第38話 冒険者パーティ登録
とりあえず、三人で冒険者として旅をしながら活動することで意見は一致した。
パーティ登録のため、一行は近くの町ワラクにある冒険者ギルドへ向かった。
「ん? 双閃のシルヴィアが仲間を連れてる……?」
実はシルヴィア、少し前からこの町でソロ活動を続け、着実に成果を上げていた有名人だった。
三人はギルドの受付まで進むと、代表してシルヴィアが声をかけた。
「この三人でパーティ登録をしたいのですが」
「かしこまりました。ギルドカードをお出しください」
それぞれが自分のギルドカードを差し出す。
受付嬢がカードを確認しながら口を開く。
「ええと……シルヴィアさんはBランクですね」
そして次のカードを見ると、目を見開いた。
「えっ、オフィーリアさんはAランクなんですね!」
「えっ、オフィーリアってAランクだったの?」
「そうよ。でもね、そこのサティエルのほうが強いのよ、たぶん」
「えっ?」
だが、サティエルが差し出したカードは、子供用のFランク。
「サティエルさん、もし十二歳を過ぎているならEランクに変更できますけど、どうします?」
「じゃあ、Eランクでお願いします」
「ねぇサティエル、さっきあんな簡単にファングウルフを倒してたのに、なんで一番下のランクなの?」
「単に、冒険者の活動をしていなかっただけ」
「そっか……」
サティエルはふと、受付カウンターに貼られた注意書きに目を留めた。
『従魔の登録もお忘れなく!』
「あっ、すみません。私、従魔がいます。登録お願いします」
「どんな従魔ですか?」
「今、呼びますね」
サティエルは頭の中で意識を送って、ろっくんを呼び寄せた。
まもなく、入り口から小鳥の姿をしたろっくんが飛んできて、彼女の肩にちょこんととまる。
「この子です」
受付嬢がじっとろっくんを見つめながら尋ねた。
「この鳥は何という種類ですか?」
「ロック鳥です」
「ロック鳥? あの、伝説の巨鳥の……?」
「はい。大きくしましょうか?」
「……お願いします」
「ろっくん、元の大きさに戻って」
「ピー」
ぴいと鳴いたかと思うと、次の瞬間、ろっくんの身体が膨れ上がり――
気づけば、ギルドの天井に届くほどの巨大なロック鳥の姿がそこに現れていた。全長およそ四メートル。目を見張る威容だ。
受付嬢は一瞬だけ目を見開いたが、すぐに平静を取り戻して言った。
「確認しました。もとに戻してください」
「ろっくん、小さくなって」
再び小鳥サイズに戻ったろっくんを見届けて、受付嬢はうなずく。
だが、突然ギルド内に現れた巨鳥に、周囲の冒険者たちは騒然としていた。
シルヴィアが、驚き半分、感心半分の声でつぶやく。
「すごい従魔ね……」
「これでもまだ子供だけどね」
しかし受付嬢は、そのざわめきをものともせず、淡々と手続きを続けていた。
「三人の確認が取れました。パーティ名はどうなさいますか?」
それを誰も考えていなかった。しばし沈黙が流れる。
オフィーリアは興味なさげな様子だったため、サティエルが口を開いた。
「『放浪の旅人』ってのはどう?」
「まんまじゃない。それっぽくはあるけど......」
すると、受付嬢が少し困ったように口を挟んだ。
「その名前ですと、ただの放浪者なのかパーティなのか分かりづらいので、あまりおすすめできません」
シルヴィアの頭にふとあることが浮かんだ。
「……あ、いいこと思いついた。『放浪』って、異国の言葉で『エナメル』って言うんだって」
実際には「放浪ではなく琺瑯=エナメル」なのだが、誰もツッコまなかった。
そのため。そのままの流れで――
『エナメルの旅人』
という名前で決定してしまった。
「では、リーダーはオフィーリアさんでよろしいですか?」
サティエルとオフィーリアが一斉に、えっ、シルヴィアじゃないの?と目で問いかける。
シルヴィアが苦笑しながら応じた。
「じゃあ、私がリーダーで」
「その場合、パーティの格付けはBランクとなりますが、よろしいですか?」
「……えっ、オフィーリアがリーダーならAランクになるの?」
「はい」
「じゃあ、オフィーリア、お願い」
「いいでしょう」
「『エナメルの旅人』、Aランクパーティとして登録完了しました!」
「やった! これで好きな依頼を選べるじゃない。じゃあ、この後は宿に行って作戦会議ね!」




