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少年になった転移者の自由奔放論  作者: 水無月水歩
第一章 気づいたら少年
20/22

連れてってもらうには

あー、えー、あー、だめだ、もうだめだ、何書いてんのかワケわかんねぇ……

前回の続きです

「彼女はある日を境に狂ったように自分の生まれ育った場所を2度と住めなくなるまでダメージを与えて、村の人、友達、……そして家族までも殺したと言われているわ」


 ……おぅ、怖いなぁー


「あ、少し昔と言っても事件は今から二十年前くらいになるのかしら? 噂をきたのがそのくらいだった気がするからね」

 

 二十年前か……メリッサって何歳なんだろう、エルフだから何百歳とかありえる。まさかおばあちゃんか!? そうなのか!? 


「……あら、何かしら?」

「い、いえ、なんでもないデス……!」


 やばい、睨まれた! 目に光が点ってないからめっちゃ怖い! この人は怒らせたら命がヤバい気がする!


「事件前の彼女はね、優しくていつも明るく笑っていて、他の人たちからも一目置かれるような実力を兼ね備えた将来有望な魔法使いだったらしいの。

 年端も行かない少女なのに使える人が少なくて珍しい氷の魔法が使えて色々なところからスカウトが来てたみたい。まあ魔法を使えるのは大体半分くらいの人だからそのせいもあるんだけどね」


 へぇー、そんなに凄いのか。というか氷魔法って使える人少ないのかよ、しかも全ての人が魔法を使えるわけじゃないって? 疑問は即解決、これが今日のモットーです。というわけで聞いてみよう。


「はいはーい、メリッサ先生質問でーす」

「え? せ、先生?」


 なんか悪ノリして先生って呼んだらメリッサの顔が一瞬で真っ赤になって頭からプシューと煙が出たように見えた。その後すぐに顔を両手で隠してしゃがみこみ後ろを向いてしまう。


「わ、わたしが先生……えへへっ」


 なんで嬉しがってるんだ? チラッとアレスに目で教えてと訴えたら、苦笑いしながら顔を耳に近づけた


「あいつは子供ん時教師になりたかったらしくてな、大人になって教師の試験を受けに行ったんだがよ、その試験で何かやらかしたみたいで試験に落ちたんだと」

「へぇー」


 アレスは「だがよ」と言って続ける


「落ちただけならまた受ければいいんだが、そん時どこかのお偉いさんと口論になったみたいで、もう試験受けなれなくなったんだと」

「うわぁ……」


 なんかけっこうな話を聞いてしまったな、黙っとこう


「あいつにこのこと聞いたって悟られるなよ、俺死にたくないからな」

「わ、わかった」


 俺だって死にたくない、絶対黙っとく


「コホン、え、えーと、何かしら?」


 今もなお顔が赤いが息を整えながらこちらを向いて返事を返してくる。そこんとこ素晴らしいです。あー写真撮りたいな。この反応はなんか貴重な感じがするし。


「魔法ってみんな使えるんじゃないの?」

「皆が使えるわけじゃないわよ?」

「なんで?」

「……? わからないの?」

「わかんないよ?」


 なんで俺がわからないと言うとそんな驚愕した反応をするのかね? しかも三人とも……


 シルフィ家にあった本を読んだりしてたけど魔法に関しての本は――興味はあったが何となく面倒臭い気がしたから手を付けなかったんだよね。

 いやね、なんか理論的なことばっかり書いてあるっていう先入観が俺の思考にリンクして拒絶してしまっただけでね、決して俺が頭悪いとか勉強が嫌いってわけじゃ――ほ、本当は嫌いだけれども! それは関係ないんだよ!

 そういうことで魔法に関しての本は読んでいないので全く分からないんだよな。


「まあいいわ。まだ子供だもんね、教えてあげるわ。――魔法には適性みたいなのがあって、それがないと使えないわ。基本的な属性は『火』『水』『風』『雷』『土』『光』『闇』の計七つあるわね、あとはそれ以外の特殊なのがあって『聖』『回復』『氷』とかがそこに分類されるわ」


 うん、基本属性はわかってる。ゲームと同じだからね。でも特殊の方で言った『聖』はゲームでは聞いたことがない。


「特殊なのはどうやったら使えるの?」


「そうね……例えば『水』を極めた人なら氷を多少は使えるのだけれど本当の『氷』の魔法ほどではないのよ、だから使える人が少ないし珍しいのよ」


 そうなのか……なら使えることは言わないほうがいいのかな? 使えると分かって利用されたりとかされたくないし……。そもそも魔法が誰しも使えないなら俺のスキルは見せられないからな。


「……へぇー、そうなんですねー」

「「「……」」」


 ……なぜだろう、三人から変な目で見られてる気がするんだけど。


「あ、あの、どうかしたんですか?」

「……ちょっと、何か私達に隠し事してない?」


 な、なぜバレたし! いや、まだごまかせる!


「そ、そんなことしてないですよー」

「「「……」」」


 ……なんでさっきより疑いの目が強くなってるんですかね!


「本当に隠し事とかしてない?」

「してないよ! な、なんで疑うのさ!」

「……じゃあなんで目だけ別の方を向いている(・・・・・・・・・)のかなー?」

「そ、それは……」


 ……いや、だって、メリッサの、その、笑顔が怖いから直視できないんだけど……


「何だこいつ、わかりやすいな」

「バレバレだねー、顔に出てるから嘘が下手なのかなー?」

「そうでしょうね」

「ぐぬぬ……!」 


 3人から嘘が下手と言われてしまったが、俺は認めない!


「で、何を隠してるのかな?」

「うぅ……!」


 な、なんとか交渉して何も隠してないとわかってもらわないといけないのだけれど――


「……言えないならしょうがないわね」


 お? メリッサが諦めてくれたようだ。ふう、よかったよかった。


 そう安心していると立ち上がって俺から離れていく。


「ここにある物持って、カイト君を置いて帰りましょうか」

「え?」


 今なんて言った? 置いて帰る?


「な、なんで!」

「だってねぇ、何か隠している人と一緒なんて不安でしょ? 当然じゃない。ねえ、2人とも?」


 メリッサがそう2人に声をかけると一瞬キョトンとした顔になったが、何か気づいたようでアレスがニヤニヤと笑い始めたので俺は嫌な予感がした。


「だな。危険はなるべく無いほうがいいに越したことはないしな」

「そ、そんな! ちょっと待ってよ! 子供をこんな所に置いて行く気かよ!」


 こんな知らない場所に置いていかれてたまるか! なんとか連れて行ってもらわないと、村に帰るどころかここで死んでしまう! 


「置いて行かれたくなかったら、全部包み隠さず話すことね」

「ぐぬぬっ……!」


 悪魔か! さては種族偽ってるな! あ、後ろからこっそりついて行ったら……だめだ、走られたら追いつけない……仕方ないか


「はあ……話す、話しますよ」

「あらそう? なんかわるいわね、じゃあさっそく話してもらおうかしら」



 全然悪いと思ってないなこの人! 俺の思ってるエルフと違う! やっぱり種族偽ってるんじゃないの!?

 

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