18、勇者パーティーは蹂躙(じゅうりん)される
私はファ―レ・エンタ―ニャ、アンジェシカ王女の部下であり、勇者パーティーを率いる者だ。父は伯爵家当主で私は三女に当たる。
場は緊迫した雰囲気に包まれている。治癒師のユマがアルメナを人質に取って、勇者パーティーのティ―チ・トラントの傷を癒した。
ユマはいざというときは意地を見せる気の強い女の子だ。彼女の正義感の強さは私たちの中では群を抜いている。
私は愛剣を構え直した。ユマを援護しなくてはならない。
「考えることは一緒か。私も手伝うわ」
レミットが明るい声で言った。レミットの瞳に輝きが戻る。
「七魔将っ、勇者ファ―レ・エンタ―ニャが成敗するっ、覚悟せよっ」
七魔将、といっても六人しかいないが、六人の魔人がギロリとこちら側を見た。いける。この私の、いえレミットの作り上げた最強のパーティー、勇者アスコットと並び称されたパーティーが力を合わせればいけ
ドゴォッ
私は男に突き飛ばされて、無様に地面に転がった。
「ヴィル様~、こいつら全員ヴィル様の愛人にしちゃってください~、そ、そのかわり俺の命を助けて下さい。お願いしまーすッ」
そ、そんなッ、ティ―チなんでッ、今この時に裏切るのッ
ティ―チは洗脳されてしまったのだろうか。ティ―チは私を未来の妻に迎えてくれると言っていた。そのティ―チが私たちを裏切るだなんて。
「よくやった!ティ―チよ!さて、ギャラリーを増やそうか」
ヴィルの言葉に新しい十字架が現れる。魔物使いのアイリス、賢者のシドニック、魔法使いのモルドアが縛り付けられた。男二人は憮然としている。アイリスは青くなっていた。
「よく見ておけ。三人の勇者パーティーの面々は私の支配下にある」
大声でヴィルが話す。私は息を呑む。いずれも王国内では名の知られた実力者だ。シドニックたちでも勝てない相手。そんな人間が私たちの目の前にいる。
最初に動いたのが小柄な魔人・トリュクだった。兎耳の獣人に見えるが、れっきとした悪魔だ。幼い外見に反してその残虐性は知れ渡っている。
ユマは目を見開くが、ナイフは動かない。やっぱりハッタリだったか。心やさしいユマに人は殺せない。
あっという間にトリュクに手を捻られ、ユマはナイフを地面に落とす。
「雑魚が。どうしてくれようか」
ユマの前に立ったヴィルはユマに顔を近づける。ユマはきっと睨みつけた。
「ティ―チよ、この女を辱めよ」
「ははっ、すぐにでもッ」
ティ―チが馬乗りになっている私を強引に立たせた。私にはティ―チに流し込まれた魔力によって、身動きが取れない。さすがに体を重ね、私の体の細部にまで知り尽くした一級の魔術師・ティ―チだった。裏切るなんて予想外よ。
ユマに平手打ちを喰らわせると、ティ―チがユマを押し倒した。