息子にならない?と言われた
少しずつ書けるようになってきた気がしなくもないです。
改善点などを指摘していただけるとありがたいです。
目が覚めたら見知らぬ天井があった。そして俺は……。
(ああ……、死んだのか……)
俺は死んだと思っていた。
(……でも死にたくなかったなぁ……魔法使ってみたかったなぁ……ショックだわ……「ガチャ」……ガチャ?)
音がしたほうを見ると小さい女の子が入ってきて俺を見た
「「あ……」」
少女は後ろを向き
「おかあさまー!おきたよー!」
と、言いながら去っていった。
(……え?誰いまの子?おきた?おかあさま?俺死んでない?)
俺は体を起こして辺りを見回してみた。
(……暗いな。夜なのか。どうやらベットに寝かされてたみたいだ。最後に覚えてる限りでは明るいときに森で倒れたとこまでだから……倒れた後で誰かに見つけられたのかな?運がよかった、運1だけどね。)
そうしているとドアの向こうから人が走る音がした。
ドタドタドタ……!
(あ、帰ってきたかな)
ガチャ
そしてさっきの少女と少女が大人になった感じのキレイな女の人が入ってきた。うわ、やばい!
「あらほんとね。よかったわ目が覚めて全然起きないんだもの。」
「助けてくれてありがとうごzーー」
「だって三日も寝たままだったんだから」
わお、どうやら倒れてからさらに三日たったらしい。
「……本当にありがとうございました……ご迷惑おかけしました!」
キュルルル……
お礼を言ったら俺の体が食べ物よこせと言わんばかりに腹を鳴らしてきた。それを聞いた二人がクスクスと口を隠して笑っている……
(あ、力が入らない……聞かれるとすごく恥ずかしい……!うぅ……笑われてる……!)
恥ずかしいのを我慢して食べ物をもらえないか聞いてみることにした。
「すみません、最近食事をしてないので……何か食べ物を分けてくれないでしょうか……」
「そうなの!?ならパンがあるからそれでいいかしら?」
「ありがとうございます……」
「ちょっと待っててね。」
「おかあさま、しるふぃがとってくるよ!」
「そう?ならおねがいね?」
「はぁーい!」
シルフィという名の少女がまた走っていった。
(あの子シルフィっていうのか、さっきのことといいすごく元気なんだな。あれ見てると孤児院の小さいのを思い出すな……)
そんなことを考えているとシルフィがパンの入ったかごを持ってきた。
「もってきたー!」
「ありがとう、シルフィ。」
「えへへー。」
「自分で食べれるかしら?だめそうなら食べさせてあげるけど?」
「だっ大丈夫です。自分で食べれます。……ところであなたの名前は……?」
少女の姉?らしき人に名前を聞いてみた
「私?私はミリナリアよ。そしてこの子が娘のシルフィ。君の名前は?」
まさかの母親だった。
「おr……」
そこまで言った思った。この外見で俺というのは違和感しかないと
「……じゃなくて僕は恢斗です。」
「カイトくんね。分かったわ。食べ終わってからでいいから少し話を聞かせてくれないかしら?」
「はい。わかりました。」
……何も食べていなかったせいでかごの中のパンをすべて食べてしまった。シルフィは俺がパンを食べている間に寝てしまったようだ。
「すみません。全部食べてしまって……。」
「気にしないでいいのよ。……ところでなんであんな森の中に倒れていたの?君のご両親は?」
「……」
そこで俺はどう返事をしようか迷った。素直に異世界から来たと言っても信じてもらえるわけがない。だからと言って嘘をついたら後で色々とややこしいことになるかもしれない。
「……両親はいないです。記憶が曖昧なので自分の名前くらいしか覚えていないので……なんで森にいたのかもよくわからないです……。」
「そうなの……記憶が……かわいそうに……。……あら?その指につけている指輪って……」
「え?あ、これですか?なんか気づいたら指にあったんです。」
俺の右手中指には真ん中に丸い小さな白い球のついた指輪がはまっていた
「それってアイテムリングじゃないかしら?」
「アイテムリング?」
その名称には聞き覚えがなかった。マジック・マシナリィで全アイテムを集めた俺だがそんなものは聞いたことないし見たことない。
「ええ。道具とか色々なものが収納できる指輪のことよ。結構便利なのよ。」
