第23章 ディアマンテス
お待たせ致しました!
最終回という名の前振り回になってしまいましたが、
なんとか完走致しました。
それではどうぞ!
第23章 ディアマンテス
休日に限って朝っぱらから騒がしい事って年に何回かあるんじゃないかな。
予定も無いはずなのに家族がバタバタしていて、「アンタもさっさと準備してよ」なんて言われて、昼まで惰眠するつもりだったのに着替えさせられたりとか、まったり朝食を取っていたら予告も無しに友人が自宅に来ちゃったりとか。
レースが終わった次の日の僕とミュートはまさにそんな慌ただしさに中にあった。
昨日の夜、レース後のインタビューが終わってからチームの四人でささやかな祝勝会を行った。どこかに食べに行こうかって話もあったんだけど、みんな正直クタクタだったからダグに家でピザと寿司をデリバリーしてもらい、小さな祝勝会を楽しんだ。
いや、メッチャクチャ嬉しかったんだけど恐らく同調システムの反動なんだろう、とにかく四人とも体力が限界だったんだ。
僕とミュートはゴール手前の大逆転でシステムを使い、大技まで使ってしまった。ダグとミカに至っては実はそれよりも前、エンゼル兄弟への狙撃時に物陰に隠れて使用していた。あのバリアー対策のための大出力で精密な一発の為にだ。あそこで二人とも体力的に疲弊してしまったらしく終盤はトップ争いに参加するのがやっとだったらしい。
それでもミュートを救出するために頑張っていたんだから本当この2人には頭が上がらないよ。
祝勝会の中、僕の両親はテレビ電話で参加してくれた!向こうも代わる代わる料理の番をしていたり、父さんの友人から連絡があったりで二人同時に画面に映る事はなかったけど、満足そうな二人に僕は心が満たされていた。父さんの車に母さんのスーツを着て乗り込み、しっかり優勝出来たんだって改めて実感できた。もちろんお礼を言うのも忘れなかったよ?
すっかり胃の中が満足した所で誰とも言わず祝勝会は御開きとなった。全員が眠気を感じ、このままじゃここで雑魚寝をする恐れがあったからだ。
片付けもそこそこで僕とミュートは自動運転のシェアカーで帰宅をし、サッとシャワーを浴びて寝てしまった。
そんな次の日の朝がこんなに慌ただしくなるだなんて思いもしなかった。
「ロムー、さっきから電話鳴りっぱなしよ?」
健全な男子なら同意してくれると思うんだけど、目を覚ました時に最初に聞こえてきて欲しいのは、愛しい人の囁きだよね。ちょっと声に不満っぽさが滲み出ているのはこの際目を瞑るとしても。
「んぁ……こんな朝から誰だよ」
「ダグよ。私にもミカから連絡が来てるわ」
僕は体を起こしながらミュートの背に両手を回そうとしたけど、ペシッと払われてしまった。
「朝食出来てるから下に降りてきてね。もう、歯を磨いたらハグでもキスでも……」
「今行きます!直ぐ行きます!」
寝巻きのままサクサク階段に向かう僕にミュートが大きなため息を吐き出したのは聞こえなかったことにしよう。
レースの準備にかまけて大した買い物をしていなかったのにテーブルにはかなり立派な純和風の朝食が並んでいた。あれだけ寝たのにイマイチ力が入り切らない僕の体には柔らかめのご飯や味噌汁、卵焼きなどが体中に染み渡る。白菜の漬物なんていつの間に用意していたんだろう。
僕は思わずお代わりしてしまった味噌汁を啜りながらウインドウを開き、ダグとに通話を開始した。
「おっせーぞロム!こっちはとんでもない事になってるんだからな!」
「悪かった悪かった!もう疲れ果ててさっき起きた所だよ」
「たく……。とにかく飯食ったらうちに直ぐ来てくれ!」
「私とダグだけじゃ対応し切れないんですよ」
ダグはともかく、ミカまでもが焦っている様だ。よっぽど事が起きているらしい。
僕とミュートは二人の唯ならぬ雰囲気を察し、投げ込むように朝食を食べ終えダグのいるアサヒ自動車に向かったんだ。
347 件……。
ダグとアサヒ自動車に寄せられた、仕事の依頼メールの件数がその数だった。
