BLOODY→SCHOOL←「神霊編」
第五話 オモイとオモイ
「はぁ、はぁ。ここまで来れば大丈夫...だと思います...」
「そっか、ありがとね...」
私達は藤山実里から逃げるために、学院を後にしていた。
「...」
「歳次のこと?」
「え、あ、うん」
私は無意識に頃原の事を見ていた。
「歳次なら大丈夫だと思うよ。あっちでやるべき事があるから、それが終われば帰ってくると思う」
「そっか...」
「ところでさ、榛香さんが歳次のことどうしてそこまで思ってるの?」
「そ、それは...///」
「ふーん、そうだ!歳次が帰ってくるまで聞かせてよ」
「は、恥ずかしいから、それは嫌だな...」
「ええ、いいじゃん。それに、私もちょっと気になってるしね」
「それって...」
「さぁね、榛香さんが教えてくれたら教えますよ」
「もぉ...」
そして私は頃原への思いを話し始めた。
「あれはね、私と頃原が小学生の頃だったわ。家も近くて、学年も同じ、幼馴染ってやつね。それで頃原は上級生に虐められたの」
「まぁ、よく聞く話ね。嫉妬が生む虐め」
「うん。それでその上級生達から助けるてる時に思ったんだ。お姉さんみたいにはなれないけど、頃原のお母さんみたいに、強くて優しい人になろうって」
「お母さんが居ないんだ...」
「んー居ないんじゃなくて、失踪しちゃったんだって。でも、何時からだろう。その立場が逆になっちゃってね」
「逆?それって」
「そう。虐めの標的が私になっちゃって、私への虐めはね、クラスの男女関係なしにされたの。でも、そんな時、頃原がね怒って、クラスの人達をボコボコにしちゃって...」
「男女関係なく?」
「そう、関係なく。あの時の頃原は凄く怖かった。でも、不思議とその時は怖さよりもかっこよさのほうが強かった。そこで私は確信したんだ。これからもずっと頃原と一緒にいようって」
「そんな事があったんだ...」
「うん。頃原が虐められてた時は頼りない背中だったんだけど、その日の頃原はとても頼もしくて、強い背中だった」
「はぁ、なーんか惚気話聞いた気がする」
「の、惚気って...」
「まぁいいや。それに、もし榛香さんが歳次に気持ちを伝えないなら、わたしが貰っちゃおうかなぁ」
「それはダメ!」
「ふふふ、じゃあ言わないとね、榛香さんの本当の想いを...」
「そうだね...。ところで、琴音ちゃんの方はどうなの?」
「え、私?残念、私にはもう好きは人がいるから、歳次の事は何とも思わないよ」
「ええ、なんかズルい!私だけ恥ずかしい思いしただけじゃん!」
「ふふふ、まぁ、いいじゃない。歳次の事、大事にしてあげなよ?すぐ無茶しちゃうから」
「そうだね...。昔からそうだったからね。私がちゃんとサポートしないとね」
「よし、それじゃ、これから忙しくなるから、ちょっと休もっか」
「そうだね、なんか色々ありすぎて、疲れたわ」
「あっちのベット使っていいからね、それじゃ」
「あっ、待って」
「なに?」
「こんな日くらい、一緒に休も」
「はぁ、まぁいいか。それじゃ一時の休憩を...」
私達は一つのベットに横たわり、少しのあいだ眠りについた。
ー???ー
「ここは...?」
辺りを見渡しても白い景色が続いていた。
「何も...無い」
実里に刺された傷を確認するが傷は無かった。
「どうなってるんだ?服も綺麗だし...それは死んだのか?」
「それはここが現実世界とは違うもう一つの世界だからだ」
俺は声のするほうを向いた。
「紅蓮か、生きてたんだな」
「ふん、この神聖なる領域で、我々神霊が死ぬ訳がなかろう。だが、彼奴は違うみたいだ」
俺は紅蓮が向いた方を見るとそこにはほとんど動かない、迦具土の姿があった。
「そっか、実里との戦闘でやられたのは迦具土だったのか...迦具土は帰ってくるのか?」
「さぁな。その先のことは歳次、お前次第だ」
「俺次第...。何をしたらいい?」
「お前の他者の記憶の中に入るダイブの能力を使えばいい」
「ダイブか...使うのは小学のあの日以来だな...行けるか...」
「もしもの事があるかもしれぬ、これを持っていけ」
「これは..」
「使ったことくらいはあるだろう?我の能力を宿した刀紅蓮刀を」
「まぁ、何回かは」
「ならいい。さぁ行け!ダイブで迦具土の記憶の欠片を辿り、迦具土の未来を変えるのだ」
「あぁ、待ってろ迦具土、今助けるからな」
そして俺は迦具土の記憶にダイブをした。
ー迦具土の記憶ー
「ここが迦具土の記憶...。この記憶、親父との記憶だ。しかも30年も前の。迦具土は親父とともに戦うことを楽しんでいたのか...。なのに俺は......。それより、最後の記憶に向かわなと」
俺は奥へと進んだ。
...
