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見捨てられた姫様は国を亡ぼす資格があるらしい  作者: サチオウ
自由な旅人

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第36話 冒険仲間1

「自分のために自由に生きる旅」と称して、サティエルはあてもなく各地を転々としていた。


――そもそも、「自由に生きる」とはどういうことなのか、自分でもよく分かっていないのだ。


気の向くまま道をたどり、マテトキア王国を北上し、隣国モルキアへと入っていた。


食料調達には困らない。空を飛ぶ相棒・ろっくんの目と、サティエルの身体能力、そして魔法があれば、森に入るだけで簡単に手に入る。


「おいしそうな果物がある。取ってこよう」


そんなふうに思ったら迷わず森へ入る。空からの監視もあるため、迷子になる心配もない。


サッと木に登り、果実をもぎ取り、その場でかじった。


「……おいしい。いくつか持っていこう」


満足げに言いながら、果物をいくつか魔法袋にしまい込む。


――ん? ファングウルフの群れが……こっちに近づいてる?


一瞬の緊張。そして目に入ったのは、群れの先頭に立つ、一人の青い髪の女性。


しかし彼女はすぐにファングウルフに囲まれてしまった。


すぐさま、彼女は二本の剣を抜き構える。


「はぁ、こんなたくさんの相手と戦うの、めんどいなぁ」


その呟きとは裏腹に、飛びかかってくるファングウルフを凄まじい速さで次々と切り伏せていく。


そのとき、彼女と木の上で見ているサティエルの視線が合った。


「ねぇ、そこの人! 報酬は山分けにするから手伝ってー!」


うーん……助けてもらうのに“山分け”って随分ちゃっかりしてるな、と思いつつも、サティエルは手を貸すことにした。


その場で魔法を唱える。


「ライトアローズ」


無数の光の矢が放たれ、ファングウルフたちを次々と貫いていく。


――拍子抜けするほど、あっさりと決着はついた。


「助かったわ、ありがとう。私は冒険者のシルヴィア。こいつら、弱いくせにしつこくてさー」


「私はサティエル。旅の途中なの」


シルヴィアはフードの中を除きこむ。


「へぇ、ずいぶん若いじゃない。もしかして女の子?」


初見で女の子と言われたのは初めてかもしれない。


「うん」


「どこに向かってるの?」


「決めてない。……“自由を探す旅”ってとこかな」


「わぁ、なんかカッコいいね!ってことは、今は何か不自由を感じてるってこと?」


「……え?」


言われて、サティエルはふと立ち止まる。不自由なことなど、思い当たらない。


よく分からなかったけど……もしかして、今のこの状態こそが“自由”ってこと……?


頭の中が混乱する。じゃあ私はもう、目的を果たしてしまってるの?


――これから、どうしよう。


「どうしたの?」


考えがまとまらず、サティエルは話題を変えることにした。


「ああ、これからどこへ行こうか考えてた」


「じゃあ、私と一緒だね。私も旅してるけど、目的地はまだ決まってないの」


「そうなの?」


「うん。ま、私の場合は人を探してるんだけどね」


「どんな人を?」


「両手に赤い鱗の刺青をしたイーヴァルって名前の大男よ」


そう言ったとき、シルヴィアの顔に一瞬、険しいものがよぎった。


「……親の仇を探してるの。というか、“仇を討つまで帰ってくるな”って一族に言われて旅してるっていうほうが正確かな」


なるほど、この人は自由の旅ではなく決められた目的の旅なのか。


「私は、育ての人に“自由に生きなさい”って言われて……それで旅に出たけど、自由って何なのか分からなくなってて」


「ふふっ、そんな悩みもあるんだね。とりあえずさ、討伐した魔物を換金して山分けしたいんだけど、近くの町まで一緒に行かない?」


「うん、わかった」


そうして二人は、ファングウルフを解体し、素材と魔石を回収して町へと向かう。

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