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11、ヴィルは妹・アルメナを救出する

 俺は冒険者たちの反応を(うかが)った。高級な服を着た若い女が進み出る。


「私の名はア―ネット。ヴィル様に服従を誓いますっ」


「ギ、ギルドマスター!?」

「ギルドマスターが真っ先に裏切るのかよっ」


 ビゼルッテではなく、俺を選ぶか。賢い女だ。許そう。


「他の者はどうだ。それとも八つ裂きになりたいのか」


「ソーニャはヴィル様の奴隷になりまぁすっ、好きに使って下さぁい」


 涙を流しながら、動けない美少女剣士ソーニャが声を上げた。強がってもまだまだ子供というわけか。ソーニャに賛同するように声が上がる。ざっと百人くらいだろうか。全員が服従を誓うのにそれほど時間はかからなかった。


「ふむ。では手始めにこの街の総司令官イルバンシュ子爵とその一族を確保せよ。もちろん、殺すなよ。捕らえた者には褒美(ほうび)(さず)ける」


 勇者アスコットは俺の獲物だ。イルバンシュはこいつらに任せて、俺はアスコットを捕らえて、拷問にかける。奴の命乞いが楽しみでならない。マーモデウスにイルバンシュは任せてあるが、自分大事のイルバンシュのことだ。とっくに逃げ出しているだろう。

 

 俺は命令で冒険者たちが我先にギルドを出ていく。全く欲をかいた人間が見苦しい。あとには魔術師ザックだった胴体だけが転がっている。


「あとで蘇生させよう。キュリランスの都市住民へのショ―に使える」


「はい」


 ビゼルッテが嬉しそうにうなずいた。俺は勇者アスコットの泊まっていた高級宿に向かう。


*****


 マーモデウスが妹のアルメナを連れて来た。法衣に包んだ彼女はお姫様のようにケルベロスの引く車に乗っている。両脇には魔族メイドがしっかりと彼女をガードしていた。マ―モデウスは徒歩で穏やかな笑みを浮かべていた。


「ほう」


 俺は感嘆(かんたん)の声を上げた。冒険者ギルド前の広場が(にぎ)やかになる。


「バルゴンドに我が妹の確保を命じてあったが、マーモ、そなたが成し遂げたか。全く気の利く男だ。そなたは」


 脳筋のバルゴンドのことだ。功績を上げようと、イルバンシュ子爵の確保でもやっているのだろう。


「アルメナ様は宿に一人でいらっしゃいました。丁重にお身柄を確保しました」


 マーモデウスがかしこまった。


「兄さん、助けに来てくれたんですね。最初は魔族が来て殺されるのかと思いましたよ」


 アルメナが車から降りてくる。


 俺のところまで走って来ると、ひしっと抱きついてきた。柔らかな双丘が俺の胸に当たる。子供の頃は無表情で何を考えているのかわからないと他の妹たちから(さげす)まれていたアルメナ。今では笑顔を向けてくるかわいい妹だ。その実力もルナと違って、折り紙つきだ。


「兄さん・・・・・・」


 まるで恋人のような抱擁。魔族たちですら、息を呑んで見守っている。ああ、アルメナ、君は僕の天使だ。君を妹でなければ、妻に迎えたい。


「アスコットにはひどいことされなかったか。ちゃんと食事はとっていたか」


「ええ、兄さん。ルナちゃんが食べさせてくれました。ルナの保護の下でアスコット様も私には手を出してきませんでしたよ」


 にっこりと笑みを浮かべるアルメナ。この様子だと変なことはさせていないみたいだな。アスコットのことだ。アルメナに性的虐待を与えていても不思議ではない。ルナには感謝しなければいけない。魔王の城に帰ったら、ルナとアルメナは特別待遇だ。


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