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第一話 いきなりラスボス 後編

 再び目が覚める。

 身体を起こすとまだヤツは暴れまわっている。被害は甚大。住民の避難は済んでいるのだろうか。

 目標を確認する。長い触角。太くたくましい大顎。6本の脚。特筆すべきは全長17m近くありそうな巨体。まずそこから規格外。普段のは大きくても10m弱くらいだというのに。デカいということはそれだけ力もある。その時点で強敵だというのに反則みたいなスキルをいくつも持っている。

 とにかくおれはこの魔虫を倒さなきゃいけない。さっきは拳に光線のエネルギーを込めて殴ればいいとアドバイスらしきものをされたが、どうしたものか。

 光線を撃つ前、確かにエネルギーが前腕から掌に集まってる感覚はある。いつもはそれを一気に溜めて破裂させるように発射させる。結構痛い。連発できるようなものでもない。というよりしたくない。痛いのは嫌いである。それを今回は放つのではなく表面に滲ませる感覚でいけばいいのか?エネルギーを纏わせるだけなら簡単だがその状態で全力で拳を叩き込むとなるとエネルギーが暴発しかねない。

 繊細かつ豪快な作業。無茶振りもいいところだ。

 光線を暴発させたら恐らくまた吸収されるだろう。そしたら今度こそは助からない。 

 このリベンジマッチ、本当に勝てるんだろうか。


 「ぶっつけ本番にしてはキツすぎだろぉ、、、ラスボスってもっとこう、出そうな予兆あるもんじゃん?そんでしっかり修行パートとか強化イベントとかあって、、、いきなりすぎだってぇ、、、」


 と呟くと


 「ジュぅっポぉ、、、」


 魔虫はこちらが起き上がったことに気づき、不気味に鳴いた。もうやるしかない。


 「すぅーーーー、はぁーーーーーーーー」


 深呼吸をした。決して鳴き声ではない。これはルーティンみたいなものだ。


 「よし!」


 身体は思った以上に軽くなってる気がする。問題はどうやって拳に、、、


 「トゥル!?トゥルトゥルトゥルトゥルトゥルトゥルトゥル!!!」


 と考えてる間に魔虫は甲高い声と共に巨大な火球を発射してくる。 


 「うぉ!?」


 避けられた、!思ったより簡単に!行ける気がしてきた!!!


 あとは接近戦に持ち込みたいがあの大顎も火球で目立たないが立派な武器だ噛まれたらひとたまりもないだろう、、、それにあの硬い身体に拳が通るとは思えない、、、とりあえず全速力でヤツの腹部に潜りこむしか、!!

 火球を放つとしばらく動けないのは本当のようで簡単に潜り込めた。あとは拳を、、、


 「!?」


 拳を構えた次の瞬間、ヤツの姿が消える。


 瞬間移動だ。火球からのインターバルがそこまで長くないことに絶望した。嗚呼、帰りたい。

 しかし、収穫もあった。拳にエネルギーを込めること、意外と簡単である。ここ一年近く戦い続けた甲斐があったというものか。結構練度が上がったと解釈して良さそうだ。ぶっつけ本番に変わりないが少し自信が出てきた。と、気持ちを整える。おれがやらなきゃいかんのだ。


 肝心の魔虫は遠方真正面にいる。倒れる前の戦いでは必ず死角に回り込まれていたがどういうことだ?

 魔虫と睨み合う。

 先手必勝。再び距離を詰める。

 腹に潜り込むも再び消える魔虫。今度は斜め右方向にいる。さっきより近い。

 それよりまた目で見える範囲に移動した。2回連続で。位置はバラバラ。直接対峙するつもりだったり、間合いを取ろうとしている感じでもない。こちらの動きが捉えられていないかのような印象を受ける。身体が軽くなっていつもより速く動けているのはわかるのだそんなに変わったのだろうか。これは要検証だ。

 というかさっきと合わせて何回瞬間移動してくるんだよ、、、、、考えたくない。

 もう一度魔虫との距離を詰める。

 今度は後方、8時の方角、、、ファッ!?思いっきり死角じゃん。でもかなり遠くだ。でも落ち着け。さっきの戦いではあんな距離の取り方はしなかった。やっぱりこちらの動きが捉えられていないのか? 

