好意的に増えだし、アクセス件数も跳ね上がり出した事に喜色を再び昂らせた。


(船長ー! これなら今週のダーク広告収入は先週の十倍くらいになりそうですぜぇ!)

(おお! そうかあ! まーあの兄ちゃんかあそこから選ばれるどいつかには悪いが…ちょっと()()()()()()()()()()()()()に遭ってもらおうか…?)


 海賊達はその光景に魔法秘密回線での会話も弾ませるが、それは机上から小さくもなった何かがカチッと降ろされる音で遮られた。


「はい、これでどうですか?」


 そう言いながら口元に付いた血をハンカチで拭いつつ、いつも通りな真顔のままのミカエルが机上に置いたのは、血に濡れた小さな一本の歯であった。

最後の最後でグロ(?)な描写と、主人公の異常な一面性の一端が出てきましたね…。

次回からデスゲーム編は終結パートに入る予定です。

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