......
.........
「見つからねぇ...」
奥へ進んでも、同じところをぐるぐる回っている感覚だった。
そんな中、近くにひとつだけ色が違うのがあった。
「これは...」
それは最後の記憶だった。
「紅蓮、見つけたぞ!」
「よし、そしたらその記憶を書き換えるのだ。迦具土が仮死状態にならない未来を」
「わかった、やってみる」
「時間はあまりないみたいだ。できる限り急ぐのだぞ」
「わかった。待ってろよ、迦具土。今助けるかな...」
そして俺は迦具土の記憶を書き換えた。
ー???-
「終わったみたいだな」
「まぁ、なんとかな...」
俺は、迦具土の記憶を書き換えることに成功した。だけど、正直死ぬかと思った。
まさか、記憶の中から刀が出てくるとは思わなかった。
紅蓮刀がなかったら死んでいた。
「何はともあれ、これで迦具土は平気なんだよな?」
「まぁ、あとは時が来るのを待つだけだが」
「よし、仕事はこれで終わりだな。あとは実里をどう倒すかだな...」
考え事をしている時だった。
「よう、サイジ。直接会うのは初めてだったな」
「ん?迦具土、起きたんだな。それに会うのは2回目じゃないか?」
「そうだったか?」
「それより、頼みがある」
「私に果たせるものならいいがな」
「俺と共に戦ってくれ!」
「ふん、そんなことか。私の命は貴様等と共にある。力を受け継いだその日からな」
「そっか、ありがと」
俺は笑いながら頭をかいた。
「それじゃあ、これから頼むぜ迦具土、紅蓮!」
そして俺は光に包まれた。
ー???ー
「そう言えば、ここって何処なの?」
「ここは、私の家の地下だよ。お姉ちゃん達は入れないと思うから大丈夫」
「琴音ちゃんの家なのに美琴ちゃん達には入れないの?」
「うん、家は家でも、家じゃない」
「ふーん。なんか難しいね」
「そ、そうだね...」
「... ... ...」
俺の意識は回復した。でも、まだ覚束無い。朦朧とする意識の中、俺はゆっくりと体を起こした。
「ここは...」
「あ、起きたんだね。頃原」
「あ、あぁ」
「実里の犠牲の力...あれは...」
「うん。私のお姉ちゃん」
「やっぱり...か」
実里の犠牲の力、それは琴音の姉美琴さんの力。琴音の闇の力の対になるもの。そして...
「そうだ、二人には聴いてもらわないとね」
「何をだ?」
「お姉ちゃんの犠牲の力を...」
そして俺たちは、琴音から美琴さんの犠牲の力を聴いた。
それから30分。
「そうか...ありがとう、琴音」
「歳次は、犠牲の力をフルに使った実里さんに勝てる勝算はあるの?」
「勝算?そんなもんあるわけないだろ。でも...」
「?」
「俺はもう、あと時までの俺じゃない。お前達がいるからな!」
「頃原...」
榛香が俺によってきた。
「な、何だ...?」
「... ... ...く」
「え?」
「私も行く!」
「それは...駄目だ」
「どうして!」
「もう、榛香を危険な目にあわせたくない」
俺は本音を伝えた。でも...
「嫌だ!私も最後の戦いを見届けたい!」
「... ... ...」
俺は少しの間を置き、口を開く。
「はぁ、分かったよ...」
「ありがとう」
「でも...」
「?」
「俺が逃げろと言ったらすぐに逃げること。いいか?」
「うん、分かった」
「よし、それじゃあ、行くか!」
「うん!」
「うん!」
「決戦の舞台へ!!」