 さらにもう一度、!

 今度は再び正面。やや左側。距離もさっきまでとバラバラだ。ここで疑問がある程度の確信に変わる。これなら勝負に出れる。ヤツはおれの動きを捉えられていない。。可能性が高い!あくまで可能性。実証はできない。それでも戦いではそうやって可能性を選択していく必要がある。魔虫はこちらを見失っている。


 作戦はこうだ。

 1.瞬間移動をされないよう速度を落として相手に接近し、火球を誘発する。

 2.火球を正面から受ける。次の瞬間全力疾走。腹部まで一気に間合いを詰める。

 3.拳を叩きこむ。


 1について、もし火球が飛んで来なくても距離が詰まれば瞬間移動をまたしてくるはずだ。

 2についてだけどこれは間違いなく痛い。できれば取りたくない作戦。これは火球のあとインターバルがあると言ってもさっきは瞬間移動されたので直撃の後の爆炎を目くらましに不意をつくのが狙い。保険だ。最初距離を詰めたとき瞬間移動されたのは避けてから距離を詰め始めるまで時間があったからだと思う。さっきは簡単に避けられたことで軽く感動に浸ってた。最短で距離を詰められれば瞬間移動もされないはずだが、やはり確実に行きたいのでこれはしょうがない。なによりこっちが誘うように撃たせた火球で街に被害が出るのは罪悪感がある。さっきは一発耐えられたし身体の丈夫さには定評がある。でも、もし失敗して瞬間移動されて次また火球を撃たせなきゃいけないことになったら避けます。ゴメンナサイ。

 問題の3についてここはもう何度も言うようだがぶっつけ本番。拳を叩きこめば2回目はない上に賭けみたいなもんだ。正直1と2が上手くいったとしてもそこまでにもだいぶ運要素が絡んでる。運は生まれつき良いほうじゃないんだよなあ。

 そうこう考えているうちに魔虫がこちらを再び捉える。


 「ジュぅッポぉ、、!トゥルトゥルトゥル!!!」

 雄叫びを上げる魔虫


 「、、、かかってこいや、!」

 覚悟を決める。


 倒れる前の身体の感覚をイメージして魔虫と距離を詰める。 

 魔虫は火球を放つ。


 ここまで順調に行った。運がいい。珍しく運がいいんだからあの火球くらい身体で受け止めろ!チャンスだろ!と自分に言い聞かせる


 「あっちぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃっ!!!!!!」


 やっぱり熱い。痛い。我慢。我慢。我慢。


 歯を食いしばる。一気に距離を詰める。


 魔虫の裏側すなわち腹部。


 「ここが一番拳を叩き込みやすい所ッ!!」


 光線のエネルギーを拳に纏わせ、全力で叩き込む。


 「ッ!?」


 誤算が発生した。硬い。腹部なのに。そこが弱点なのは魔虫の共通点だというのにそんなところまでオーバースペックなヤツらしい。

 このままでは光線のエネルギー云々の前に拳が通らない。とんだ大誤算だ。もうヤケクソである。


 「いっけぇぇぇぇぇぇぇぇ!!!」


 さらに力を込める。全力なんてとうに超えている。


 次の瞬間光線が暴発する。


 一番恐れていたことが起きた。


 最後の最後でやっぱり運を使い果たしたようである。





 と思いきや、光線が魔虫の身体の表面を突き破った。

 その光線は勢いのまま魔虫は空高く突き上げられ爆散した。


 泣きたくなるほど理不尽だったけど、とにかく勝った。腹部はやはり弱点故に光線に耐性がなかったのだろうか。運にはまだ見放されていないようだったが今後運は一切味方してくれない気がした。

 

 、、、身体が動かない。さっきまで全快だったのがもうこの有様である。


 どんどん思考が鈍くなり意識が遠退いて行くのだった、、、

文字に起こすことの難しさを実感しています。

次色々補完します。

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