第8話 絶体絶命!
鷹を追っていたボッサンとオッパイ。
鷹は幼稚園バスをジャックし、逃走してしまった。
「くっそ~!やられたな!」
「どうします?どうやって追っかけます?」
ボッサンとオッパイが途方に暮れていると、園長の亀蔵先生が駆け寄ってきた。
「警察の方ですか?子供たちを助けて下さい!」
「え?あ、あぁそうだが、車がなくて……」
亀蔵先生はポケットからキーを出して、ボッサンに言った。
「私のバイクならありますが良かったら使って下さい!どうか子供たちを!子供たちを!」
キーを受け取って車庫に行ってみると、そこには火の玉カラーのカワサキ750RSが置いてあった。
「うひょ~!Z2やん!」
ボッサンはオッパイにキーを渡した。
「オッパイ、運転してくれ!」
「よろこんで~!」
オッパイはボッサンを後ろに乗せて走りだした。
亀蔵先生が正門の所で頭を下げていた。
「どうか宜しくお願いします!」
ボッサンはオッパイの後ろで、ノーヘルながら敬礼をして言った。
「ご協力感謝します!」
オッパイはアクセル全開で追撃した。
しばらく行くと幼稚園バスが見えてきた。
バスの後ろに着いた。
ボッサンはオッパイの肩を叩いて言った。
「バスの右側にまわってくれ」
バイクはバスの右側に並んだ。
運転席の横に鷹の姿が見えた!前を向いていてこっちには気付いていない!
バスの右側の一番後ろの窓が開いていた。あそこから中に入れそうだ。
中にいる女の先生がこっちに気付いた!
ボッサンはゼスチャーで、窓から中に入りたいと伝えた。
女の先生は、前の様子を伺いながらOKサインを出した!
「よし!窓の下まで行ってくれ!」
バイクは窓の下まで移動。
ボッサンはリヤシートに立ち上がった!
そして開いている窓に手を掛けて 、ジャンプして腰まで入った!
カオル先生は、鷹とボッサンを交互に見てハラハラしている!
ボッサンは中に入ろうとしたが、腹に差したトカレフが窓枠に引っ掛かった!
引っ掛かりを取ろうとしていたら、トカレフが腹から落ちてしまった!
落ちた時にバスの側面に当たって音がした!
「しまった!」
ボッサンは慌てて戻って、窓枠に捕まり宙吊りになった!
オッパイはバスから離れる!
鷹が振り返った!
「何だ!何騒いでる!」
鷹がこっちに来る!
女の子は窓枠に捕まっているボッサンの手を両手で隠そうとした!
しかし女の子の小さな手では隠しきれない!
女の子はオデコをボッサンの手に着けた。
鷹が女の子の後ろに来た。
「おい!何やってる!」
カオル先生が鷹の後ろで言った。
「この子気分が悪くて、外の空気を吸ってるんです!」
鷹は女の子の様子を伺う。
「まったく!静かにしてろよ!」
鷹は戻っていった。
カオル先生は胸を撫で下ろした。
ボッサンは一気にバスの中に入った!
目の前に座っている女の子に小声で言った。
「ありがとな!」
ボッサンは女の子の頭を撫でた。
鷹は運転席の横に戻って振り返って言った。
「おい女!ガキらに何か歌わせろ!」
カオル先生は前の方へ行って振り返り、子供たちを見た。
子供たちの顔を見たら、涙が込み上げてきた。
「みんな……何歌おうか」
「カオル先生なかないで~」
「キラキラぼしがいい」
カオル先生は涙を拭きながら、子供たちに言った。
「じゃあキラキラぼし歌おっか。今日歌ったよね。
じゃあいくよ。
さんはい!」
「き~ら~き~ら~ひ~か~る♪
お~そ~ら~の~ほ~し~よ~♪」
ボッサンは鷹の様子を伺った。鷹は前を見ている。
「ま~ば~た~き~し~て~は~♪
み~ん~な~を~み~て~る~♪」
ボッサンはゆっくりと歩き出した!
「き~ら~き~ら~ひ~か~る~♪
お~そ~ら~の~ほ~し~よ~♪」
ボッサンはバスの真ん中辺りまで来た!
「き~ら~き~ら~ひ~か~る~♪
お~そ~ら~の~ほ~し~よ~♪」
カオル先生に、後ろに下がる様に手で合図した!
「み~ん~な~の~う~た~が~♪
と~ど~く~と~い~い~な~♪」
大合唱の中、慎重に進んでいくボッサン!
カオル先生は両手を組み、祈りながら後ろに移動した。
「き~ら~き~ら~ひ~か~る~♪
お~そ~ら~の~ほ~し~よ~♪」
ボッサンは鷹に飛び掛かった!
「何だきさま!いつの間に!」
ボッサンはデザートイーグルを押さえた!
揉み合いながら鷹が引き金を引く!
弾は天井を貫く!
もう1発は、子供たちの頭をかすめて窓ガラスが割れる!
「キャーッ!」
鷹はボッサンに頭突き!
「グワッ!」
そのまま押して運転席の後ろに押し付ける!
銃口をボッサンの頭に向けていく!
また引き金を引く!
運転席を貫通!湯尾じいさんの頭の横を通ってメーターに穴が空いた!
「ひっ!ううっ……くっくっ」
湯尾じいさんが心臓発作!ハンドルにもたれ掛かって気を失った!
そしてアクセルは踏み込まれたままだ!
バスはどんどんスピードを上げていく!
ボッサンは鷹の股間を蹴りあげた!
うずくまった所で両手を組んで後頭部に降り下ろす!そして膝げり!
鷹は仰向けに倒れて、手から銃が飛んでいった!
「ふざけんな!ゴゥラ!」
ボッサンは鷹に馬乗りになって顔面を1発!2発!3発!と殴った!
バスはガードレールを擦りながら、前の車を押しのけていく!
道の先は丁字路!このまま行くと、コンクリートの壁に激突してしまう!
鷹が怯んだ所でボッサンは運転席に行こうとした。すると鷹が足を引っ張ってボッサンを倒した!
今度は鷹がボッサンボッサンに馬乗りになって顔面を1発!2発!
もう1発殴ろうとした所で、
「やめなさい!」
鷹が振り返ると、カオル先生が震える手で銃を構えていた!
鷹は立ち上がってゆっくり近づく!
「撃てよ!撃ってみろよ!お前に人が殺せるか?」
「撃て!」
ボッサンが叫んだ!
しかし、震える両手で構えていた銃の引き金は引けなかった!
鷹は銃を奪い取ってカオル先生をひっぱたいた!
床に倒れるカオル先生!
ボッサンは前を見た!
コンクリートの壁はすぐそこだ!
鷹は銃口をボッサンに向けながら迫ってきた!
「ハハハハッ!俺の勝ちだ!死ねぇ!」
向けられたデザートイーグルの銃口!
迫り来るコンクリートの壁!
絶体絶命!
どうするボッサン!