Let's 家捜し
なんとか一週間で更新できたぜ
さて、現状確認だ。今の俺は血まみれでボロボロになった服以外は持ち物がない。アイテムリングは右手にはめていたので腕と一緒に凍りづけになっているはずだからここにはない。
キョロキョロとあたりを見回すと古いタンスやらクローゼットやら何かの箱やら木箱やら様々な物があちこちに置いてある。拠点を移したのに物を置いていったのだろうか。
「新しく買い替えたとかでいらなくなったとか?」
まあそんなことより中身だ。中身が重要なんだ。服を着替えたいんだ。……盗賊団のアジトに子供服があったらおかしい気がするが、衣類があるなら何でもいい。あと腹減った、食い物もほしい。
俺はタンスに近寄って取っ手に手をかける。
「ザ・オープン!」
と勢いよく開けるが
「まあそうだよね。」
当たり前ながら中身は空っぽだった。
「まだまだたくさんあるし最初から何か出てくるとは思ってなかったよ。うん、思ってなかった。」
実はちょっと期待してたり……いや、してない。
「片っ端から開けてみるか」
◇◇◇
「う~~~む」
あれからたくさんのタンスやクローゼットを開けたり、箱などを開けたりして数刻が経っていて外は真っ暗だ。途中で痛覚が少し戻って右腕が痛かったり、血が足りなくてフラついたりして動けなかったりしたので思ったより時間がかかってしまったのだ。
さらに言うとあちこち床や壁に穴が開いていたりギシギシと軋む音がしたりで慎重に移動しないといけなかったから余計に時間を食った。
家捜しして見つけたのは少しボロい黒のロングコート等の数着の衣類、刃こぼれしていたり刀身が折れてたりするナイフや短剣などの小さい武器が十数本。子供服と食べ物はさすがになかった、残念。
どうしようか、最後に食べたのは朝のパンだからなぁー。空腹が少しきついんだよな……。
「何か外にないのかな……」
家探ししている間に窓から外を見たらこの元アジトは森の中にあったのでそこら中に木が生えていた。
ひょっとしたら果物とか木の実とかあるかもしれない。
「ともかく帰るためには移動しないと」
見つけた中で一番気に入った黒のロングコートを身に着けることにした。結構引きずってしまうが元がボロボロなのであまり気にしないでおく。それから刃こぼれの少なかったナイフと短剣をボロ布を使い腰に止めておいて、残った物は一番大きい布を使ってできる限り包んだ。
「流石に片腕だとそんなに持てないな……やっぱり目じゃなくて腕を治してもらうべきだったかな。」
血が付いている服の上にボロのロングコート、腰に二本の武器、全体的に真っ黒だ。多分他の人が俺を見たらスラムの住人に見えなくもないと思うんだ。
こんなに汚かったことは今までにないと思う……。
「よし、行くか!」
意気込んで元アジトから出ようと扉に向かっていく。
「ふっ! ほっ! とりゃ!」
ところどころ床に抜けそうな感じのする割れ目がある部分を踏み抜かないようにサッサッと華麗によけて進んで行く。
扉の取っ手に手をかけて――
――……!
――………!
「ん?」
今何か……気のせいか?
「なにか聞こえたような……」
気になって耳を澄ましてみる。
――だ…っ……!
――い……こ……と!
すると何やら外から人の声が聞こえてきた。
「人の声……誰かこっちに向かって来てる!?」
聞き取れる声はだんだんと大きくなっていてこちらの方に向かっているとわかった。
どうしようかと迷っていると、盗賊が何か物を取りに戻ってきたんじゃないかという考えが頭の中をよぎった。
「か、かくれないと……」
俺は持っている纏めた荷物をその場に置いて、元アジトの奥に向かった。今の俺が戦闘になって戦ったとしても勝ち目なんてあるわけがない。ならその人達の用が済んで出て行くまで身を隠してやり過ごそうと考えたのだ。
「いって!」
急いで奥にと思ったせいか周りを見ずに走ってしまい、壁から出ている木の破片などに腕を引っ掛けてしまい所々切ってしまった。
「痛いけど今は隠れないと」
痛みを気にせずに一番奥に箱などが大量にあるのでそこに入る。
「頼むから何事もなく帰ってくれよ……!」