表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
見捨てられた姫様は国を亡ぼす資格があるらしい  作者: サチオウ
自由な旅人

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

51/56

第51話 空を飛びたい

サティエルの教育のため、コボルド討伐の名目でエナメルの旅人たち三人は、ベッサ村へと向かった。


その道中、サティエルはぼんやりと自分の「やりたいこと」について考えながら歩いていた。ふと空を見上げたとき、ひらめいた。


「私、空を飛びたい」


その言葉に、シルヴィアはぴたりと足を止めた。


「……いきなりどうしたの?」


「やりたいこと、思いついたの」


「うーん……でも、人って空飛べないよね?」


そう言って困ったようにオフィーリアの方を見る。


オフィーリアは少し考えてから答えた。


「空を飛ぶ魔法の研究をしてる人はいるけど、まだ実用化はされてなかったはず。

でも、興味があるなら、そういう研究者を目指すのも悪くないかもね」


「ふーん、そうなんだ。空を飛ぶ研究かぁ……」


そんな会話の途中で、サティエルの肩に乗っていた()()()()が「ピー」と鳴いた。


「ん? どうしたの、ろっくん?」


ろっくんは地上に降りると、その場でぐんと巨大化し、背を向ける。


「え、背中に乗れってこと?」


「ピー!」


サティエルは嬉しそうにその背にまたがった。


するとろっくんは翼を広げ――そのまま大空へ飛び立った。サティエルを乗せて、空中をくるりと旋回する。


「すごーーーーい! 私、空飛んでるー!」


サティエルは満面の笑みで叫んだ。


だが、地上でその光景を見上げていたオフィーリアは、心の中でため息をつく。


……目立ちすぎる。


力を誇示するような行動は、権力者の目を引きかねない。味方にすれば有用、敵に回せば厄介――そう判断されるのは時間の問題だ。


「サティエル、降りてきて」


「うん!」


ろっくんはすうっと舞い降り、オフィーリアの隣に着地する。


「やったー。空飛んじゃった! せっかく考えた目標、あっという間に叶っちゃったよ!」


言葉では少し残念そうだが、その顔はとても楽しそうだった。


オフィーリアはその笑顔を見ながら、少し言いづらそうに口を開いた。


「サティエル、他人の目があるところでは、あまり飛ばない方がいいわ」


「どうして?」


「貴族や国の権力者に目をつけられるからよ。下手をすれば、強引に命令されたり、自由を奪われたりする。そうなったら、自由を求める旅なんて続けられなくなるわ」


「うーん……でもね。おばあちゃんから言われたの。“私の邪魔をするなら、国の一つくらい滅ぼしてもいい”って」


その言葉に、オフィーリアは凍りついた。


――そんな教育されてたの!?


目の前が真っ白になる。まずい、これは非常にまずい。


自分でも国を滅ぼせる力があることを自覚してる……。このまま放っておいたら、本当にどこかの国が――


一方その頃、シルヴィアは軽い冗談だと思って、笑いながら言った。


「えー、国滅ぼしちゃうの? それはちょっとやりすぎでしょ」


「え、そう?」


「うん。やっつけるのは、サティエルに直接ひどいことしてくる人だけにしとこうよ。それに、そもそもそんな人が近寄ってこないようにするほうが楽だよ。面倒だもん」


「ふーん。わかった」


オフィーリアは、ふたりのやり取りを聞いて、とりあえず安堵した。


……まだ大丈夫。今の素直なサティエルなら、ちゃんと理解してくれるはず。


とはいえ――教育は、早急に始めなければならないだろう。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