危ない薬と代償(副作用)
お久しぶりです。一か月くらい間が空いてしまいました。
ちょびちょび書いていたのでおかしいところがあったら教えてください。
ゲームメンバーの名前を変更しました。左目から右目に変更しました。
「マジでやばいな、これは……」
「グアァ!!!」
今の俺は熊の魔物とにらみ合っている状態で、互いに様子を見ているから動きたくても動けない。もし動いたとしてもすぐに殺られてしまうだろう。
「なにか打開策は……!」
頭の中で策を考えるが、ことごとく殺られる未来しか見えない。
「……そうだ。そういえば、まだこいつが残ってるじゃん!」
ふと思い出して自分の指にはまっているものを見る。
そう、まだ俺にはこのアイテムリングがある。中身は確認してないが最初から身に着けていたから何か入っているに違いない! …………はず!
だがこのままでは確認ができない。一度安全なところに行かないとおっかなくってできそうにない。
こんなことになるなら最初から確認しとけばよかった……。
だが今更後悔してもしょうがない。とりあえずさっきまでローレン達がいた木の上に行ければな……。
……………
「グア゛ァ!!」
そんなことを考えていると、魔物が突進して俺に近づいてきていた。
……ええい! なるようになれ! 俺、ダッシュ!
「うぉぉー! 走れぇおれぇぇ!!」
距離を置かないと色々ヤバいので全速力で走ったんだが……
「ああああ! ……あ?」
「グア゛ァァ!!!」
……なんか腕振りかぶってない? あれ? 距離がすごく近いんだけど?
……あ、ダメなやつだこれ。
「グウ゛ォ゛ァ!!!」
「ぁがっ!!!」
魔物の攻撃をよけきれずくらってしまい吹っ飛んだ。
「うぐっ!」
吹き飛ばされた俺は木に勢いよく体をぶつけてしまった。さらに攻撃を食らったときに鋭い爪が俺の左腕と背中を深く傷つけていた。
「いっ! いってぇ……!」
痛みを感じ左腕を触ってみるとビチャっとした感覚があったのでかなりの血が出ているのであろう。
だが運よく吹き飛ばされたのは向かっていた木の真下だった。
「い、急いで登らないと!」
しかし、左腕と背中にケガがあるためうまく登れない。
これは不味いと思い魔物の方を見てみると近くの草むらからガサガサと音が聞こえて揺れていた。それを見た俺は嫌な予感がした。
「……ま、まさか」
嫌な予感が的中し、毛並みが血のように赤い猪みたいなやつが現れた。熊の魔物よりは大きくないがそれでも俺より3倍くらいのデカさだ。二つの大きくて長い牙をもっている。
「ブゴッ!」
「……じょ、じょうだんだろ、おい……」
熊の魔物だけでも絶望するくらいに生存率がないっていうのにさらに猪の魔物までくるともう逃げようがない。片方避けたらもう片方が来て一瞬で俺の命が終わる。
「…………おや?」
ーーーが、俺の想像した通りにはならずに熊の魔物と猪の魔物が敵意むき出しにして向かい合っていた。なんで?
「グァァ……!!」
「ブゴォ……!!」
互いにうなりながら相手のことを見て様子をうかがっている。今なら俺のこと見てないし逃げれるんじゃないかと思ったがすぐにダメかとあきらめる。相手は魔物と言えど動物だから俺から出ている血の匂いを嗅いで逃げても追ってくるだろう。
そんなことを考えていると二匹の魔物が戦い始めた。俺のこと……獲物の取り合いだろう。なんか複雑な気持ちだ……。
俺は気づかれないようにゆっくりと木に登った。運が良ければそのまま相打ちに持って行ってくれるんじゃないかという淡い期待を望んで。登り終えた俺は再び魔物の方を見た、突進していたりつかまれてぶん投げられたりと戦いは続いているみたいだ。
戦いが終わらないうちに俺は中身を確かめるためにアイテムリングを使う。……本当に何にも入ってないってことはないよね?
少々不安になりつつも今はこれにかけるしかない。……てりゃ!
アイテムリングを使うと何が入っているかの一覧イメージが流れ込んでくる。中に入っているかなーーーお、あった。
えぇーっと、なになに……ポーション、MPポーション、エリクサー、ふむふむ回復系のアイテムだね。あ、武器もあるな。へぇー、ほーん
っておかしいでしょ! マジか!? いやいやいや、そんなわけないでしょ。きっと思い違いだよね、ちゃんと確認しないと
さて、……えっと、なになに……ポーション、MPポーション、エリクサー、ーーーあ、武器も、あるね。
……思い違いじゃなかった! 現実だった! しかも同じやつがすごい数あるんだけど……うん? なんかこの数とアイテムは見たことあるぞ?
