1、ヴィル、美少女パーティーを追放される
「俺のハーレムに邪魔だから、お前追放な」
冷酷な言葉とともに俺は勇者パーティーを追放が決まった。
「さっすが勇者様、お荷物はさっさと捨ててしまいましょう」
聖女エレノアが賛同すると、美少女たちから口々に勇者への賛辞が贈られた。
「ま、待ってくれ。俺は役に立てる!そうじゃないと村のみんなに会わせる顔がないんだ。お願いだから、いさせてくれ。頼むよ、アスコットっ」
勇者アスコットは俺を見下したように俺の前に立つ。
「お前みたいな貧乏人が困るよな、俺のパーティーにいれば、クエスト達成の報酬も弾んでくれるし、な」
「こ、困るんだ。生活がかかってるんだ!」
「クックック。でも、やだ。出てけよ。魔王退治は俺たちだけでも十分だしな。お前は余剰人員なんだよ」
「い、嫌だあ」
「見苦しいです。離しなさい、貧乏人」
魔法使いのカルデが杖を俺に向ける。俺は吹き飛ばされ、木の幹にぶつかった。
「私たち貴族出身のパーティーに貧民のあなたがいること自体間違いなんです。身の程をわきまえなさい」
「兄さん、ああっ、何てことするんですか。カルデさん」
妹で僧侶のアルメナが俺を助け起こす。
「ちっ、貧民同士が」
カルデは杖を振るうと、アルメナの体の動きが止まった。
「がっ、な」
「クソッ、手こずらせやがって。まあいい。アルメナ、お前は奴隷にして飼ってやる。たっぷりと仕込んでやるからな」
「やめろっ、アスコット。妹に手を出すな」
「手を出すな。か、心配するな。あきたら、魔物の餌にしてやるからな」
「いかがいたしましょう、勇者様。ヴィルは?」
「追放だ。だが、それだけじゃつまらないな。遊びの要素も欲しい」
アスコットの笑みが深くなる。
*****
魔王の土地から遠く離れた商業都市・リュウトルド・伯爵令嬢・アイリスの館。
「うーん、この奴隷は表情が硬いですねー」
アイリスはコレクションを鑑賞していた。最近手に入れたのは勇者パーティーにいたヴィルという奴隷だ。婚約者で勇者のアスコットのくれた奴隷だった。
「うー」
「足りてないのか、何も喋らないですわ。まあ、いいですけど」
「あー?」
「うふふ、私の言っていること理解してくださっているかしら。ま、いいですわ。アスコット様には悪いですけど、呪いを解きましょう」
アイリスは呪文を唱えた。そうすると、ヴィル少年の目に光が宿る。
「ここは。アルメナ、妹はどこなんだっ」
「ふわーあ。まずはご自分の心配をなさってくださいな」
あくびをすると、アイリスは鍵を開けた。
「グルルルルルルルッ」
ケルベロスだった。三つの頭を持つ悪魔は牢から出ると、アイリスとヴィルは向かってくる。
「あ、あへ・・・・・・」
ヴィルは尻もちをついて、ケルベロスを見る。
「くすくす。楽しいお遊戯の時間ですね」
ケルベロスが咆哮を上げると、ヴィルに襲いかかってきた。
*****
「スト――――――――――プ!」
ケルベロスの動きが止まった。
俺は拘束された状態のまま、目を見開いていた。
「私は復讐の女神、ヴュルヌスです」
目の前に青い髪の少女が現れた。浮遊している。
「あなたがあまりに可哀想で見てられません。私があなたに賢者としての能力を授けます」
俺の体が光に包まれていく。
「フフ・・・・・・修行に修行を重ねた大賢者の能力です。レベル581に一気にレベルアップ~」
「俺が大賢者・・・・・・」
「そうです。たっぷりとあなたを追放したクソパーティーに復讐しましょう」
女神が耳元で俺に囁く。復讐、その甘美な言葉に俺は自然と笑んでいた。
読了感謝です。ブックマークをもらえるとやる気が出て更新が捗ります。