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2、ヴィルは伯爵令嬢アイリスを支配下に置いて、復讐を始める

俺は勇者パーティーのショボイ僧侶だった。回復専門の実戦には出ない要員だ。つまりはお荷物。それが女神の力によって、レベル40からレベル581にレベルアップ。魔法もマジックポイントの上限も規格外だ。


 俺は向かってくるケルベロスに魔法をかける。そうするとケルベロスは俺の言いなりになり、逆にアイリスのほうに向かっていく。


「な、何が。ちょっと私は飼い主ですのよ!言うことを聞きなさいな!」


 アイリスの慌てる(さま)が面白い。ケルベロスという高位悪魔を使いこなす黒魔法使いの伯爵令嬢はガタガタと震える。


「グルルルルルッ」


 ケルベロスの(うな)り声にアイリスは腰を抜かした。


「あ、あわわわわッ」


「この連続殺人鬼が。報いを受けてもらうよ」


 腰を抜かしたアイリスに俺はまたがると、口の中から舌を引っ張り出す。


「舌を切っちゃうおうか」


 脅しだが、アイリスは涙を浮かべている。


「りゃ、りゃめてくらはい、ゆるひゅて」


「じゃあ、両手両足を切って、奴隷市に売ろうかな。どんな変態が買うか、見物だよ」


「りゃ、りゃめてぇ、ふ、復讐り協力しましゅから」


 怯えたアイリスはかわいかった。もっといじめたくなる。だが、俺は気持ちを切り替える。


「復讐に協力する、か。いいだろう。どうする?」


「わ、私がアスコットを、あの男をこの屋敷に呼び寄せます!あ、あの男は私の体が目当てなんですっ、汚らわしいと思いつつも私はあの男に付き合ってきましたっ、い、今からは心を入れ替えて、貴方(あなた)様の奴隷となりますっ、アスコットへの復讐に協力させてください」


「いい子だね、アイリス。頭のいい女の子は僕は好きだよ」


 なかなかいい作戦だ。()めてやろう。俺はアイリスの作戦に乗ることにした。


「アスコットめ、待ってろよ」


*****


 勇者アスコットはディナーを楽しんでいた。


「魔王も震え上がっているだろうさ。なにせ、これほどのメンバーが集まってくれたのだからな」


 男女混合のパーティーメンバーたちの顔色は明るい。三人の美少女と二人の美男子がアスコットを見ていた。


「フフ・・・・・・そうですね」


 魔法使いのカルデが妖艶(ようえん)な笑みを浮かべながら、アスコットのグラスにワインを注ぐ。


「アスコット、これを」


 おもむろに冷静そうな美男子が手紙を差し出してきた。封筒にはアイリスの名前がある。


「魔物使いのアイリス伯爵令嬢か。()けるね」


 からかうようにシドニックが言う。このパーティーの参謀役で賢者である。


「ふーん、なになに、俺たちを館に招きたいだって。ハッ、家柄だけのわがまま女が」


 アスコットは一笑に付す。


「弱すぎて私たちのパーティーに入れてもらえなかったアイリスですか。弱い者いじめしかできない無能ですしねえ」


 カルデが馬鹿にしたように言った。


「まあ、体だけは評価できるがな。俺が狙っているのは王女殿下だ。伯爵令嬢なんて、雑魚もいいとこだろう。適当な理由を付けて断ろう」


 アスコットは最低なことを言うと、手紙に火をつける。封筒は瞬く間に燃えてしまった。


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