僕たち二人が到着するや否やダグに席に座らされまずしたのは、すでに999にカンストしたメールボックスの精査だった。スパムメールやなんかのコマーシャルメール、喧嘩腰に悪口が書かれているメールなどを排除消去して、ファンからのメールやレースの感想メールなどは後で読めるよう別のフォルダに移したり……。そうして「チームブレイバー」への正式なオファーを選んだ数が347件もあったわけだ。
「これ、昨日の優勝直後からきた数だけなんだよね」
「あぁ……。今さっきミカがマクロを組んだんだけど、まだ増え続けているみたいだぞ」
「マジかよ。有名になるってのはこういう事なんだな……」
僕とダグはメールの表題だけを標準させ下にスクロールさせながら驚きを隠せなかった。
オファーの内容は様々で、カーレースへの参加勧誘はもちろんの事、ロボット乗りとしてバトルフィールドにきて欲しいとかスポンサーになりたいとか、果てはミュートとミカにアイドル活動をして欲しいなんてのもあった。(一応ミュートに聞いたら「アイドルって恋愛禁止なんでしょ?じゃあ無理じゃない?」って言われた。)
「折角なんだからどれか受けてみるか、依頼」
とダグが皆んなを見渡しながら呟いた。フィルターにかけたからってのもあるだろうけど、内容を見た分には真面目で報酬も納得できそうな依頼が殆どだった。それに……
「良いと思うよ。それに僕らはまだまだチャレンジャーなんだから、いろんな依頼を受けていろんなレースやバトルに参加して経験値を得て行きたい!」
「そうだな。そうじゃなきゃ!よし、折角だから面白そうなオファーを受けようぜ!」
そこから僕たちはメールの内容の精査にたっぷり時間をかけた。時計はすでに夕飯前の時間を指し示していた。
「俺としてはこの依頼を受けてみたいんだが……」
「本気で言ってるんだよね……?」
「一度やってみたかったんだよなぁ、宇宙戦闘」
「参加するには航空機か宇宙戦闘機とか要るのよ?」
「あ、インデックスにかなりの数が入ってるわ。現実化出来れば問題無いんじゃない?」
「そもそも僕、運転をした事が無いんだけど?」
「ま、練習するしか無いわな」
「ダグは簡単に言うけどさ……」
2ヶ月後に開催される大規模な宇宙戦イベント、その主催者からの出場依頼のメールに興味津々のダグに対して僕の反応は薄かった。
現実的に考えると予算面や練習時間がかなりギリギリに思えてしまう。
ミュートはインデックスに管理者権限で閲覧をし始め、目の前に出現させたウィンドウに宇宙戦闘機を何体も標準させている。
ミカはそのイベントの過去の開催状況や内容を読み始めていた。
「参加するのは良いとして勝算はあるの?」
僕はウィンドウ越しに透けて見えるミュートに問いかけた。
「なぁに?この期に及んで不安なの?チャレンジスピリッツはどこに行ったのよ?」
視線をウィンドウから外すことなくミュートは僕にちょっと小馬鹿にする様にそう答えた。
「ギリギリまで練習をするとして、問題はその練習場所ね……」
ミカがタッチペンを鼻頭にトントン当てながら呟いた。
「バトルフィールドを作ればいいんじゃない?」
「そうなんだけど……宇宙戦闘機や航空機を自由に飛ばせる広い空間ってなると予算的にね……」
代わってミカがウィンドウに電卓を表示させる。色々な項目を表示、ドラッグするとみるみる金額が増えていく。最低でも、と前置きして出された金額は僕たちチームの所持金額の2倍ほどになっていた。
「そんなに掛かるもんなんだ!」
「戦闘機をただ飛ばすだけなら全然少ないんだけど、空間を広げたり、障害物を設置するだけでもコレぐらい掛かるわ。本当は攻撃目標になるドローンとか配置するともっと掛かるわよ」
「参ったなぁ……」
ボクとミュートは顔を見合わせ、同時にガックリと肩を落としたのだった。
「あ……これなんてどうでしょうか!」
さっきの仕事の依頼メールを見ていたミカが突然大きな声を上げた。彼女は僕たちにも見易いようにウィンドウを拡大して目の前に表示し直してくれた。
「バトルフィールドでの戦闘参加依頼……海上での航空機戦闘……3週間後の戦闘開始日まで宿泊施設の使用可能……」
「金額は……かなりくれるみたいだし……」
「海かぁ……あ!」
みんながメールを確認している時に僕は不意に思い出してしまった!そう、レース中にミュートが消えた時に彼女に言いかけていたことを!
