第24話帰宅
目的を達成した後,帰還は一瞬で終了した。
ドクタークレイの大発明。転移ゲートは二つの地点に準備があれば距離関係なく移動できるアイテム……ということらしい。
いともたやすく行われる、魔法とも呼べない奇跡の後には、子供の姿で待っていたドクタークレイの満面の笑顔があった。
「おほー! お疲れ様だね諸君! 真っ黒なスケルトンとは……これはどんなものなのかね?」
好奇心一杯にあらゆる角度からスケルトンを観察している子供は、控えめに言っても異様だった。
「ん? どうしたんだね?」
「いえ……」
「骨をめでる子どもってのは中々気持ち悪いなって」
そう聞かれて、カミラは口ごもる。
ただ、思っていることを即口にしたのは研究員Aで、こいつすごいなと逆の意味で感心してしまった。
「何を言っているんだい。こんなに美しいものもないぞ? 生物はすべからく芸術品のように美しく、緻密で機能的だ。我々はここにたどり着くために頭をひねっていると言ってもいい」
そこではないのだけれど、本人からしたらそう言う問題なのだろう。
「そんなもんですかね?」
「そんなもんだよ研究員A。さぁじゃあ運び込んでさっそく色々と学ばせてもらうとしよう。せっかく専用の設備も用意したからね!」
「専用の設備ですか?」
「ああ、そうだとも。魔力について色々と調べられるようにしている。いやぁ楽しみだ。正直あのスケルトンというやつは、個人的にかっこいいと思っていてね。あわよくば再現してやろうと考えているよ」
「……それ大丈夫なやつですか?」
「さて。楽しくはあると思うよ?」
明らかにワクワクしているドクタークレイだったが、ふと何かを思い出したように立ち止まり、振り返るとカミラに言った。
「よくやった研究員B。君の活躍は見ていたよ。あれだけ動かせるのなら、あの機体は完全に君に任せていいだろう。カスタムしておくから楽しみにしておくといい」
「あっ……」
カミラは目を丸くして、視線をさ迷わせる。
「ありがとう……ございます」
だが色々と考えてみたがいいセリフも思い浮かばなかったから、カミラは結局深々と頭を下げた。