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4、伯爵令嬢は復讐対象者に助けを求める

私は目の前の危険な匂いのする男に食いさがった。


「アスコット様に会わせて。モルドア」


 モルドア、魔法使いのモルドアは肩をすくめる。


「アイリス様、あんた自分がどんな立場に置かれてるか、わかってるのかよ」


「え・・・・・・」


「カルデにエレノア、ルナティック、美少女が三人もいるんだぜ。しかも三人とも実家が大貴族様だ。せいぜい実家が中級貴族のあんたは使い捨てのゴミってわけだ」


「そ、そんなこと・・・・・・」


「勝手なことを言うなよ、モルドア」


 冷静な声が飛んできた。アスコット様だ。ああ、アスコット様、哀れなアイリスをお助け下さい・・・・・・。


「愛しの婚約者であるアイリスを僕が見捨てるわけないじゃないか。さあ、アイリス、僕の胸に飛び込んでおいで」


 私はアスコット様の胸板に飛び込む。鍛え上げられた胸板に私は安心感を覚える。


「アスコット様のパーティーにいたヴィルの呪いを解いてしまいました。そ、それでヴィルの強大な力によって、私は奴隷の身分に落とされました。アスコット様に招待状を出したのもヴィルの指示です。勝手なことをして申し訳ございません」


「まさか、ヴィルが」


 私はヴィルのことを詳細に語った。ヴィルがアスコット様を殺そうとしていることも、だ。


「強大な力を手に入れていただと・・・・・・」


 アスコット様はすぐにパーティーを召集した。アスコット様の部屋にみんなが集まる。


「プッ、面白い冗談ですこと」


 聖女エレノアが笑うと、他のみんなも笑う。


「アイリス、あなたアスコット様に会いたいからって、作り話にも程があるでしょう。魔王討伐という重要なときよ。謝りなさい」


 私に上から目線でカルデが言ってくる。この女は嫌いだ。いつも私に対して偉そうに指示して来る。アスコット様のパーティーに入る時もこの女が強硬に反対したから、入れなかった。


「まあまあ、カルデ様。そんなきつい言い方しなくても」


 ルナティックが取りなす。私と同じ十六歳で常識人だ。父親は国王の親族という超お嬢様だが、性格は温厚で怒っているところを見たことがない。カスばかりのアスコット様のパーティーでは浮いた存在だ。


「せっかく遠いところから、来てくれたわけですし、ねえ」


 ルナがアスコット様に目くばせすると、アスコット様も軽くうなずく。


「アイリスも名うての黒魔法の使い手だ。それをヴィルが倒せるか。アイリスの話には信憑性(しんぴょうせい)がある。カルデ、エレノア、僕はアイリスをパーティーに入れてヴィルの魔の手から守ることにするよ」


 二人の顔色が変わった。二人はイケメンのアスコット様を年下の私に取られたことを嫌がっているのだ。だが、私にはわかる。アスコット様が本当に愛して下さっているのは私だ。私がアスコット様と結婚したら、あの二人は私の使用人にしてこき使ってやる。


 アスコット様が私の髪を撫でてくる。相変わらず、慈愛に充ち(あふ)れたお方だ。この方の婚約者で本当に良かった。


*****


 アイリスにはルナティックの部屋で相部屋にしておいた。ルナティックは賢い女だ。うまくやるだろう。


「アスコット様ぁ、あの()と本当に結婚するんですかぁ」


 俺は飲んでいたグラスの水を女に口移しで飲ませる。女は上気させた顔で喉を上下させた。


「ただの政略結婚だよ。本命はお前に決まってるだろ。ルナ」

「ぷはっ、えへへ」


 何しろローランド宰相の四女だからな。家柄で言えば、ルナが一番高い。王女への階段として、ルナは利用価値がある。


「しかし、ヴィルの奴、アイリスを倒すとは、一体どこでそんな力を手に入れたというんだ」


「ヴィルはいかがしますか」


「アイリスを餌にして(おび)き寄せる」


「えー、アイリスが怖がるのでは?」


「アイリスにはモルドアをつける。たっぷりとかわいがってもらえるさ。何たって奴は女泣かせだからなあ」


「くすくす。アイリスかわいそー」


 ルナは笑う。これがこの女の本性だ。良い子ちゃんぶっているが、カルデよりも性格は悪い。


 俺はルナの唇を塞ぐと、ゆっくりと服を脱がせはじめた。



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