ああ! 俺が集めたやつじゃんか! どおりで見たことあると思ったよ。俺の集めたやつならきっとこの状況を打開できるものがあるはず!
そう思った俺は試しにゲームの中での愛用していた武器を出そうとして探したがーーー
「あ、あれ? なくね?」
さらに服なんかの防具系のやつもなかった。そういえばアイテム集めの時は遊びでやってたからガチ装備は全部倉庫に……あ
「も、もしかしてこのアイテムリングに入ってるのって最後に自身が所持していたアイテムだけ、なのか?」
……うそだ。あんなに苦労して集めたのに……それが、全部、消えた。残ったのは必需品のアイテムと遊びで使っていた武器と服だけ?
「やばい、喪失感が、けっこう、来る」
ショックが大きすぎて言葉が片言になってるが魔物の戦う音で現実に戻される。そうだったこんなんでも使えるものがきっと! あるよね?
探しているとふと気になるものがあった。
「ん、なんだこれ? 『ちょうてんせいしん薬えんふぉるさー』? こんな怪しいのもってたっけ?」
取り出してみるとポーションと形の同じ入れ物に何種類もの飲み物を混ぜたようなすごく変な色の液体が入っていた。
「絶対に不味いだろこれ、色が飲み物じゃない。誰だよこんなの作ったやつ、そもそも名前がひらがなで読みにくい」
ラベルが貼ってありそこに文字が書いてある。えっと、『カイトへ、なんかできちゃったから君にあげるね♪ このボクが作ったんだからちゃんと使ってくれなきゃ怒っちゃうんだからね!』か……。
……懐かしい名前だな。ゲームで一緒にギルドを作った初期メンバーで男性は、筋肉馬鹿でうるさいジルティ、紳士みたいで参謀のルイズ、女性は、ちびっこのエリス、頼れる姉さんファティア、魔法使いのライム、そして俺の6人で色々やったっけ。
たしか、そのメンバーであるライムから押し付けられたような気がする。うん? まだなんか書いてあるな。
『これ使うと副さーーおっと、何か起こるかもしれないけど気にしないでね♪ あははは♪ PSーまた会おうね。ふふふ♪』
……絶対副作用って書こうとしただろ、なにが起こるんだよ。
とりあえず置いといて再び探し始めるがめぼしいものはなかった。いや、それなりに強い武器などはあるにはあるんだが今の俺では振ることはおろか持っていくのも難しい。使えるとしたらお店で売っているような小さい短剣くらいだろう。
「飲みたくないけど、これ飲むしかないのかなぁ……嫌だなぁ……でもこれしかないし………ええい!どうとにでもなれ!」
キュポン! ゴクゴク……
『ちょうてんせいしん薬えんふぉるさー』のふたを開けて気色悪い色の液体を飲んでいく。
「うげぇぇ! 不味い……はきそう……んで飲んだけどどうなってーーー」
突然体からありえないほどの魔力が湧き上がってくるのを感じる。だが今の体にはとてもじゃないが耐えられないほどどんどん大きくなっていくので徐々に苦しくなってくる。
「くっ! 結構、きついな、これ……」
どんなもんなのかとステータスを出してみると
<ステータス>
カイト 男 7歳
人間
LV 6
HP 40/40
MP 30000/60
物理攻撃 18
物理防御 15
魔法攻撃 22000(22)
魔法防御 15
素早さ 20
運 5
<適正属性>
火 水 風 雷 土 光 闇 無
<スキル>
[属性魔法] 火Ⅹ(制限Ⅰ) 水Ⅹ(制限Ⅰ) 風Ⅹ(制限Ⅰ)
雷Ⅷ(制限Ⅰ) 土Ⅷ(制限Ⅰ) 無Ⅹ(制限Ⅰ)
闇Ⅵ(使用不可) 光Ⅵ(使用不可)
[精霊魔法] ーーー
[固有魔法] 氷Ⅹ(限定解除)
[特殊魔法] 回復Ⅹ(制限Ⅰ) 付与Ⅹ(制限Ⅰ)
空間Ⅹ(使用不可)
[属性耐性] 火Ⅴ 水Ⅴ 風Ⅴ 雷Ⅴ 土Ⅴ 光Ⅴ 闇Ⅴ 無Ⅴ
物理耐性Ⅴ 状態耐性Ⅴ 言語理解Ⅴ 学びの才Ⅴ 魔力操作Ⅲ
交渉Ⅲ 鍛冶Ⅲ 調合Ⅲ 製造Ⅲ 器用Ⅳ