「……そうなんですか。」
「使い方は……分からないわよね、反応を見る限り知らないようだし。」
「はい……。わからないです。」
「魔力の使い方はわかるかしら?」
「……魔力?」
「そうよ。ステータスのMPのことね。それでね……」
ミリナリアさんから聞いた話だと、どうやらこのアイテムリングは魔力を流し込んで利用するようだ。指輪は空間魔法で亜空間につながっており、収納したいものに触れながら指輪に魔力を流すと亜空間に一瞬で収納できるというものらしい。ただし収納できる量は限られているらしいが指輪によって違うので多く収納できるのもあれば少しの量しか収納できないものもあるらしい。取り出すには魔力を流しながら「オープン」と頭で唱えると空間に黒い丸い穴が出現する。そして取り出したいものを思い浮かべながら黒い穴に手を入れるとすぐに取り出せるらしい。思い浮かべなくても取り出せるらしいが。
使えれば便利なのだがそのためには魔力を十分に扱えないといけない、俺は魔力の使い方がわからないのでミリナリアさんに代わりに
「僕は魔力の使い方がわからないので代わりに何が入っているか確かめてもらえないですか?」
「ごめんなさいね。アイテムリングは盗まれたりした時のために持ち主以外は開けられないようになってるのよ」
「(マジかよ……)そうですか……」
「……」
俺がどうしようかと考えていると。
「……よかったら私が教えてあげるわよ?」
「え、いいんですか?」
「ええ、魔力の使い方を教えるくらいなら私にもできるから」
「ぜひお願いします!」
「うふふ……。いい?魔力はーーー」
その後、魔力について教えてもらったが、魔力は心臓にあるらしい。なので心臓のところに意識を集中して魔力を扱うんだそうだ。
言われたとおりに心臓に意識を集中すると俺は何か胸にモヤモヤする何かがあるという感じしか分からなかった。
「……なんかモヤモヤします。」
「そうよ。そのモヤモヤが魔力よ。すぐに魔力の感じをつかむなんて……カイト君すごいのね」
「そうなんですか?」
魔力を初めて感じるのは少し難しいらしく、早くても三日かかるそうだ。
しばらく練習した後ミリナリアさんが俺に聞いてきた
「……ところでカイト君はこれからどうするのかしら?」
「……」
俺は人に会うことを目的としていたため、次に何をするかを考えていなかった。ほんとどうしようか。
「どこにも行くところがないのなら私達の家……ここに住んでもいいのよ?」
「え……でも迷惑になるんじゃ……」
「平気よ。結構裕福なのよ?私達。……そうだわ!カイト君!私達の子にならない?」
「え?……え!?」
なぜここまで俺のためにしてくれるんだろうか。何か怪しく感じた。だがそんな考えははすぐに消えた。ニコニコと嬉しそうな顔をしながらミリナリアさんは言った。
「カイト君がかわいそうだからっていうのは少しあるけど……実は私ね、息子もほしかったのよ!」
息子がほしかったからっていきなり「私達の子供にならない?」と普通言うだろうか。
「でも……ミリアリアさんがよくても旦那さんが反対するんじゃ……」
「大丈夫よ!あの人、息子もほしがってたのよ!反対するはずないわ!」
俺は心の中で「いや、なら作っちゃえよ!そのほうがいいだろうが!」と叫んでいた。
考えていたら息子以外の選択肢があるではないかと気づき、他の選択肢を尋ねたがーーー
「……それ以外の選択肢はーーー」
「ないわよ。あっても認めないわ」
「えぇー……」
あっさりと息子になる以外の選択肢を切り捨てられた。なぜ俺が息子になりたくないのかは、今更義理とはいえ親ができても恥ずかしくて「お義母さん」とか呼べそうにないからである。
その後は息子になれば衣食住は心配しなくて済むわよーーーとか時間をかけて説得されて……やむなく俺は折れた。
「……分かりました」
「ふふふ。私嬉しいわ」
「だけどーー」
「?」
「旦那さんが反対したら僕は息子にはならないですからね。そこだけは譲れないです」
「むぅ……分かったわよ。それでいいわ」
頬を膨らませて、ミリアリアさんはまるで子供のように拗ねた顔をしながら条件をのんでくれた。
(頼んだよ旦那さん!息子以外の選択肢を俺にください!)
俺は帰ってくる旦那さんに願いながらその帰りを待っていた。
ずっと椅子に座っていたから尻が痛い……