私の世界
こんにちは。ルーナリアです。
6歳になりました。
今日も今日とて平和です。
最近はお昼寝としてお庭の隅の芝生がお気に入りです。よく侍女に叱られてしまいます。
充実した毎日です。
ただ、
「ルーナリアお嬢様、第二王子様の誕生パーティの準備を致しましょう。」
関わりたくない人が大物すぎて若干困っています。
生徒が詳しく説明しながら感想を聞かせてくれていたおかげで関わったらヤバい人がわかります。物語のストーリーなども。
学園の高等部からヒロインが登場し、王子が魅了され、悪役令嬢が嫉妬しヒロインをいじめ、ハッピーエンド!のときに悪役令嬢は国外追放と見せかけての処刑。
そのとき悪役令嬢を断罪したのが、第二王子。正妃様のご子息です。
側室様の御子息である兄、第一王子がいます。
若干、少し、…とても、関わりたくないけれど公爵令嬢として仕方ないです。これもお仕事。
ちゃんと出席します。
それに、
「どれすはあわいいろがいいですねぇ。」
「ではその様にしましょうか。ルーナリアお嬢様には淡い色がとてもお似合いになりますから、とても素敵ですわ」
「ありがとう、さーな。」
私はドレスが好きなんですもの!
まず私が何もしなければ勝手にハッピーエンドになるでしょう?若い子たちで頑張って!
と、言うことで私はこの世界を満喫することに決めて前向きにやって行こうと決めています。
そしてこの世界について軽く説明しましょう。
ここは剣と魔法のファンタジー世界。
火・水・風・土の四大属性と闇と光の属性。
闇も光も今現在扱う者はおらず、この小説のヒロインが光属性として生まれています。
悪役令嬢こと私ルーナリアは水属性です。
国や街、様々な遺跡やダンジョン、神域などがあり
精霊や聖獣も存在する世界。
もっとも、精霊も聖獣も滅多にお目にかかれないほど高貴で雲の上のような存在。
だけどヒロインはその両方と仲良くなるのです。
流石ヒロイン。チートですね。
小説の舞台はロズワイド学園。
ロズワイド王国の初等部、中等部、高等部の学園で物語は紡がれ、悪役令嬢ルーナリアは死。
まあそこはなるようになれ、です。
学園は10歳から入学予定なので、それまでにお家であれやこれやと楽しみたいと思っています。
寮生活ですからね。
ロズワイド王国は歴史ある大国で、隣国バルロイズとはそれなりに仲良くしているオススメ王国です。
ですが、小説では悪役令嬢ルーナリアがバルロイズの間者とあれやこれやとヒロインを攻めにかかっていたはずなので関わりは持ちたくありません。なるべく回避。
今のところ何かあるわけでもなく普通だと思います。
普通は良いことですねぇ。
「ルーナリア様、本日は旦那様が帰って来られるので夕刻にはご準備できるようにしましょう。」
「まぁ、おとーさまがかえってくるのですか?よんかげつぶりかしら?」
「そうでございますね。」
侍女のサーナとそんな話をしながら商人の待つ応接間に到着し、扉を開けると諂うようにへらへらニタニタ笑っている商人がいた。
大人精神を持つ私を舐めてはいけないですよ。人を見る目は人一倍あると自負していますからね。
この人は私を手駒にすればアクタルノ公爵家を取れるとでも思っていそう。
「ルーナリア公爵令嬢様。お初にお目にかかります。コレイヤ商人のドロコと申します。」
「きじをみせていただける?」
愛想の無い私に商人ドロコは顔を引き攣らせながらもニタニタ笑顔でドレス生地を出された。
様々な綺麗な布生地から水色の生地だけを取り出し、私の前に持ってきてペラペラと話し出した商人ドロコ。
鬱陶しい…。
「公爵令嬢様にはこの空のような爽やかな水色がお似合いかと思うので「さーな、これどうかしら?」
「……、」
話している商人ドロコをガッツリ無視して自分で選びサーナに話しかける私に黙った商人ドロコ。
私は淡いミントグリーンの生地を選びました。
「とっても可愛いですわ、お嬢様。」
ニッコリと優しい笑顔で応えてくれるサーナに嬉しくなって私もニコニコしてしまう。
私はサーナが大好きです。
いつも笑顔で隣に居て優しくしてくれるから。
そう、隣に居て優しくしてくれる唯一の人。