索敵Ⅴ(制限Ⅰ) 隠蔽Ⅳ(制限Ⅰ) 隠密Ⅱ(制限Ⅰ)
変装Ⅱ(制限Ⅰ) 剣使いⅩ(制限Ⅰ)
念話Ⅱ(使用不可) 再生Ⅲ(使用不可) 限界突破Ⅰ(使用不可)
千里眼Ⅱ(使用不可) 鑑定Ⅲ(使用不可)
なんとMPが500倍、魔法攻撃が1000倍になって、スキルの氷Ⅹが(制限Ⅰ)から(限定解除)になっていた。……よく耐えられるな俺の体、普通だったら爆発してんじゃないのか? それにしても限定だがここで氷Ⅹが使えるようになったのは幸運だ。魔物を氷漬けにでもすれば助かるかもしれない。
「グギャッ!!」
と、悲痛な声が聞こえたほうを見ると、熊の魔物の背中から猪の魔物の牙が貫通して血がドバドバでていた。多分だが心臓を貫いたんだろう。熊の魔物はすでにぐったりして動く気配がない。
既にこと切れた熊を無造作に投げ捨てて狙いを俺に定めてきた。
「……やるしかない、氷漬けにして、俺は助かるんだ!」
魔法はイメージが大切だと義母さんが言っていた。あと魔法を使うのに慣れていないなら制御装置になる杖が必要とも言っていた。というか魔法を使う人は大抵の人が使っているそうだ。漫画やラノベでは無詠唱とか素手で使っているのが普通だったのでこっちもそうかと思ったら違うらしい。
でもアイテムリングには杖なんてなかったので何とか使えるくらいの小さな短剣を取り出した。この短剣をあいつに刺して魔法を使えば絶対によけられることはない。いけるさ!
「ブゴォォ!!!」
鳴きながら俺のいる木に向かって突進してくる。俺は魔物が近づくのをジッと待つ。
ドドドドドドッ!!!
あと少し……今だ!
木に激突した瞬間に俺は木から魔物の頭に向かって飛び降りた。
「うりゃー!!」
ザクッ!
落下する重力と俺の全体重をかけた一撃は何とか魔物に突き刺さった。よし! あとは俺を巻き込まないように氷漬けにーーー
「ブゴォ!!!」
魔物が俺を振り落とそうと頭を振ったりして暴れだした。
「わああああ!!!」
「ブゴォォォ!!!」
力のない俺は振り落とされてしまう。そんな俺に魔物は容赦なく突っ込んでくる。
焦った俺は後ろに下がっていくが恐怖に震えていてうまく動けない。そんな時にコツンと手に当たる感触があった。持ってみるとそれはローレンが持っていたナイフだった。俺は無我夢中でそのナイフを地面に突き立てて魔法を発動させた。だが俺は恐怖のせいで魔法の威力と範囲を考えていなかった。
バリバリバリ!!!と、突き立てたところからドンドン凍っていくーーー俺の右腕と共に。
「う、ぐあぁぁ!!」
凍っていく勢いは止まらず突き刺したナイフを中心にドンドン凍っていく、地面から氷柱が飛び出したり木をまるごと凍らせたりと酷いありさまである。こうなると他の人がいなくてよかったと思った。魔物は既に氷漬けになっていて動かない。
「かったけど、くそいたいし、く、くそさむいし、これじゃあ動けないじゃ、ないか」
普通なら魔力を消費しすぎて気絶くらいするのだが、元々の魔力最大値が低いので何の以上もなかった。
右腕は二の腕まで凍っていてビクともしない。凍りついてるせいか感覚がほとんどなくなっている。
助かってとりあえず安心しているといきなり右腕から激痛が走り二の腕が内側から爆発し、右目がピシャっと音を立てて弾ける。
「あああああああああああっ!!!」
右目だったところに手を当てて痛みのあまりうずくまってもがいた。
「くそ! これが副作用か! ちくしょう!」
出血がひどくかなりの血を流してしまったために俺の意識は遠くなりかけてた。そこに追い打ちをかけるように俺いるところが光り輝き始めた。
「……せっかく、助かったのに。 まだ……あるのかよ。 でも、出血……多量で……終わ……り……」
そこで俺は意識を失ったが光は輝きを増していく。そしてその輝きが最高潮に達したときーーー
---そこには誰もいなくなっていた。
閑話かこうかな