表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
悪役令嬢ですが気にしないでください。  作者: よんに
学園高等部編
145/152

愛する人

あけましておめでとうございます!

今年も宜しくお願い致します(*^^)


災害、大雪、皆様の御無事をお祈り申し上げます。


ふと目が覚めた。


視界は暗くまだ身体も思うように動かないままだったけれど、私の感覚は思った以上に正常のようですぐに気付く



「……、」



あなたの名前を呼びたいのに、声だけが出ない。



暗闇の中聴こえていたあの声は、あなたでしょう?



「…ルーナリア」



私の名前を呼ぶ声が震えていた。


手に感じる温かいものが震えていた。


震えるあなたに、私はこんなにも―――



「ありがとう」



あなたはそう言って私の額に唇を落とす



ぽろぽろと目尻から顳顬に伝っていく涙を拭われる。


声が出ないこの身体がとても情けなくて悔しくて。

そんな私に目の前の彼が少し笑った気がした。



呼びたい、あなたの名前を。


私だけが呼べるあなたの名前。


愛しい、私の大好きな人



「りぁむ」



掠れて小さくて拙くて、初めて敬称のない呼び方。


その返事は私を抱きしめた彼の息を殺すような声で



「な、かな、ぃで…」


「っ、」



動かない身体がもどかしい。



「り、あむ…」


「ルーナリア…っ、」



初めて聞くような彼のか細い声に驚いて、頬に当たるサラサラの金髪に擦り寄ってみる。


ほんの僅かなその動きでも気付いてくれた彼はそれ以上の力で返してくれた。



「………、」


「………、」



静寂に包まれたような夜。


愛しい人に包まれて、生きている喜びを実感した。



「ぁい、してる…」


「愛してる」



重なった言葉と重なった唇



どちらも短くてすぐに終わってしまうのに、こんなにも胸が満たされる。



至近距離で合う溶けてしまいそうな琥珀色は涙に濡れていて、きっと同じように私の瞳も濡れているのだと思う


私が眠ってしまっていた間に雰囲気が変わったように見えるリアム様は、甘えるように私に擦り寄っている。


あらぁ。可愛らしい…


「ルーナリア」


リアム様は確かめるように何度も私の名前を呼んで、微かな反応に表情を綻ばせていてなんとも言えない気持ちになる。


抱きしめ返したくても出来ない虚弱な身体が歯がゆい

早く体力を戻さないと。


ひとまずの目標は体力の回復。

そして今の状況。


リアム様がいらっしゃって一年膠着状態ということはないでしょうし、寝覚めた私に駆けつけてくださった皆さんの表情に緊迫しさは感じられなかった。


あの事件は既に終わっているのだとしたら、会いに来てくれそうな方達が来てくださっていないのは何故かしら


自惚れではなく、慕われているとわかっているのに。


その事を今聞くにもリアム様の精神状態があまり良くなさそうで、落ち着いたら全て話してもらえばいいと心にしまう



「ふふっ…、くすぐ、たい…」


「ん?」


甘い声は僅かに笑いを含んでいて、胸がくすぐられる。


そうして二人で顔を見合わせていると眠気が襲ってきてゆっくりと瞼を閉じる。


「りあむ、ねま、しょ…」


「ん、おやすみ」


額に落とされたキスに頬が緩み、ぽかぽかと熱くなる。


私も返せるように頑張らないと



そう決意しながら私は眠りに落ちた。




評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[一言] あけましておめでとうございます、今年も更新楽しみにしております(*ノ´□`)ノ ついに、来ましたね、リアム…職場で読んでたんですが、思わず泣きそうになったので、読むの一旦やめて、お家帰って…
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