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真の襲来とは

「おはよう、アシーナ。昨日はよく眠れた?これは、僕が選んだものなんだ。大切に育ててきた花だから、気に入ってもらえたら嬉しいけど」


 朝食のためにわざわざ迎えに来てくれたメルさんは、花束まで持参されていた。


 しかもそれは、温室でメルさん自らが育てたもので、そして自ら摘んで花束にして持ってこられたのだ。


 瑞々しい色とりどりの花に、嬉しく思うのは当然のことだ。


「嬉しいです。綺麗なお花をありがとうございます。首輪も、このブレスレットも、嬉しかったです。お礼が遅くなって、ごめんなさい」


 手首に装着したブレスレットが見えるように、花束を受け取った。


 花束は一度リゼに預けて、キティを抱き上げて首輪も見せる。


「君は今日も美人だね」


 一度キティを撫でたメルさんは、私に向き直る。


「後で僕の自慢の植物園を案内するよ。でも、まずは朝食だ。お手をどうぞ」


 左腕を差し出してくれたので、右手を添える。


 毎度毎度、紳士的なメルさんに感心する。


 一度場所を把握すれば大丈夫なのだけど、メルさんに素直に甘えることにした。


「朝食も、料理長が張り切っていて、貴女の口に合うといいけど」


「好き嫌いはないので、お気遣い無く。でも、楽しみです」


 メルさんが微笑みかけてきたので、私も笑顔を返す。


 メルさんの目的のために、ここまでする必要はあるのかと思うけど、その理由はすぐにわかることになった。


 二人で食堂へ向かっていると、



「メルキオール様ぁぁぁぁぁぁぁぁ!」



 正門の方から女性特有の大きな声が聞こえて、何事かと窓の外を見た。


 もちろん、ここからでは状況はわからない。


 メルさんを見ると、額を押さえて首を振っていた。


 “またか”と言うように。


 あの声の持ち主が、メルさんを悩ませている御令嬢なのかな。


 あの声量。


 令嬢としていかがなものかとは思うけど、パワフルでバイタリティーに富む方なのはよくわかった。


「アシーナ。申し訳ないが、朝食の前に一つ頼めるかな?」


「はい。その為に私がここにいますので」


「貴女は僕の隣に腕を組んで立っていてくれるだけでいいから。門を挟んでのことだから、君に危険が及ぶことは無いし、何かあっても必ず僕が守る」


 頼もしい言葉にまたまた感心しつつも、妻を守るって体裁は保たないといけないからメルさんも大変だと、どこか他人事のように思っていた。








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