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生産職吸血鬼は異世界の夢を見るか  作者: 吸血鬼まつり
72/112

72.廃鉱グリートトリス:5

 変形し、円柱型の本体に八本脚を備えた蜘蛛のような形状の《スフィアメタルゴーレム》が行動を開始する。

 誰のデザインなのかはわからないが、起動する際に中央の眼がビコーンと音を立てて青く光るものだから、シエラのテンションは最高潮になった。


「うむうむ、ベタだが起動シークエンスはそうでなければな!」


 そう言いつつ、シエラも戦闘用の大剣に持ち替える。

 次の瞬間、ゴーレムの魔力が膨れ上がり、眼球に収束。そしてレーザーが発射され、回転する胴体に合わせて部屋全体を薙ぎ払う!

 雷属性の魔法《雷電光》を眼球を模した宝珠で魔法的に圧縮し撃ち出したのだろう。そうシエラが分析している間にレーザーは迫ってきていたが、それが彼女たちに届くことはなかった。

 射線を遮るように構えられたアケミの大盾が完全に光線を弾いたのである。


「怪我はない?」


 シエラやイヴはともかく、そのそばにはエメライトとシュカもいる。そのため、アケミは普段より手厚く防御することにしていたのだった。(同じ盾職のシュカにかっこいいところを見せたいという欲望も多分に混ざっていたが)


「じゃあ今度は私の番です!」


 追加の魔法を詠唱しているゴーレムに対して、アカリが突っ込んでいく。

 白色の金属槍が閃き、迎撃に動いていたゴーレムの脚と交錯する。

 派手な金属音が響き、そのままアカリの槍がゴーレムの脚に突き刺さる!

 アカリが槍を振り抜くと、その脚は真っ二つに切り裂かれ、吹き飛んだ。

 鋼鉄の身体を持つスフィアメタルゴーレムも、一点をブレなく貫く槍の一撃を弾くことはできなかったのである。


(やっぱり、シエラさんの槍は最高ですね……!)


 そう思いつつ、その距離のままインファイトに移行。

 振り回される七本の脚や発射される光線を縦横無尽にかわしつつ、舞うように何度も槍を突き込んでいく。

 その連撃によって、外装にいくつもの穴や凹みを作っていくゴーレム。


「イヴさん!」

「……ん」


 アカリが呼ぶと、イヴは小さく頷いて《雷霆》を構える。

 アカリの槍によってゴーレムがぐらりと体勢を崩したその瞬間。

 放たれた雷光が胴体の宝珠を寸分違わず貫通し――ゴーレムは停止したのであった。


「ナイスです、イヴさん!」

「やっぱすごいねイヴちゃん、うちのリーダーにも魔法銃練習してもらおっかなー」


 そう双子に褒められて、イヴは小さく首を横に振った。


「……アカリの攻撃で、ほとんど勝負はついてた、から」

「まあなんにせよ、おぬしらならやはり楽勝じゃったな」

「すごい、です……!」

「ほんと、あっという間でしたね……すごい……!」


 エメライトとシュカも拍手をして感心しきりである。

 先人たち(特に双子)は張り切って離れ技を見せがちではあったが、憧れる目標の一つとしてはちょうどいい、のかもしれない。なんにせよ、今日の経験は二人にとっても無駄にはならないだろう。


 その後、奥の宝箱から戦利品を回収し、シエラがおもむろにボス部屋の壁を掘ってみたりなどもしつつ、一行は帰路についたのであった。


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