風と雨のち青い空
嵐の後の快晴が、なによりも好きなのです
ガタガタと音を鳴らす窓。
外を見ると、誰かの黄色いナガグツが転がっている。
今日は風の強い日。おかげさまで、学校も休み。
今日は風の強い日。だからといって、遊びに行けない。僕は大きくあくびをする。
今日は雨の強い日。ぬれるのは、ジメジメしていやだな。
今日は雨の強い日。ナガグツは、いったいどこからやってきたのだろう? 僕はベットで丸くなる。
昨日、ケンカしちゃったな。僕も彼女も、ぼろぼろとナミダを流してた。
下らないケンカだったな。僕が引き下がればよかったのにな。ポコポコとパンチをし合ったけど、ケガをしていないか心配だな。
学校は休みでうれしいのに、この心のモヤモヤはなんだろう?
お母さんに呼ばれて、下に行くと、あたたかいホットミルクがヨウイしてあった。
テレビには、雨の中をひっしに歩くサラリーマンと、きれいな女の人が映っていた。
テレビ中の、女の人のカサがふっとんだ。
近くを歩いていた、サラリーマンは知らんぷり。
ホットミルクを飲みおわり、僕はふたたびベットに入る。
なんでこんなに風が強いのに、あの女の人は笑顔でしゃべっていたんだろう?
なんでこんなに風が強いのに、サラリーマンのお兄さんたちは、負けじと歩いているのだろう?
わかってる。すべては当たり前のことなんだ。
わかってる。先生が言っていた、ギムってやつのせいなんだ。
学校も
当たり前も
心のモヤモヤも
ギムってやつのことも
この風が、すべてふきとばしてくれたらいいのにな。
起きると、きれいなオレンジ色の空が広がっていた。
風はいなくなり、雨も消えた、きれいなきれいな夕焼けだった。
あした、あの子にごめんなさいって言おう。
許してくれるかな。
少年の心の雲は、うるさい風とともにどこかへ行った。
今日は雲一つない青空の日。
ごめんなさい日和には、うってつけの日だった。