第7話 地獄のバスハイク!
白龍会の組長の鷹は、部下を見殺しにして1人逃走を図った。
その後を追うボッサンとオッパイ。そして神倉組。
鷹の乗るフェラーリF430は、片側2車線道路を右へ左へと縫うように進んでいく。
ボッサンたちのベンツ600SLも何とか着いていく。
フェラーリの前が空くと一気に加速していき、途端に離される。
道の先には大型トラックが2台並んで走っていた。
鷹のフェラーリは後ろからクラクションを鳴らすが、一向に退く気配がない。
ボッサンたちと神倉組もフェラーリに追いついた。
交差点に差しかかった。するとフェラーリは反対車線に飛び出した!
「え~!マジか!」
オッパイが驚く隣で、ボッサンもハンドルを切った!
「うそ~ん!」
対向車はみんなビックリして避けていく!
フェラーリはクラクションを鳴らしながら尚も進んでいく!その後を追うボッサンたち!
神倉組は置いて行かれてしまった。
フェラーリは交差点を右折した。ボッサンも後に続く。
片側1車線道路。
対向車がいないと分かると、反対車線をフル加速していくフェラーリ!
ボッサンも追いかける!
右から車が出てきた!
元の車線に戻るフェラーリ!
ボッサンは戻れずフルブレーキ!
車の目の前で止まった!
車を避けながらボッサンはアクセルを踏み込む!
ちょっと離された。3台先を走るフェラーリ。
また反対車線に飛び出すフェラーリ!
前の信号が赤になった!
そのまま突っ込むフェラーリ!左右の車が急ブレーキで止まる!
ボッサンも後に続く!
ボッサンが背中からトカレフを出してオッパイに渡した。
「これでタイヤを狙え!」
「よっしゃ!まかしとき!」
オッパイは窓からトカレフを出して狙いを定めた!
「死にさらせ!」
立て続けに3発発射!
その内の1発が右後輪に当たった!
タイヤはバースト、途端にテールがブレ始めた!
それでも走り続けるフェラーリ!
「しぶといやっちゃの~!」
タイヤのゴムがちぎれて火花を散らしながら走っていく!
丁字路に差し掛かった。
フェラーリは左折する。
リアが大きく流れてスピン!電柱に横から突っ込んだ!
周りの車は急停車した!ボッサンも車を止めた。
鷹は車を降りて逃げだした!
丁字路は大混乱となって身動きが取れなくなっていた。
ボッサンとオッパイも車を降りて鷹を追う!
「まてゴゥラ!」
鷹は走りながらデザートイーグルを抜くと、振り向いて撃ってきた!
慌てて物陰に隠れるボッサンとオッパイ!
「あぶな!当たったらどうすんねん!」
鷹はまた走り出す。
歩道の通行人を突き飛ばしながら、市街地に入っていった。
走っていく先にラッキー幼稚園があった。
幼稚園の前に幼稚園バスが止まっている。ちょうど園児が全員乗り込んだところだ。
園長の亀蔵先生が見送る前で、鷹は幼稚園バスに乗り込んだ!
「まずい!」
ボッサンたちは全力で走った!
「ちょっと!何ですかあなたは!」
園児と一緒にバスに乗っていたカオル先生は、突然バスに乗り込んできた鷹に詰め寄った。
鷹は子供たちから見えない様にカオル先生に銃を突きつけて、小声で言った!
「騒ぐな!言うことを聞かねぇと子供たちがケガするぜ!」
「は、はい」
鷹は運転手の湯尾じいさんの所に行って、横っ腹に銃を押し付けた!
「じいさん、ドアを閉めてバスを出せ!」
「ひ、ひぇ!」
湯尾じいさんはドアを閉めてギアを『ゴキッ』と入れ、バスを発進させた。
ボッサンとオッパイの遠ざかっていく姿が見えた鷹は、ニンマリとした。
鷹は腹に銃を隠すと、振り返って笑顔で言った。
「さあ、今日は楽しい遠足だよ~!みんな楽しもうね~!」
一番前に座っている男の子が聞いた。
「え~、おじさんだあれ?」
「おじさんかい?おじさんはね、今日からみんなの先生になったんだ。よろしくね」
「おうちには行かないの?」
鷹は引きつった笑顔で言った。
「ちょっと皆でドライブしようね~」
「え~!おうちかえりたい!」
口をへの字にしている男の子の顔に、鼻がくっつく位顔を近づけて鷹は小声で言った。
「ごちゃごちゃ言ってるとその舌を引き抜くぞ!黙って座ってろ!」
男の子はビックリして声も出ず、コックリうなずいた。
鷹は立ち上がると大きな声で言った。
「さあみんな、楽しいドライブのスタートだ!
歌でも歌うか。
そ~だな。森の熊さんがいいや。
いくよ~!
ある~日♪……
あれ?どした?歌おうよ。
ある~日♪…………
おい!歌えよ!歌えってんだよ!
おいどうした!さっさと歌えよ!お前も!お前も!」
鷹は子供たちの頭を小突きながら怒鳴り散らした!
「子供たちには乱暴しないで!」
カオル先生は、鷹の腕を引っ張って止めさせようとした。
鷹は腕を振り払って、カオル先生をひっぱたいた!
「キャッ!」
床に倒れるカオル先生。
鷹はデザートイーグルを抜くとカオル先生に銃口を向けた!
「このアマ!死にてえのか!俺に気安く触るんじゃねぇ!」
子供たちは泣き出した!
「うるせぇ~!!」
鷹は怒鳴り散らして運転席の所にいくと、湯尾じいさんに言った。
「おい、ジジイ!このまま突っ走れ!止めるんじゃねぇぞ!」
「あんまり脅かさんでくれんかのう。わしゃ心臓が弱くてのう」
鷹は湯尾じいさんの頭に銃を突きつけながら言った。
「それじゃあこの俺が、地獄まで連れてってやるぜ!アハハハハッ!」
子供たちと先生を乗せた幼稚園バスは、奈落の底へと突き進んでいった……