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18/27

18、勇者パーティーは蹂躙(じゅうりん)される

私はファ―レ・エンタ―ニャ、アンジェシカ王女の部下であり、勇者パーティーを率いる者だ。父は伯爵家当主で私は三女に当たる。


 場は緊迫した雰囲気に包まれている。治癒師のユマがアルメナを人質に取って、勇者パーティーのティ―チ・トラントの傷を癒した。


 ユマはいざというときは意地を見せる気の強い女の子だ。彼女の正義感の強さは私たちの中では群を抜いている。


 私は愛剣を構え直した。ユマを援護しなくてはならない。


「考えることは一緒か。私も手伝うわ」


 レミットが明るい声で言った。レミットの瞳に輝きが戻る。


「七魔将っ、勇者ファ―レ・エンタ―ニャが成敗するっ、覚悟せよっ」


 七魔将、といっても六人しかいないが、六人の魔人がギロリとこちら側を見た。いける。この私の、いえレミットの作り上げた最強のパーティー、勇者アスコットと並び称されたパーティーが力を合わせればいけ


 ドゴォッ


 私は男に突き飛ばされて、無様に地面に転がった。


「ヴィル様~、こいつら全員ヴィル様の愛人にしちゃってください~、そ、そのかわり俺の命を助けて下さい。お願いしまーすッ」


 そ、そんなッ、ティ―チなんでッ、今この時に裏切るのッ


 ティ―チは洗脳されてしまったのだろうか。ティ―チは私を未来の妻に迎えてくれると言っていた。そのティ―チが私たちを裏切るだなんて。


「よくやった!ティ―チよ!さて、ギャラリーを増やそうか」


 ヴィルの言葉に新しい十字架が現れる。魔物使いのアイリス、賢者のシドニック、魔法使いのモルドアが縛り付けられた。男二人は憮然(ぶぜん)としている。アイリスは青くなっていた。


「よく見ておけ。三人の勇者パーティーの面々は私の支配下にある」


 大声でヴィルが話す。私は息を呑む。いずれも王国内では名の知られた実力者だ。シドニックたちでも勝てない相手。そんな人間が私たちの目の前にいる。


 最初に動いたのが小柄な魔人・トリュクだった。兎耳の獣人に見えるが、れっきとした悪魔だ。幼い外見に反してその残虐性は知れ渡っている。


 ユマは目を見開くが、ナイフは動かない。やっぱりハッタリだったか。心やさしいユマに人は殺せない。


 あっという間にトリュクに手を(ひね)られ、ユマはナイフを地面に落とす。


雑魚(ざこ)が。どうしてくれようか」


 ユマの前に立ったヴィルはユマに顔を近づける。ユマはきっと(にら)みつけた。


「ティ―チよ、この女を(はずかし)めよ」


「ははっ、すぐにでもッ」


 ティ―チが馬乗りになっている私を強引に立たせた。私にはティ―チに流し込まれた魔力によって、身動きが取れない。さすがに体を重ね、私の体の細部にまで知り尽くした一級の魔術師・ティ―チだった。裏切るなんて予想外よ。


 ユマに平手打ちを喰らわせると、ティ―チがユマを押し倒した。



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