「海じゃん!行こうよ!皆んなで夏合宿みたいに」
他の3人に嬉々として提案する僕を、皆んな不思議そうに見つめるだけだったけど、当の僕はこれこそが次のステップに進むための絶好の場所に思えて仕方なかったんだ。
そう!ミュートともっと親密な仲になる為の最高のシュチュエーションを手に入れるために!第23章 ディアマンテス
休日に限って朝っぱらから騒がしい事って年に何回かあるんじゃないかな。
予定も無いはずなのに家族がバタバタしていて、「アンタもさっさと準備してよ」なんて言われて、昼まで惰眠するつもりだったのに着替えさせられたりとか、まったり朝食を取っていたら予告も無しに友人が自宅に来ちゃったりとか。
レースが終わった次の日の僕とミュートはまさにそんな慌ただしさに中にあった。
昨日の夜、レース後のインタビューが終わってからチームの四人でささやかな祝勝会を行った。どこかに食べに行こうかって話もあったんだけど、みんな正直クタクタだったからダグに家でピザと寿司をデリバリーしてもらい、小さな祝勝会を楽しんだ。
いや、メッチャクチャ嬉しかったんだけど恐らく同調システムの反動なんだろう、とにかく四人とも体力が限界だったんだ。
僕とミュートはゴール手前の大逆転でシステムを使い、大技まで使ってしまった。ダグとミカに至っては実はそれよりも前、エンゼル兄弟への狙撃時に物陰に隠れて使用していた。あのバリアー対策のための大出力で精密な一発の為にだ。あそこで二人とも体力的に疲弊してしまったらしく終盤はトップ争いに参加するのがやっとだったらしい。
それでもミュートを救出するために頑張っていたんだから本当この2人には頭が上がらないよ。
祝勝会の中、僕の両親はテレビ電話で参加してくれた!向こうも代わる代わる料理の番をしていたり、父さんの友人から連絡があったりで二人同時に画面に映る事はなかったけど、満足そうな二人に僕は心が満たされていた。父さんの車に母さんのスーツを着て乗り込み、しっかり優勝出来たんだって改めて実感できた。もちろんお礼を言うのも忘れなかったよ?
すっかり胃の中が満足した所で誰とも言わず祝勝会は御開きとなった。全員が眠気を感じ、このままじゃここで雑魚寝をする恐れがあったからだ。
片付けもそこそこで僕とミュートは自動運転のシェアカーで帰宅をし、サッとシャワーを浴びて寝てしまった。
そんな次の日の朝がこんなに慌ただしくなるだなんて思いもしなかった。
「ロムー、さっきから電話鳴りっぱなしよ?」
健全な男子なら同意してくれると思うんだけど、目を覚ました時に最初に聞こえてきて欲しいのは、愛しい人の囁きだよね。ちょっと声に不満っぽさが滲み出ているのはこの際目を瞑るとしても。
「んぁ……こんな朝から誰だよ」
「ダグよ。私にもミカから連絡が来てるわ」
僕は体を起こしながらミュートの背に両手を回そうとしたけど、ペシッと払われてしまった。
「朝食出来てるから下に降りてきてね。もう、歯を磨いたらハグでもキスでも……」
「今行きます!直ぐ行きます!」
寝巻きのままサクサク階段に向かう僕にミュートが大きなため息を吐き出したのは聞こえなかったことにしよう。
レースの準備にかまけて大した買い物をしていなかったのにテーブルにはかなり立派な純和風の朝食が並んでいた。あれだけ寝たのにイマイチ力が入り切らない僕の体には柔らかめのご飯や味噌汁、卵焼きなどが体中に染み渡る。白菜の漬物なんていつの間に用意していたんだろう。
僕は思わずお代わりしてしまった味噌汁を啜りながらウインドウを開き、ダグとに通話を開始した。
「おっせーぞロム!こっちはとんでもない事になってるんだからな!」
「悪かった悪かった!もう疲れ果ててさっき起きた所だよ」
「たく……。とにかく飯食ったらうちに直ぐ来てくれ!」
「私とダグだけじゃ対応し切れないんですよ」
ダグはともかく、ミカまでもが焦っている様だ。よっぽど事が起きているらしい。
僕とミュートは二人の唯ならぬ雰囲気を察し、投げ込むように朝食を食べ終えダグのいるアサヒ自動車に向かったんだ。
347 件……。
ダグとアサヒ自動車に寄せられた、仕事の依頼メールの件数がその数だった。
僕たち二人が到着するや否やダグに席に座らされまずしたのは、すでに999にカンストしたメールボックスの精査だった。スパムメールやなんかのコマーシャルメール、喧嘩腰に悪口が書かれているメールなどを排除消去して、ファンからのメールやレースの感想メールなどは後で読めるよう別のフォルダに移したり……。そうして「チームブレイバー」への正式なオファーを選んだ数が347件もあったわけだ。
「これ、昨日の優勝直後からきた数だけなんだよね」
「あぁ……。今さっきミカがマクロを組んだんだけど、まだ増え続けているみたいだぞ」
