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給食室にようこそ  作者: 奥 みかん
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強迫性障害の発症

近頃流行りの心理学で言うならば、学校の成績で落ちこぼれ、給食で居残ることで、大人に注目してもらいたかったのだろうか。


給食室は1階の角にあるが、校庭は小高い所に位置してるので、居残り組はますます隔離されている。


ヒロキは野菜全般が嫌いだった。小柄で、少しふっくらとしており、タツミと同じく「かわいい」と、愛されるキャラクターだった。


タツミと異なる所は、決して他者に気に入られ様としない点であった。


タツミは、いわゆるイイ子で、教師からも、かわいがられていた。神経を使って、好かれる様考えてやっていたので、ボロをみせて一瞬にして信頼が崩れ去ってしまうことが、多々あった。


今後の人生でも結婚して落ち着くまでは、親族、他人の信頼を裏切るのはタツミの常となる。


小4の頃、プールの授業で着替えに時間がかかり、男子何名かで大騒ぎしていた。


「はやくしなさい」


当時担任だった女性教師、大島が更衣室の扉を開ける。

タツミがパンツをはくタイミングであった。


「大島先生にちんぽみられた」


その日の給食の時間、タツミはクラスメイトに言いふらす。

軽蔑した反応だったが、タツミの背後に大島がいるゆえのそれであった。


この出来事がきっかけで、大島は魂が抜けた様に、うつろになり、私とは目を合わさなくなった。


1、2年時の担任が育休中に嘱託だったので、4年の途中で生徒に別れの挨拶をろくにせず退職したと記憶している。


タツミの本性を知れば、ほとんどの人間は離れていった。


ただタツミには弁解の余地があった。


覚えてる限り、低学年の頃から強迫性障害に発症しており、何でも完璧にこなそうとする癖が、しつこく付まとっていた。


教師が話すことは、一言一句聞き漏らすまいと必死だった。理解できなくても話は展開していく。そうやってなんとなくでも理解していくものだが、タツミには非常に困難だった。


テストの答案用紙に氏名を記入する際も、何度も何度も消して確認するため、肝心な問題は時間内に解けなかった。

一問解いては消して、再度書く始末である。


確認作業はタツミのエネルギーを疲弊させ、あらゆることが面倒になっていった。


今もあるのだろうか。当時学力テストがあったが、結果はさんざんだった。面倒臭い確認作業は後回しにしがちで、忘れ物は非常に多かった。


タツミの完璧にこなそうとする姿は、殺気だってみえて、できないながらも一生懸命にみえるのだった。


大島はタツミにとって、恩師には違いない。


根が臆病にできているので小4まで泳げなかったタツミを泳げるまでしてくれたのは大島だった。

段階的に指導し、できては褒めてくれた。


ノイローゼになって書く文章は大島の胸をうったのか、添削してくれ、何度か賞をとらせてくれた。


私の性格を知った上で褒めて伸ばす指導をして下さったのだろう。


私が家庭で虐待を受けていたこと、強迫神経症であると打ち明けることができたら私が豹変した後の対応が違っただろうか。


小6になると幼稚で下品なだけの私は相手にされなくなる。B'zやチャゲアスのシングルCDを定期的に買える者が尊敬の対象で、流行の話に疎くなく、大人びた話ができるグループにマサキ、ユカ、ナツキは加わる。


タツミの父親はタツミが乳児の頃、ドラム演奏で生計をたてている時期があったから、その影響を受け、音楽に関しては、ディープ・パープルだの、ビートルズなど好きだった。


Jポップのチープな曲に興味ないなどと、心の安定をはかってるようでは、中2病の先取りで、クラスの中心にいられない人格はここで完成したのである。


ナツキはタツミに愛想つきて、別れる運びとなった。


小5のダブルデートしている時は他の男子が幼稚に見えて得意になっていたタツミだが、立場は変わり、タツミの居場所は給食室がメインとなるのである。


タツミはヒロキと同類だと気づき、一方的に彼に親近感を持つ様になるのだった。

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