「マジかよ。有名になるってのはこういう事なんだな……」
僕とダグはメールの表題だけを標準させ下にスクロールさせながら驚きを隠せなかった。
オファーの内容は様々で、カーレースへの参加勧誘はもちろんの事、ロボット乗りとしてバトルフィールドにきて欲しいとかスポンサーになりたいとか、果てはミュートとミカにアイドル活動をして欲しいなんてのもあった。(一応ミュートに聞いたら「アイドルって恋愛禁止なんでしょ?じゃあ無理じゃない?」って言われた。)
「折角なんだからどれか受けてみるか、依頼」
とダグが皆んなを見渡しながら呟いた。フィルターにかけたからってのもあるだろうけど、内容を見た分には真面目で報酬も納得できそうな依頼が殆どだった。それに……
「良いと思うよ。それに僕らはまだまだチャレンジャーなんだから、いろんな依頼を受けていろんなレースやバトルに参加して経験値を得て行きたい!」
「そうだな。そうじゃなきゃ!よし、折角だから面白そうなオファーを受けようぜ!」
そこから僕たちはメールの内容の精査にたっぷり時間をかけた。時計はすでに夕飯前の時間を指し示していた。
「俺としてはこの依頼を受けてみたいんだが……」
「本気で言ってるんだよね……?」
「一度やってみたかったんだよなぁ、宇宙戦闘」
「参加するには航空機か宇宙戦闘機とか要るのよ?」
「あ、インデックスにかなりの数が入ってるわ。現実化出来れば問題無いんじゃない?」
「そもそも僕、運転をした事が無いんだけど?」
「ま、練習するしか無いわな」
「ダグは簡単に言うけどさ……」
2ヶ月後に開催される大規模な宇宙戦イベント、その主催者からの出場依頼のメールに興味津々のダグに対して僕の反応は薄かった。
現実的に考えると予算面や練習時間がかなりギリギリに思えてしまう。
ミュートはインデックスに管理者権限で閲覧をし始め、目の前に出現させたウィンドウに宇宙戦闘機を何体も標準させている。
ミカはそのイベントの過去の開催状況や内容を読み始めていた。
「参加するのは良いとして勝算はあるの?」
僕はウィンドウ越しに透けて見えるミュートに問いかけた。
「なぁに?この期に及んで不安なの?チャレンジスピリッツはどこに行ったのよ?」
視線をウィンドウから外すことなくミュートは僕にちょっと小馬鹿にする様にそう答えた。
「ギリギリまで練習をするとして、問題はその練習場所ね……」
ミカがタッチペンを鼻頭にトントン当てながら呟いた。
「バトルフィールドを作ればいいんじゃない?」
「そうなんだけど……宇宙戦闘機や航空機を自由に飛ばせる広い空間ってなると予算的にね……」
代わってミカがウィンドウに電卓を表示させる。色々な項目を表示、ドラッグするとみるみる金額が増えていく。最低でも、と前置きして出された金額は僕たちチームの所持金額の2倍ほどになっていた。
「そんなに掛かるもんなんだ!」
「戦闘機をただ飛ばすだけなら全然少ないんだけど、空間を広げたり、障害物を設置するだけでもコレぐらい掛かるわ。本当は攻撃目標になるドローンとか配置するともっと掛かるわよ」
「参ったなぁ……」
ボクとミュートは顔を見合わせ、同時にガックリと肩を落としたのだった。
「あ……これなんてどうでしょうか!」
さっきの仕事の依頼メールを見ていたミカが突然大きな声を上げた。彼女は僕たちにも見易いようにウィンドウを拡大して目の前に表示し直してくれた。
「バトルフィールドでの戦闘参加依頼……海上での航空機戦闘……3週間後の戦闘開始日まで宿泊施設の使用可能……」
「金額は……かなりくれるみたいだし……」
「海かぁ……あ!」
みんながメールを確認している時に僕は不意に思い出してしまった!そう、レース中にミュートが消えた時に彼女に言いかけていたことを!
「海じゃん!行こうよ!皆んなで夏合宿みたいに」
他の3人に嬉々として提案する僕を、皆んな不思議そうに見つめるだけだったけど、当の僕はこれこそが次のステップに進むための絶好の場所に思えて仕方なかったんだ。
そう!ミュートともっと親密な仲になる為の最高のシュチュエーションを手に入れるために!
こんばんわ、こんにちは、おはようございます?
お世話になっております!
今回、なんとか最終回を迎える事が出来ました!
これもひとえに、決して少なくない数の
読者の方々のおかげです。
本当にありがとう御座います!
次回以降なのですが、ほとんど書き溜めてない為、
毎週1章分しかお届け出来ないのでは無いかと思います。
また、続編か新作かを悩んでいる状況です。
ですので、今回は「続編第1章」と「新作第1章」を
載せておきます。
来週、読者数を稼いだ方の続きを書き、それが終わったらもう一つの方を書くこととします。
面白いと思っていただけたら幸いです。
高評価ブックマーク、コメントお待ちしております♪




